死語ほど使い古されてはいないが、トレンドの頂上からは滑り落ちた感の漂う言葉。死語は、場の状況やタイミングを踏まえ、あえて使用すると逆に新鮮に響くケースもあるが、死臭語はとくに死臭に敏感な若者の前で不用心に使用してしまうと、ひたすら恥ずかしい。

 最近は、流行語の「アウト・セーフ」の境界サイクルが短くなっているので、常に注意を払っておくことが重要。なかでもギャル用語やネット用語は早い段階で死臭を帯びる傾向が強い。

 一方で、「エッチ」などに代表される、死語・死臭語の段階を乗り越え、ネオ・スタンダードとなる流行語も稀にある。ただ、若者と話す際、トレンドウォッチャーとしての余程の自信がないかぎり、中高年層はスタンダードな言葉をチョイスするのが無難かと思われる。

[使用例]
「俺とセックスしてくれないか?」(◎スタンダード:直球的な嘆願が意外と好感度大)
「俺とエッチしてくれないか?」(○ネオ・スタンダード:若ぶっているおっさんと思われる危険性もあり)
「俺とニャンニャンしてくれないか?」(△死語:場合によっては新鮮)
「俺とセクースしてくれないか?」(×死臭語:成功(性交)率はほぼ0%)
「俺とまぐわってくれないか?」(?古語:イッパツ大逆転の爆発力は秘めている)


 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 カエデ科カエデ属の総称で、モミジも同じ意味である。概して葉の裂け目の深いものをモミジといい、裂けの浅いものはカエデと呼び分けている。例えば、京都市の木であるイロハモミジ(別名タカオカエデ)は、葉が五つか六つほどに分かれて、深く裂けた代表品種といえよう。また、山裾の紅葉には、葉が直径10センチ以上もあるオオモミジやヤマモミジの品種が見られ、いずれも葉の裂け目が深い。反対に、カエデという名称の代表はハウチワカエデ。葉の裂け目は浅く、ふっくらとした丸みのある印象がかわいらしいカエデである。

 カエデの園芸品種として、日本ほど多くの種類がある国は珍しく、このような品種の改良が盛んに行なわれたのは江戸時代であった。江戸中期に稲苗(いななえ)商をしていた伊藤伊兵衛三之丞(さんのじょう)らがまとめた『花壇地錦抄(かだんじきんしょう)』には、114種類ものカエデの品種についての記述が残っている。

 京の町に北から比叡おろしが吹きおろし、かさこそと葉ずれの音が聞こえ始めると、そろそろ紅葉狩りである。錦秋に染まった東山の峰に沿い、赤山(せきざん)禅院や修学院離宮、東福寺へと、紅葉の名所が続く。西に行くなら高雄(たかお)か、保津川の渓谷も美しい。最近では2010年の紅葉が当たり年で素晴らしく、例年、紅葉が見ごろになるのは11月24日前後だといわれている。


イロハモミジ。


   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 元内閣総理大臣。71歳。総理大臣時代には「自民党をぶっ壊す」「私の政策を批判する者はすべて抵抗勢力」などの過激な発言が大衆の支持を得て「小泉旋風」と呼ばれた。

 だが、新自由主義を信奉し構造改革を推し進めた結果、非正規雇用を大量に排出する「格差社会」を生み出し、ブッシュ大統領のイラク侵攻を盲目的に支持するなど、為政者としての評価には疑問符がつく。

 2008年に政界引退を表明し、次男の進次郎が後継として立候補し当選している。

 引退後は趣味に勤(いそ)しみ静かだった小泉氏だが、このところの「脱原発」発言で俄(にわか)に注目を浴びている。きっかけは今年8月にフィンランドの核廃棄物最終処分場「オンカロ」を視察したことだが、11月12日の講演で「安倍総理はいますぐ原発ゼロという決断を」と迫ったことで、すわ安倍対小泉戦争勃発か、反原発派を結集した政党をつくるのではないかとメディアは喧(かまびす)しい。

 小泉氏の真意を探る前に『週刊ポスト』(11/29号)の「小泉『原発ゼロ』全発言」をもとに、彼の発言の主旨を見てみよう。

 「原発ゼロという方針を政治が出せば、必ず知恵のある人がいい案をつくってくれるというのが、私の考えなんです」

 「これから日本において、核のゴミの最終処分場のメドをつけられると思うほうが楽観的で、無責任すぎると思いますよ」

 「ここでもし安倍総理が原発ゼロにして、自然を資源にする国家をつくろうと方針を決めれば、反対派はもうできませんよ、反対は」

 「(核燃料サイクルも含めてやめろということか、という質問に対して)もちろん。核燃料サイクルも含めてです。それも早いほうがいいでしょう。進んでいってやめろというよりも、どうせ将来やめるんだったら、今やめたほうがいいでしょう」

 安倍総理に、即刻政治決断をと迫っている。朝日新聞の世論調査によれば、この小泉発言を支持する人は60%になるという。

 小泉氏は「国民の声というものは総理も聞かざるを得ない時期が来ると思います」(『ポスト』)と言い切っている。ならば政治的な恩師でもある小泉氏の意見を取り入れ、安倍総理が原発ゼロに踏み切る可能性はあるのだろうか。

 私はその可能性はゼロに近いと思わざるをえない。なぜなら安倍総理は自ら進んで原発のセールスマンとして、インドやトルコをはじめとする国々へ日本の原発を売り込みに歩いているからである。

 他国へ売っておいて、自国は危ないからゼロにしましたでは商談がまとまるわけはない。東京五輪招致のプレゼンで「汚染水は完全にコントロールされている」といった責任も問われるはずである。

 では、安倍総理が決断できっこないことを承知で無理難題を吹っかけた小泉氏の真意は奈辺にあるのか。『週刊朝日』(11/29号)のコラムで田原総一朗氏は、この発言は安倍政権への挑発だと書いている。「まともに反撃すれば、党内から『脱原発』の議員たちが現れて混乱に陥る危険性が高いからだ」というのだが、真意はわからないとしている。

 穿った見方としては、小泉氏の裏には石油メジャーがいて、石油をもっと日本に買わせる謀略だと書いた週刊誌もあった。

 『週刊新潮』(11/21号、以下『新潮』)は小泉氏の「オンカロ」視察には三菱重工、日立、東芝などの原発メーカーが同行していたと報じている。

 小泉氏が引退後、経団連の奥田碵(ひろし)元会長が呼びかけ、トヨタやキヤノン、東電などが出資して「国際公共政策研究センター」をつくり、小泉氏を顧問に据えているのだが、先の3社はそのメンバーである。

 原発メーカーにカネを出してもらっているのに脱原発とはいかがなものかと『新潮』は言いたいのだろうが、たとえそうしたところからカネが出ていたとしても、私は小泉氏の原発ゼロを支持したいと思う。

 田原氏が「直感力の天才」だと讃える小泉劇場の第二幕はこれからどういう結末を迎えるのか。単なる打ち上げ花火で終わってしまうのか。目が離せない。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 「アラサー=アラウンド・サーティー」からいろいろと派生して、「アラ還(還暦)」という言葉まで現れ、アラウンド系の新語も出尽くしたかと思いきや、まだあった。電通総研のプロジェクト「ママラボ」が提唱するところの新語「アラママ」は、「3年以内に出産したい」という「アラウンド・ママ」のことだ。さりとて家庭に入りたいわけでもなく、子どもが手を離れたら働きたいと、人生をアクティブに捉えている。この傾向は30代よりも20代の未婚女性に多いという。

 少子化の時代が続いたのは、「行政による育児の環境が整っていない」「ゆえに理性的に考えるならば子育てはキャリアを狭めるのでは」という不安感が影響しているだろうが、それでも昨今は「ベビーがいる生活は楽しそう」という意識の変化も見られる。おそらく、芸能界でママさんタレントが多いことも影響している。(実際のところは相当な苦労をしているにせよ)セレブ然としたママたちは輝いていて、そのスタイルが単純にオシャレに映っているはずだ。ただ、こうしたアラママたちの憧れは、どちらかというと子ども主体で、そこに至る前の結婚、あるいは夫の影が薄いのがふしぎな特徴である。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 品種改良によって、特定の栄養素を増やしたり、従来の風味を変化させた、いわゆる「機能性野菜」がブームとなっている。

 たとえば、リコピンが通常の1.5倍含まれたトマト、抗酸化作用を高めたブロッコリーのほか、子どもも食べやすいように苦みを抑えたピーマンなど。価格は通常よりも高めだが、健康志向の人々に受け入れられて、順調に売り上げを伸ばしているようだ。

 厚生労働省は、1日に350gの野菜を摂ることを勧めているが、2011年の「国民健康・栄養調査」によると、実際の摂取量は277g。とくに20~30代の野菜の摂取量が少なく、問題になっている。機能性野菜は少量でも必要な栄養価が摂れる可能性もあり、野菜不足の現代人の食生活を救うと期待する声もある。

 だが、このように品種改良された野菜の多くは、「F1」と呼ばれる一代交配種だ。機能性野菜に限ったことではないが、F1種は、流通に耐えうるように皮を厚くしたり、味を甘くしたり、形を揃えたりなど、人間社会で都合のよい野菜ができるように交配している。

 思い通りの野菜を作るためには、雄しべを人為的に取り除いて、別品種の花粉をつける必要があるが、この作業は非常に手間がかかる。そこで、手間を省くために、近年増えている交配の方法の一つが「雄性不稔(ゆうせいふねん)」によるものだ。

 雄性不稔とは、もともと野菜などの雄しべに異常があって花粉を作れないなど機能不全を意味する。それをあえて利用して、別の品種の花粉を交配して人間が思い通りの野菜を作っている。作業効率は格段に上がるが、心配されているのが遺伝子の異常だ。

 遺伝子に異常のあるものは淘汰されていくのが自然の摂理だ。しかし、それをあえて利用することは、遺伝子異常のある作物を大量生産し続けることにならないのか。

 たとえ品種改良によって栄養価が高まったとしても、遺伝子異常の可能性のある野菜を摂り続けることは、人の身体に影響を与える危険はないのかといった疑問も湧く。

 野菜の品種改良で行なわれている現実を知ると、機能性野菜のブームの先にある未来に不安を感じずにはいられない。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 ダイドードリンコが2013年に始めたプロジェクト「ダイドー働く大人力向上委員会」。大人の雑談力やリフレッシュ術を紹介する内容は、「ホッとひと息つく」缶コーヒーのメーカーらしい企画だ。その調査によれば、女性のように「働いた自分へのご褒美」を用意する男性は決して少なくない。このタイプが「ご褒美男子」と呼ばれる。ご褒美は、具体的には「ケーキなどのスイーツ」「お酒」「缶コーヒー」が多いとか。これだと、女性が言うところの「ご褒美」よりも、ずいぶんと安価なうちに収まっている?

 ビジネスにおいて「デキる」タイプは、気分の切り替えが巧みだ。大きな目標値を設定して、自分の中のノルマ達成ごとにプレミアムを設けるのは、自己管理の適切なメソッドであろう。安閑としていられぬビジネスシーンの中で、「缶コーヒーを飲む」ことすらもモチベーションにつなげる器用な男子が、これからの日本を支えるのかもしれない。実際、ご褒美男子は「働く大人力向上委員会」によって「過去三年間の年収が増えた」と喧伝(けんでん)されている。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 NHK経営委員会5委員の人事が11月8日、衆参両院で同意された。うち新任4人には安倍首相に近い人脈が起用されたことで、来年1月で任期が切れる松本正之NHK会長(元JR東海副会長)は交代する可能性が強まったという。

 NHK会長は、NHKの最高責任者で、その任期は3年である。歴代会長は、NHK職員出身者だけでなくマスコミ界、経済界、官界などからも起用されてきた。その人事は、浜田健一郎経営委員長ら経営委員12人のうち9人以上の賛成で任命される仕組みだ。すなわち、4人が反対すれば選任されない。

 複数のメディアによると、安倍政権内には「原発や米軍のオスプレイ沖縄配備を巡る問題でNHKの報道内容が偏っている」との不信感があり、経営刷新を求める声が募っているという。新任の4人がどう動くか不明だが、その存在が、これまで続投に意欲を示してきた松本会長に大きなプレッシャーとなっているのは間違いない。

 今回の経営委員の同意人事について、野党からは「公平中立を旨とするNHKの放送に何らかの影響が及ぶのではないか」(吉田忠智・社民党党首)などの批判がある。

 経営委は12月下旬までに後任を決めたい考え。経済人を念頭に人選が進められるという。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


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