衆院選で日本未来の党の嘉田由紀子(かだ・ゆきこ)代表が唱えた考え方。同党が公表した「卒原発カリキュラム」よると「『卒原発』とは、スローガン的に即時原発ゼロをいうのでなく、また、遠い未来の原発ゼロを適当に言うのでもなく、『原発稼働ゼロから原発完全ゼロへの現実的なカリキュラム』を修了するという意味」なのだそうだ。
要は、原発依存度を時間をかけて段階的に下げるということ。同党は「遅くとも10年以内」の完全廃炉を目指している。社民党や共産党が言う即「脱原発」と違い、「現実的な方策だ」というのが売り文句だ。
民主党も「2030年代の原発稼働ゼロ」をマニフェストでうたった。これも事実上の「卒原発」と言える。
これに対し、自民党は「遅くとも10年以内には将来にわたって持続可能な『電源構成のベストミックス』を確立する」とした。何やら分かりにくい。民主党などは「自民党は、衆院選で突っ込まれるのを回避するため、判断を先送りしている。事実上の『続原発』ではないか」と批判する。
卒原発、脱原発派に求めたいのは、原発をやめることのデメリットをどうするかだ。
具体的にいうと「電力の安定供給」「代替エネルギーの確保策」について明確に示すことではないか。さらには、原発をやめることで、電気料金は大幅に値上がりし、企業の製造工場は海外移転して雇用も減ると思うが、そのための対策を具体的にどうするのか。
卒原発は「スローガンではない」と言っているが、それを示さない限り「スローガンにとどまっている」と言わざるを得ない。