「日本のアニメが世界中で人気」というトピックは、わざわざ語られる必要のないほど認知されているようだが、『巨人の星』のインド版を製作するニュースにはさすがに驚きがあった。2012年12月から放映を開始した『スーラジ ザ・ライジングスター』は、野球を「クリケット」という野球に似た球技に置き換え、スポ根物語を展開する。クリケットはよく「サッカーの次に競技人口が多いスポーツ」とされるが、それは人口の多いインドで盛んなことから来ている(実際のところ根拠となるデータはなさそうだ)。
日本のトムス・エンタテインメント(前身の東京ムービーが実際に『巨人の星』を手がけた)が制作に関わっている。内容はかなり原典に忠実で、もはや語りぐさの「大リーグボール養成ギプス」同様のアイテムまで飛び出した。本作のスポンサーについているのは、インドでのビジネスをより推し進めたい日系企業。単なる「輸出」ではない、日本発のアニメコンテンツの戦略に注目である。ちなみに、「スーラジ」とは主人公の名前。「星(飛雄馬)」に対して、スーラジは「太陽」を意味している。