内部留保とは、企業会計で「税引後利益から、株式配当や役員賞与などを差し引いて、最終的に企業内に残る利益」のこと。この内部留保に対し、課税してはどうか、という声が与野党から聞こえてくる。背景にあるのは「アベノミクス」。その旗振り役でもある麻生太郎財務相が、3月の衆院予算委員会でこう答弁し、耳目を集めた。
「内部留保が賃金に回ると、そこから消費に回る。GDP(国内総生産)に占める個人消費の比率は極めて高い。日本経済が活気づくためにも重要な要素の一つだ」
麻生発言は、課税まで言及していない。だが、その狙いを忖度(そんたく)すれば、「企業の内部留保に課税圧力を加えれば、雇用や賃上げ、国内投資に資金が回り、その結果、景気が上向く」ということだろうか。
実は、内部留保への課税は、共産党がかねてから主張してきたものだ。前述の麻生氏も「共産党と自民党が一緒になって賃上げをやろうと言うのは、多分、歴史上始まって以来ではないか」とエールを送っている。
不況でサラリーマンの年収が減るなかで、企業の内部留保は逆に増えており、2011年時点で資本金10億円以上の大企業の内部留保は実に二百数十兆円に達している。まさに「埋蔵金」ではないか。
ただ、企業側からは、「税引き後の利益である内部留保に課税するのは、二重課税ではないか」と、反発する声もある。