大修館書店が2011年まで行なっていた『「もっと明鏡」大賞』は、中高生から「国語辞典に載せたい言葉」を募集するという意欲的な企画だった。第1回では「最優秀作品賞」に「ツボ(個人の好みにはまった状態)」などが選ばれている。若者言葉の宿命というか、残念ながら集まった言葉で一般化したものは少ないが、最後の第6回で最優秀作品賞となった中に、教育現場の感覚の変化を示した言葉がある。それが「電索」という新語だ。
「電索」とは電子辞書で言葉の意味を調べることをさす。いまどきの感覚では、「調べる」よりもむしろウェブやデータベースから「検索」する感覚に近いわけで、「電子辞書の検索」で「電索」と略すのである。
いまや学生たちの勉強のツールとして一般化した電子辞書。情報を直感的に得られるため、紙の辞書と比べ、基礎の段階では記憶の定着には向かないといった意見がある。学習量が少ない小・中学のうちに紙の辞書で学び、量も内容も高度になる高校生から電子辞書に移行する、ないし併用するという手もありそうだ。「辞書を引くこと」と「電索」の違い、メリット・デメリットを、子どもに与える親がよく理解しておくべきなのだろう。