「『赤プリ』が魔術のように縮んでいる!」。2011年3月、その歴史に幕を閉じたグランドプリンスホテル赤坂(旧・赤坂プリンスホテル)。翌年6月から解体が始まったが、その工事の過程は大きな驚きをもって迎えられた。キーワードは「テコレップシステム」。大成建設の生み出した新しい工法で、「テコレップ」とは「Taisei Ecological Reproduction」を略したものである。
この工法は、屋根部分はそのままに、ジャッキを内蔵した仮の柱でビルの内側を支え、1フロアずつ分解していくというもの。いってみれば、上へ上へビルを建設していく過程の「逆回し」である。都市部にある高層ビルの解体では、粉塵や騒音などに関して、周辺環境に特に配慮する必要がある。また、あまり知られていないが、高層での風はあまりにも強く、工事する者にとって危険は大きい。それらの問題を最小限に抑えるための新しい技術である。