東京都渋谷区の渋谷駅から神奈川県大和(やまと)市の中央林間駅までを結ぶ東京急行電鉄(東急)田園都市線沿線の、主に渋谷駅の次の駅「池尻大橋(いけじりおおはし)駅」と、その次の駅「三軒茶屋(さんげんぢゃや)駅」周辺に住む、18歳~30代前半の女性のこと。

 職業がモデルやグラビアアイドルやレースクィーンだったりすることが多く、容姿の偏差値は総じて高め。朝イチロケの集合場所は、たいがいが渋谷駅前なので、タクシーで千円台圏内の、しかも渋谷から同じ距離感の恵比寿や原宿や表参道や代官山と比較すると家賃や物価が心持ち安いところから、実状は肩書きの前後に「卵」や「新人」や「B(もしくはC)級」といった修飾語がつく、今ひとつブレイクしきれない、あるいは発展途上なタレントが大半を占める(もちろん例外は少なからず実在する)。

 合コンでは見た目の“華”として重宝され、油断をすれば、話題が日テレやテレ朝だとか、お笑い芸人やJリーガーの知り合いだとかに終始しがちなのが特徴。終電を逃したら、きちんとタクシー代を請求されるケースも、ままある。

 

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   



 茹でた栗や、栗と小豆を練った餡でつくった餅菓子のこと。栗餅の発祥は定かでないが、もっとも古い餅の一種とされ、小豆餅や胡麻餅などとともに、奈良時代にはすでに食べられていたそうである。おそらく当時は、餅と栗を一緒に混ぜ合わせたようなものであったろう。京都で栗餅といえば、茹でた栗一粒と餡を、薄くのばした餅で一緒に包み込んだ栗大福のことをいう。おまんやさん(餅菓子店)では、月見団子が一段落するころから栗餅が一斉に売り出される。

 中国栗やヨーロッパ栗に比べ、日本栗は粒が大きく、味の良い品種が揃っている。京都府中部から兵庫県にまたがる丹波地方は、平安期より知られる名高い丹波栗の産地である。丹波栗は実が大きいことで知られ、落ちるように大きい実をつけるところから、出落栗(ててうちぐり)や大栗(おおぐり)という俗称をもっている。そのためか、京都の栗餅には栗が丸ごと入った大振りなものが多く見られ、ほんのりと甘いほくほくとした味わいは、食欲の秋の本番を告げるに十分な満足感を与えてくれる。小布施(おぶせ、長野県)や中津川(岐阜県)をはじめとする有名な栗の産地では、栗餅というと、おはぎのように栗きんとんや栗餡で白餅を包んだものを呼ぶことが多いそうで、栗大福とは呼び分けているようである。

 

   

京都の暮らしことば / 池仁太   



 北海道旅客鉄道株式会社。1987年4月1日に日本国有鉄道(国鉄)から鉄道事業を引き継ぎ、北海道全域と青森県のごく一部をエリアとしている。2013年3月期の連結決算では、営業収益約1650億円に対して営業利益ベースで約241億円もの大幅赤字となっている。

 全14路線のうち、2008年度の路線別営業係数が黒字なのはわずか3路線(千歳線、海峡線、石勝線)のみで、留萌(るもい)本線、日高本線、釧網(せんもう)本線はJRグループ約200路線のワースト3である。

 そのJR北海道で列車火災に脱線事故、267か所にも及ぶレール異常の放置、スーパー北斗が徐行区間で35キロ超過運転、特急の非常ブレーキが利かない作業ミスが見つかるなど不祥事が頻発している。

 また「(7月に起きた=筆者注)JR北海道の運転士による覚醒剤使用事件で、国土交通省北海道運輸局が同社へ再発防止策として全運転士の薬物検査を提案したところ、同社が断っていたことが分かった」と朝日新聞(10月7日付)が報じている。

 野島誠社長自らが「社内の規律も守られていなかった」「社員の情報共有に乏しかった」と認めている。乗客を不安にしている不祥事や社員の規律の緩みの原因はどこにあるのか。『週刊文春』(10/10号、以下『文春』)でJR北海道の現役中堅社員が、この“異常”な企業体質の背景の一つに労使関係があると語っている。

 「一例をあげれば、安全に関わることでも、労組の合意なしには義務化できなかったアル検(アルコール検査)問題があります。
 二〇〇八年、会社はアルコール検知器を導入し、全乗務員(運転士・車掌)に乗務前に各自で検査するよう呼びかけた。ところが組合は『アル検は強制ではない』として組織的に検査を拒否。〇九年には国交省の立ち入り検査で、札幌車掌所の十二人の車掌が導入時から一貫してアル検を拒否していることが発覚しました。そして、その全員が北鉄労の組合員でした」

 北鉄労(北海道旅客鉄道労働組合)とは全社員約7000人のうち管理職を除く84%が加入するJR北海道の第一組合である。

 2011年の5月にはこんなことが起きていたという。

 「JR北海道は石勝線で特急列車が脱線した後、火災が発生、乗客三十九人が病院に搬送される事故を起こしている。その後も、居眠り運転など不祥事が相次ぎ、国交省から事業改善命令を受けたにもかかわらず、アル検は拒否されていたのだ。そして事故の四ヵ月後には、中島尚俊社長(当時=筆者注)が『「お客様の安全を最優先にする」ということを常に考える社員になっていただきたい』と遺書を残して自殺する」(『文春』)

 たしかに北鉄労が所属するJR総連は、国会での警察庁警備局長答弁や政府答弁書などで、極左暴力集団である革マル派との関係が指摘されている。

 だが、これだけがJR北海道に不祥事が頻発する理由のすべてではなかろう。

 『週刊新潮』(10/10号)では、赤字体質がトラブルの理由だと、関西大学社会安全学部の安部誠治教授が指摘している。

 赤字を埋めるために「社員数を削減したり、保線や機材の交換をケチったりという苦し紛れの方策で帳尻を合わせてきました」。だが、JR北海道は車体が重くてレールを傷めやすいディーゼル機関車の割合が多く、メンテナンス費用が嵩(かさ)む悪条件が揃っているという。

 また現役運転士は、民営化当時は約1万3000人いた社員が現在は約7000人にまで減ったが、運行本数は増えていて、そのため「時折、ローカル線では、老朽化した枕木に白いペンキが塗られているのを見かけますけど、これは要交換のマーキング。それがいつまで経っても交換されない」と言う。

 意思疎通を欠く労使問題、赤字体質からどう脱却するかなど、難問は山積し、解決の糸口さえ見つからないようである。このままでは重大事故につながりかねない。道民が安心して乗ることができる公共交通機関にするためにどうするか、早急に労使双方が話し合うべきであること、言を俟たない。

 

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   



 建築史家の米山勇(よねやま・いさむ)氏が、子どもたちに建てものの本質を体で理解してもらおうと発案したのが「けんちく体操」。江戸東京たてもの園の学芸員、高橋英久(たかはし・ひでひさ)氏らとともに、2002年にワークショップが始められた。ならばもっと早く人気が出ても良さそうなものだが、当初はあまり積極的な活動は行なっていなかったらしい。現在は計4人の「チームけんちく体操」が各地を飛び回る体制に。書籍やDVDの発売、マスコミでの紹介で知名度を上げ、2013年には日本建築学会教育賞(教育貢献)を受賞した。

 「けんちく体操」は、有名な建築物の写真をプロジェクターで映し出し、参加者が思い思いに「マネ」をするといった要領。こう書くとシュールなようだが、マネのためには細部までよく観察する必要がある……というのがポイント。そして、実際にポーズが完成したら、すぐに止めず、そのままの姿勢で「なりきる」ことを求められる。一つの建てものに有する人数は高度なものほど増えていき、体勢はどんどんきつくなる。これこそが無機的な「構造」というものを有機的に理解するきっかけとなるのだ。「建て物の気持ちが分かる」とも表現される。

 ちなみに、よく紹介されるのが「東京タワー」の体操で、力強く直立しているだけなのでやりやすそう? 一方、お台場の「フジテレビ本社ビル」は、子どもが丸まって球体展望室を表現する7人編制の大作である。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 公的な老齢年金は、物価や現役世代の給与の変動に応じて、毎年、改定されており、物価が上がれば年金額も上がり、下落すれば下がる。これが「物価スライド制」という仕組みだ。

 いうまでもなく、これまでの日本経済はデフレ傾向だったため、本来ならその時々の物価に合わせて年金額も引き下げられるはずだった。しかし、高齢者の反発や票離れを恐れた時の政府は、特例法を出して2000~2002年度の3年間、年金額の引き下げを行なわずに、年金額を据え置いてきたのだ。

 そのため、現在の受給者は、本来よりも2.5%高い特例水準の年金を受け取っており、これまでに払い過ぎた年金額の累計は7兆円にも及ぶ。

 だが、この特例水準を解消する法律が昨年11月に成立したため、今年から公的年金の支給額が引き下げられることになったのだ。ただし、いきなり2.5%引き下げると、高齢者の生活に影響を与えるため、今年10月の引き下げは1%のみ。自営業などで40年間国民年金の保険料をすべて支払った場合、これまで年間78万6500円受け取っていた老齢基礎年金は、77万8500円になる。実際に減額されるのは、12月に支払われる10、11月分からで、ひと月あたりの減額は666円だ。

 その後、物価や給料の変動がなければ、2014年4月にさらに1%、2015年4月に0.5%の引き下げが行なわれる予定。3年間で引き下げられる年金額の合計は、自営業など国民年金受給者で年間約2万円、会社員など厚生年金受給世帯は夫婦で約7万円(現役世代の平均月収36万円で、夫が40年間厚生年金に加入、妻が専業主婦の場合)になると試算される。

 日本の年金は、現役世代が納めた保険料で高齢者への給付を行なう「賦課方式」だ。保険料を支払う現役世代が少なくなれば、高齢者の年金額も減らさざるをえない。

 年金の引き下げは高齢者の生活に直結する大問題だが、一方で高齢者の生活を支える不可欠な存在でもある。年金破たん論を煽るメディアや研究者もいるが、年金制度は「いかに持続可能なものにしていくか」という前提で問題解決を図るしかない。

 今回の年金引き下げは、年金制度を持続可能なものにし、将来の人々も給付を受けられるようにするための第一歩だ。自らも生活防衛をしつつ、年金制度の行く末を見守りたい。

 

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   



 世界遺産には「文化遺産」と「自然遺産」(さらに両方を兼ねた「複合遺産」)がある。姫路城や厳島神社などは「文化遺産」、屋久島や知床などは「自然遺産」だから、2013年に登録された富士山は「自然遺産」に寄った印象だが、実際は「文化遺産」だ。ゴミなどの環境保全の不備が影響しているが、結果として「適切な選択」であったようにも感じる。国内でも海外でも、「フジヤマ」はまさに「ニッポン」を象徴する。実際の富士山とは別に、「イメージとして創造された富士山」があるのだ。

 しかし、現実の富士山は険しい山だ。身近な存在として甘く見ていると、悲劇が待っている。実際、「たまたま気が向いて」たいした準備もなく登山する無鉄砲な者があとを絶たない。本来は山小屋において休息をとるべき山なのに、それをせずに頂上へ向かおうとすることを「弾丸登山」という。

 じつは世界遺産の登録によって2013年(7月1日~8月31日)の富士登山者が増えたわけでない(マイカー規制強化などによって、前年比2.5%減となった)が、全国的な注目度は増し、この問題もクローズアップされるようになった。未明に五合目からスタートし、ご来光を拝み、すぐに下山するというプランは、登山経験者でなくとも有名だ。けれども、富士山はもともと二日間かけて登ることが推奨されている。登山者の30%が弾丸登山だという推計もある(山梨県のホームページによる)が、現実の「フジヤマ」は、イメージほど甘くないことを知っておくべきだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   



 安倍政権は9月20日の産業競争力会議の会合で「医学部新設」を容認する方針を打ち出した。

 医学部の新設は、1979年の琉球大を最後に凍結されている。当時、医師過剰や過剰に伴う医療費の増加が懸念されたためだ。

 しかし、近年、勤務医不足やへき地における医師不足などが顕在化し、民主党政権時代に、文部科学省に新設検討会が設置された。ただ、同党の下野とともに医学部新設の話は尻すぼみした。

 一度お蔵入りしたはずの医学部新設が、再び浮上したのはなぜか。本来、大学教育を所管する文科省や医療行政を扱う厚生労働省が発信源のはずだが、産業競争力会議というのがミソだ。

 医学部新設問題に詳しい医療ジャーナリストが言う。

 「医師不足、医師の偏在は東日本大震災でも浮き彫りになりましたが、厚労、文科両省で新設問題を議論していては、『抵抗勢力』の意向が働き、思うように進まない。そこで産業競争力会議を足場に『規制改革』という錦の御旗が振られた」

 同会議では、地域を限って大胆な規制緩和に取り組む「国家戦略特区」の導入が議論されており、アベノミクスの看板政策の一つでもある。「医学部新設」にとっては絶好の追い風が吹いているわけである。

 医学部新設が有力なのは、宮城、千葉、静岡の3県。「医学部新設は地域医療の再生はもちろん、雇用にもつながる」と熱い期待を寄せている。

 こうした動きに対し、日本医師会は「大学に医師が集められ、地域医療が崩壊する」との理由で猛反発。「既存の医学部の定員増で十分対応できる」との指摘もある。

 

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


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