鍼灸(しんきゅう)がお年寄り向けの療法、という認識は古くなりつつあるようだ。お灸が発する熱を根性で我慢するような「こわい」イメージを払拭(ふっしょく)するため、最近市販されているお灸はデザインもかわいらしい。新たな支持層は20代から30代の女性。このお灸好きな女子を名づけて「お灸女子」という。便秘、生理痛、冷え症といった女性ならではの悩みだけでなく、美容面における効果も期待されている。自宅でゆったりとお灸を楽しむというスタイルは、アロマテラピーがブームをこえて普及していった過程と同様の感もある。
こうしたブームを受けて、若い世代が入りやすい鍼灸院も増えている。お灸は正しいツボを捉えるのにコツがいるとされ、最初は体の症状に合わせて専門のアドバイスを受けるのがいいようだ。業界大手が銀座に設けた「せんねん灸 お灸ルーム」では、治療に加えてお灸教室も開いているが、予約が先の月まで埋まってしまうほど盛況だという。