最近、文房具はテレビのバラエティ番組で採り上げられる機会も増え、「ブーム」と称されることがあるのだが、実際はパソコンやスマホに客を取られているようで、安泰にはほど遠い。そんな中でも、「書く」という行為をとことん究めた筆記用具が次々に開発されている。たとえば、芯が自動的に回転してとがった状態を保つ、三菱鉛筆のシャープペンシル「クルトガ」などは知名度が高いだろう。

 東京都葛飾区のメーカー・北星鉛筆(きたぼしえんぴつ)も、多くのメディアで採り上げられるヒットを飛ばした。それが「大人の鉛筆」である。コンセプトは「鉛筆屋による、鉛筆好きの為の筆記具」。軸は木製で、先端は金具。ノックすると芯が出てくるというシャープペンシルのような鉛筆なのだが、書き心地はまさに昔ながらの味わい。芯には専用の削り器がある。

 好評を受けて、2013年に新登場したのが、「大人の鉛筆に、タッチペン。」。鉛筆のお尻のノック部分がスマホやタブレットで使えるスタイラス(ペン)になっている。現代的なガジェットも貪欲に取り込んで、鉛筆は生き残り続けるのだ。

 

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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