消費税は、所得が少ない人ほど負担感が増すとされる。「逆進性」といわれているものだ。政府は、現行の5%を2014年4月に8%、15年10月に10%へと、段階的に税率引き上げを行なう予定だ。そこで低所得者対策として検討されているのが、軽減税率である。
欧州諸国では、英仏伊独など多くの国が軽減税率を採用している。軽減対象は、生活必需品である食料品や医薬品、水道水、新聞・雑誌などだ。
自民、公明両党は与党税制改正大綱(2013年1月24日決定)で、10%への引き上げに合わせて軽減税率の導入を目指すとした。
ポイントは、軽減税率の対象品目や税率の設定をどうするかだ。与党は軽減税率制度調査委員会を設置して13年中に結論を出す予定だが、対象品目の線引きは面倒な作業になるだろう。
たとえば、一律に食料品の税率を軽減対象にしたらフォアグラやキャビア、神戸牛といった高級食材までもが対象になる。果たしてそれでよいのか──といった具合である。
税率の設定をめぐっても、軽減税率を1種類に絞るのか、複数設けるか、あるいは、税率を何%にするか、というのも議論の対象になる。
水面下では、対象品目の適用をめぐって業界団体の陳情合戦が始まっているという。与党は「票や政治献金目当て」といった疑念を持たれてはいけない。そのため、制度調査委での議論の過程は透明にすべきだし、関係団体からの政治献金も受け取ってはならない。そのうえで、国民が納得できる結論を出してほしい。