成長著しい中国、ロシア、インド、ブラジル、南アフリカの新興5か国(BRICS)が7月、新しい開発銀行の創設を決めた。正式名称は「新開発銀行」。本部は中国・上海に、初代総裁にはインド出身者を起用するという。アジアやアフリカの途上国の社会基盤(インフラ)整備などに融資する。設立時の資本金は500億ドル。5か国がそれぞれ100億ドルずつ拠出する。

 第2次世界大戦後の国際金融は世界銀行や国際通貨基金(IMF)が中核で、米国を中心とした欧米諸国が主導してきた。新開銀の設立は、「欧米主導の国際金融秩序に対する新興5か国の挑戦」と受け止められている。いまやBRICSの経済規模は世界の5分の1を占めるまでになっており、「経済規模に応じた発言力を国際金融の場でも持ちたい」ということだろうか。

 5か国の中でも鼻息が荒いのは外貨準備高がダントツで世界一の中国。アジア・アフリカに新開銀を通じて融資することで、人民元経済圏をつくり出し、ドル離れを加速させようとしているとの観測が流れている。アジア・アフリカは資源が豊富で、融資を餌に資源を囲い込む可能性も指摘されている。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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