戦前、李香蘭(りこうらん)の名で活躍した歌手、女優。戦後はテレビの司会なども務め、田中角栄に口説かれて参議院選挙に出馬して当選。本名・大鷹(おおたか)淑子、享年94歳。
「戦前から戦中にかけて女優、歌手として活躍し、『白蘭(びゃくらん)の歌』『支那の夜』『夜来香(イェライシャン)』など数々のヒットを飛ばした李香蘭。生粋の日本人であるのにもかかわらず、日中両国の暗い狭間に立たされ、中国人としてデビューした彼女は、いかにして自らの運命を切り開いていったのか」(新潮文庫『李香蘭 私の半生』より。以下『私の半生』)
彼女は1920年2月12日に中国遼寧省の瀋陽で生まれ、生後間もなく撫順に越して幼女時代を過ごす。父親・山口文雄は佐賀県生まれ。日露戦争が終わった翌年に中国に渡り、中国語を学んだ後、満鉄に入社。社員に中国語や中国事情を教えていたという。
幼い淑子にも中国語を徹底的に教え込み、語学力を活かして日中関係の仕事についてほしいと考えていたようだと『私の半生』に書いている。中国語に堪能だったことがその後の彼女の人生を波乱の多いものにするのだが。
その後、奉天でオペラ歌手について声楽を習い、北京のミッションスクールを卒業する。
美貌と伸びやかな歌声を認められて奉天放送局の歌手に抜擢される。そして日中戦争開戦の翌年(1938年)に満州国の国策映画会社・満映にスカウトされる。当時満映に出向していた山梨稔は『私の半生』でこう語っている。
「北京官話(北京語=筆者注)ができて日本語がわかり、歌もうたえる満州娘──それこそわれわれが求めていた満映スターだった。そこで私も熱心に勧誘しはじめたわけです。ところが、よくよく聞いてみると、実は日本人」
こうして中国人女優・李香蘭が誕生したのだ。人気俳優・長谷川一夫と共演した日本満州合作映画は次々大ヒットし、中国人スターとして初来日した1941年2月11日の日本劇場公演にはファンが押し寄せ、劇場の周りを「七まわり半」した。
日本人でありながら中国人として生きなくてはいけなかった山口は、自分が日本人であることを告白しようとしたことがあったが、あなたを心の支えにしている中国民衆が落胆するからと説得されて、言い出せなかったそうだ。
そして敗戦を迎える。そのことを上海で知った山口は、こう思ったという。
「これでいいのだ、中国には中国の旗がひるがえるのが当たり前なのだ。が、一方ではかわいそうな日本、かわいそうな日本人──と、自分も日本人の一員でありながら、他人事のような感想も、胸に去来するのだった」
中国人でありながら中国を冒涜する映画に出演することによって日本の大陸政策に協力し、中国を裏切ったとして、男装の麗人といわれた川島芳子らとともに「漢奸(スパイ)」だとして軍事裁判にかけられる。「銃殺刑に処せられる」という噂も立ったが、かろうじて日本人であることを立証できた彼女は、なんとか1946年3月、引き揚げ船に乗ることができた。
李香蘭と悟られないため一旦トイレに身を潜めた。船内のラジオから流れてきたのは彼女が歌う「夜来香」だったという。
帰国後は李香蘭の名を捨て山口淑子として銀幕に復帰し、芸術家のイサム・ノグチ氏と結婚する。だがノグチ氏と離婚し、外交官の大鷹弘氏との再婚を機に映画界から引退する。
テレビ番組『3時のあなた』の司会者として1972年、北京で行なわれた日中共同声明の生中継をするが、そのときの気持ちをこう書いている。
「日中共同声明前文は、戦争状態の終結を告げ、日本側が過去の戦争をつうじて中国国民に重大な損害を与えたことを痛感、深く反省する、とうたっていた。
──私の瞼には、時局に翻弄されつづけた“李香蘭”の姿が去来し、ニュース・キャスターという立場も忘れて、こみあげてくるものをおさえることができなかった」
『週刊現代』(10/4号)で『私の半生』の共著者・藤原作弥氏は山口のことをこう語っている。
「『藤原さん、アイデンティティって何でしょうね』と、山口さんは口にしていたものです。自分を育ててくれた中国と、この世に生み出してくれた日本──彼女の人生は、その答えを求め続ける生涯でした。日系アメリカ人のイサム・ノグチ氏と結婚したのも、アイデンティティの探求と無関係ではありませんでした」
日中戦争という荒波に揉まれ、彼女の意思とは関わりなく数奇な人生を送らねばならなかった山口淑子は90歳の時、こう語った。
「平和は『当たり前』なんかじゃない」
平和な時代を継続させるには国民の強い意志が必要だと言いたかったのだろうか。あなたの遺志は次の世代に必ず伝えます。安らかにお休み下さい。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
今週は女優、女子アナの知られざる素顔を報じたものを3本選んでみました。へー、そうなのと驚かれること請け合いです。
第1位 「大江麻理子結婚!」(『週刊文春』9/25号)
第2位 「門外不出の最旬女優『共演NGリスト』」(『週刊ポスト』10/3号)
第3位 「実行犯マネジャーが本誌に吐露『江角マキコさんが自殺したら嫌だから』」(『週刊文春』9/25号)
第3位。『文春』が火を付けた江角マキコの長嶋一茂邸落書き事件だが、実行犯といわれる江角の元マネジャーが警察の事情聴取を受けたことで、さらに燃え上がっているようだ。
江角が沈黙を破って9月9日に、彼女のブログに概ねこう書いた。落書きのことは週刊誌で初めて知った。現在心療内科で治療中の元マネジャーから「このような事態を起こして迷惑をかけた」として謝罪の連絡がありました。立場上、自分の責任も重く感じ、長嶋様には申し訳ない……というような内容だが、これがまた論議を呼んでいると『文春』が書いている。
自分は何も知らずにマネジャーが勝手にやったことだと言っているが、前回の『文春』の取材で江角の母親が「マキコは落書きのことは知ってる」と話していること、元マネジャーの通院歴という個人情報を暴いたことは問題だ、などなど。
想像するに、プロダクションに在籍する若いマネジャーは、会社からも江角側からも相当なプレッシャーをかけられたのであろう。
テレビの取材などで彼は「私が勝手にやりました」と話しているそうだ。『文春』は事情聴取される数日前にマネジャー氏に話を聞いている。彼は「僕が(落書きを)単独でやったと言ったらどうなります?」と言い、それではどうして江角の子供が長嶋の子供や妻たちに虐められていることを知ったのか、という問いに対しては「(ネットで見て)腹いせでやったということもありえるでしょう?」と答えている。
しかし『文春』は、この「証言」は嘘だと決めつける。なぜなら彼が落書きをした2012年12月時点では、江角と長嶋の確執に関する書き込みは皆無だったという。
これが明るみに出てきたのは、江角が今年7月にブログで「ママ友いじめ」について書いたことからだ。
このマネジャー氏、精神的に不安定だという江角の言葉を打ち消し、こんなことまで言っている。
「落書きした犯人は訴えられるかな? できれば(訴えは)僕に向いてほしいんです。だって江角さんが自殺したら嫌じゃないですか……」
朝日新聞同様、江角が表に出てきて事情を説明しなければ、このトラブルは終わりそうもない。この騒動が長引けば江角の女優としてのキャリアに傷がつくことになると思うのだが。
第2位。人気女優は視聴率が取れるから、テレビ局としては同じドラマに2人も3人も出したいのだが、「共演はNG」という組み合わせがあると『ポスト』が報じている。
たとえば、このところ復活気味な沢尻エリカだが、テレビ局が共演させられない女優が数多くいるという。その筆頭が竹内結子。沢尻が「別に」発言で総スカンを食った会見は、竹内がヒロインの映画『クローズド・ノート』の発表会だったのだ。
このころ2人は同じ事務所に所属していて姉妹のように仲がよかったのだが、以来微妙な関係にあるという。この事務所には常盤貴子や北川景子もいるが、テレビ局はブッキングを避けているという。
付き合った男が同じという女優同士というのも神経を使うものらしい。柴咲コウとマイコは妻夫木聡の元カノと今カノだから「業界内で2人が同時にキャスティングされることはないと思います」(広告代理店関係者)ということらしい。
堤真一と噂になった鈴木京香と深津絵里、市川海老蔵と噂になった高岡早紀、米倉涼子、佐藤江梨子も同じような理由でNG。
佐藤健をめぐる争いで共演を頼まないというのが広末涼子と前田敦子だそうだ。
私がテレビドラマのプロデューサーなら「犬猿の仲の女優の共演だよ」と、そのことを売り物にしたドラマを作るが、テレビではそうもいかないようである。
さて第1位の前に……仲間由紀恵(34)が結婚してしまった。相手は俳優仲間の田中哲司である。かなり年上の48歳。田中は脇役が多いらしい。
テレビで田中が話しているのを見たが、木訥で優しい人柄のようである。03年にテレビドラマで共演して知り合い、08年ごろから真剣な交際を始めたそうだ。また週刊誌は「年収格差婚」などと書くのだろうか。仲間はNHKドラマ『花子とアン』で主演の吉高由里子を食うほどの人気を得て、年末の『紅白歌合戦』の司会をやるのではないかと噂されている。
人気に溺れず堅実な男を夫に選んだ仲間がいい。田中に対する男たちの嫉妬は凄いものがありそうだがね。
そして第1位。テレビ東京の看板アナ・大江麻理子(35)が結婚したことを『文春』が報じている。仲間同様、美人は年上の男が好きなようだ。
「大江のWBS(ワールドビジネスサテライト=筆者注)キャスター就任は年単位で進行してきたプロジェクト。メイン就任からわずか半年での入籍に上層部は頭を抱えています。WBSは経済報道に特化しており、企業の機密情報が入ってくる。結婚相手が証券会社のトップとなれば、インサイダーや情報操作の疑いを招きかねない。また、WBSの大スポンサーは、大和証券なんです」
『文春』でこう語るのはテレビ東京関係者。小谷真生子(まおこ)が16年にわたり君臨してきた夜のニュースの顔に、大江が抜擢されたのが今年の春。
バラエティなどもこなす彼女を1年間ニューヨーク支局へ赴任させ、満を持してWBSのキャスターに就任させたのに、半年もたたないうちに結婚。それも相手はマネックス証券の松本大(おおき)社長で、彼女より15歳上の50歳である。
このニュースは新聞などでも流れているから知っている人も多いと思うが、やはり、『文春』が取材に動き、それにあわてたテレ東側が、各社に結婚発表のリリースを送ったことから、ほかのメディアが知ることとなったのだ。
大江のラジオ番組に松本氏が出演したことがきっかけで知り合い、WBSのキャスターに就任した4月ごろから交際に発展したと、事情を知る関係者が語っている。
何が悲しくて15歳も年上のおっさんと結婚するのかと、やっかみ半分、うらやましさ半分でこの記事を読んだが、なんとこのおっさんものすごい金持ちらしい。
『文春』によれば、彼は埼玉県浦和市(現さいたま市)の出身で、親父さんは講談社の社員だったそうだ。開成高校から東大法学部へ。卒業後はソロモン・ブラザーズ・アジア証券に就職するが、3年後にゴールドマン・サックス証券に転職。
デリバティブ取引で収益を上げゴールドマンの史上最年少の共同経営者に選ばれているというから、この分野では相当なやり手である。
その後ネット証券の先駆けとしてマネックス証券を立ち上げ、時価総額は約85億円、年収は2億円ぐらいあるそうだ。
これまで家庭生活のことは一切出てこなかったそうだが、2年前に離婚していて2人の子どもがいるそうである。
バツイチで金持ちか。モテるんだろうね。心配なのは(私が心配してもどうということはないが)、先に指摘されたインサイダーや情報操作の疑いを招きかねないという点だろう。メディア論が専門の碓井広義(うすい・ひろよし)上智大学教授もこう言っている。
「証券会社社長と経済報道番組のキャスターとの結婚は、報道倫理的に問題がないとは言えない」
だが、元々この番組は日本経済新聞のお抱え番組で、これまでも企業の宣伝・広報かと見紛うような内容はあったのだし、見る側もそうしたことを頭に入れて何割か割り引いて番組を見ている(少なくとも私はそうだ)のだから、そう気にすることはないと思う。
もしマイナス点があるとすれば、見ている人間の多くが中年男だろうから、これから彼女が何をしゃべっても、彼女の背後に松本氏の“幻影”を見てしまうから、素直に彼女の表情やしゃべりを楽しめなくなることであろう。
久々の大物女性キャスター誕生かと思っていたので、チョッピリ残念ではある。
「戦前から戦中にかけて女優、歌手として活躍し、『白蘭(びゃくらん)の歌』『支那の夜』『夜来香(イェライシャン)』など数々のヒットを飛ばした李香蘭。生粋の日本人であるのにもかかわらず、日中両国の暗い狭間に立たされ、中国人としてデビューした彼女は、いかにして自らの運命を切り開いていったのか」(新潮文庫『李香蘭 私の半生』より。以下『私の半生』)
彼女は1920年2月12日に中国遼寧省の瀋陽で生まれ、生後間もなく撫順に越して幼女時代を過ごす。父親・山口文雄は佐賀県生まれ。日露戦争が終わった翌年に中国に渡り、中国語を学んだ後、満鉄に入社。社員に中国語や中国事情を教えていたという。
幼い淑子にも中国語を徹底的に教え込み、語学力を活かして日中関係の仕事についてほしいと考えていたようだと『私の半生』に書いている。中国語に堪能だったことがその後の彼女の人生を波乱の多いものにするのだが。
その後、奉天でオペラ歌手について声楽を習い、北京のミッションスクールを卒業する。
美貌と伸びやかな歌声を認められて奉天放送局の歌手に抜擢される。そして日中戦争開戦の翌年(1938年)に満州国の国策映画会社・満映にスカウトされる。当時満映に出向していた山梨稔は『私の半生』でこう語っている。
「北京官話(北京語=筆者注)ができて日本語がわかり、歌もうたえる満州娘──それこそわれわれが求めていた満映スターだった。そこで私も熱心に勧誘しはじめたわけです。ところが、よくよく聞いてみると、実は日本人」
こうして中国人女優・李香蘭が誕生したのだ。人気俳優・長谷川一夫と共演した日本満州合作映画は次々大ヒットし、中国人スターとして初来日した1941年2月11日の日本劇場公演にはファンが押し寄せ、劇場の周りを「七まわり半」した。
日本人でありながら中国人として生きなくてはいけなかった山口は、自分が日本人であることを告白しようとしたことがあったが、あなたを心の支えにしている中国民衆が落胆するからと説得されて、言い出せなかったそうだ。
そして敗戦を迎える。そのことを上海で知った山口は、こう思ったという。
「これでいいのだ、中国には中国の旗がひるがえるのが当たり前なのだ。が、一方ではかわいそうな日本、かわいそうな日本人──と、自分も日本人の一員でありながら、他人事のような感想も、胸に去来するのだった」
中国人でありながら中国を冒涜する映画に出演することによって日本の大陸政策に協力し、中国を裏切ったとして、男装の麗人といわれた川島芳子らとともに「漢奸(スパイ)」だとして軍事裁判にかけられる。「銃殺刑に処せられる」という噂も立ったが、かろうじて日本人であることを立証できた彼女は、なんとか1946年3月、引き揚げ船に乗ることができた。
李香蘭と悟られないため一旦トイレに身を潜めた。船内のラジオから流れてきたのは彼女が歌う「夜来香」だったという。
帰国後は李香蘭の名を捨て山口淑子として銀幕に復帰し、芸術家のイサム・ノグチ氏と結婚する。だがノグチ氏と離婚し、外交官の大鷹弘氏との再婚を機に映画界から引退する。
テレビ番組『3時のあなた』の司会者として1972年、北京で行なわれた日中共同声明の生中継をするが、そのときの気持ちをこう書いている。
「日中共同声明前文は、戦争状態の終結を告げ、日本側が過去の戦争をつうじて中国国民に重大な損害を与えたことを痛感、深く反省する、とうたっていた。
──私の瞼には、時局に翻弄されつづけた“李香蘭”の姿が去来し、ニュース・キャスターという立場も忘れて、こみあげてくるものをおさえることができなかった」
『週刊現代』(10/4号)で『私の半生』の共著者・藤原作弥氏は山口のことをこう語っている。
「『藤原さん、アイデンティティって何でしょうね』と、山口さんは口にしていたものです。自分を育ててくれた中国と、この世に生み出してくれた日本──彼女の人生は、その答えを求め続ける生涯でした。日系アメリカ人のイサム・ノグチ氏と結婚したのも、アイデンティティの探求と無関係ではありませんでした」
日中戦争という荒波に揉まれ、彼女の意思とは関わりなく数奇な人生を送らねばならなかった山口淑子は90歳の時、こう語った。
「平和は『当たり前』なんかじゃない」
平和な時代を継続させるには国民の強い意志が必要だと言いたかったのだろうか。あなたの遺志は次の世代に必ず伝えます。安らかにお休み下さい。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
今週は女優、女子アナの知られざる素顔を報じたものを3本選んでみました。へー、そうなのと驚かれること請け合いです。
第1位 「大江麻理子結婚!」(『週刊文春』9/25号)
第2位 「門外不出の最旬女優『共演NGリスト』」(『週刊ポスト』10/3号)
第3位 「実行犯マネジャーが本誌に吐露『江角マキコさんが自殺したら嫌だから』」(『週刊文春』9/25号)
第3位。『文春』が火を付けた江角マキコの長嶋一茂邸落書き事件だが、実行犯といわれる江角の元マネジャーが警察の事情聴取を受けたことで、さらに燃え上がっているようだ。
江角が沈黙を破って9月9日に、彼女のブログに概ねこう書いた。落書きのことは週刊誌で初めて知った。現在心療内科で治療中の元マネジャーから「このような事態を起こして迷惑をかけた」として謝罪の連絡がありました。立場上、自分の責任も重く感じ、長嶋様には申し訳ない……というような内容だが、これがまた論議を呼んでいると『文春』が書いている。
自分は何も知らずにマネジャーが勝手にやったことだと言っているが、前回の『文春』の取材で江角の母親が「マキコは落書きのことは知ってる」と話していること、元マネジャーの通院歴という個人情報を暴いたことは問題だ、などなど。
想像するに、プロダクションに在籍する若いマネジャーは、会社からも江角側からも相当なプレッシャーをかけられたのであろう。
テレビの取材などで彼は「私が勝手にやりました」と話しているそうだ。『文春』は事情聴取される数日前にマネジャー氏に話を聞いている。彼は「僕が(落書きを)単独でやったと言ったらどうなります?」と言い、それではどうして江角の子供が長嶋の子供や妻たちに虐められていることを知ったのか、という問いに対しては「(ネットで見て)腹いせでやったということもありえるでしょう?」と答えている。
しかし『文春』は、この「証言」は嘘だと決めつける。なぜなら彼が落書きをした2012年12月時点では、江角と長嶋の確執に関する書き込みは皆無だったという。
これが明るみに出てきたのは、江角が今年7月にブログで「ママ友いじめ」について書いたことからだ。
このマネジャー氏、精神的に不安定だという江角の言葉を打ち消し、こんなことまで言っている。
「落書きした犯人は訴えられるかな? できれば(訴えは)僕に向いてほしいんです。だって江角さんが自殺したら嫌じゃないですか……」
朝日新聞同様、江角が表に出てきて事情を説明しなければ、このトラブルは終わりそうもない。この騒動が長引けば江角の女優としてのキャリアに傷がつくことになると思うのだが。
第2位。人気女優は視聴率が取れるから、テレビ局としては同じドラマに2人も3人も出したいのだが、「共演はNG」という組み合わせがあると『ポスト』が報じている。
たとえば、このところ復活気味な沢尻エリカだが、テレビ局が共演させられない女優が数多くいるという。その筆頭が竹内結子。沢尻が「別に」発言で総スカンを食った会見は、竹内がヒロインの映画『クローズド・ノート』の発表会だったのだ。
このころ2人は同じ事務所に所属していて姉妹のように仲がよかったのだが、以来微妙な関係にあるという。この事務所には常盤貴子や北川景子もいるが、テレビ局はブッキングを避けているという。
付き合った男が同じという女優同士というのも神経を使うものらしい。柴咲コウとマイコは妻夫木聡の元カノと今カノだから「業界内で2人が同時にキャスティングされることはないと思います」(広告代理店関係者)ということらしい。
堤真一と噂になった鈴木京香と深津絵里、市川海老蔵と噂になった高岡早紀、米倉涼子、佐藤江梨子も同じような理由でNG。
佐藤健をめぐる争いで共演を頼まないというのが広末涼子と前田敦子だそうだ。
私がテレビドラマのプロデューサーなら「犬猿の仲の女優の共演だよ」と、そのことを売り物にしたドラマを作るが、テレビではそうもいかないようである。
さて第1位の前に……仲間由紀恵(34)が結婚してしまった。相手は俳優仲間の田中哲司である。かなり年上の48歳。田中は脇役が多いらしい。
テレビで田中が話しているのを見たが、木訥で優しい人柄のようである。03年にテレビドラマで共演して知り合い、08年ごろから真剣な交際を始めたそうだ。また週刊誌は「年収格差婚」などと書くのだろうか。仲間はNHKドラマ『花子とアン』で主演の吉高由里子を食うほどの人気を得て、年末の『紅白歌合戦』の司会をやるのではないかと噂されている。
人気に溺れず堅実な男を夫に選んだ仲間がいい。田中に対する男たちの嫉妬は凄いものがありそうだがね。
そして第1位。テレビ東京の看板アナ・大江麻理子(35)が結婚したことを『文春』が報じている。仲間同様、美人は年上の男が好きなようだ。
「大江のWBS(ワールドビジネスサテライト=筆者注)キャスター就任は年単位で進行してきたプロジェクト。メイン就任からわずか半年での入籍に上層部は頭を抱えています。WBSは経済報道に特化しており、企業の機密情報が入ってくる。結婚相手が証券会社のトップとなれば、インサイダーや情報操作の疑いを招きかねない。また、WBSの大スポンサーは、大和証券なんです」
『文春』でこう語るのはテレビ東京関係者。小谷真生子(まおこ)が16年にわたり君臨してきた夜のニュースの顔に、大江が抜擢されたのが今年の春。
バラエティなどもこなす彼女を1年間ニューヨーク支局へ赴任させ、満を持してWBSのキャスターに就任させたのに、半年もたたないうちに結婚。それも相手はマネックス証券の松本大(おおき)社長で、彼女より15歳上の50歳である。
このニュースは新聞などでも流れているから知っている人も多いと思うが、やはり、『文春』が取材に動き、それにあわてたテレ東側が、各社に結婚発表のリリースを送ったことから、ほかのメディアが知ることとなったのだ。
大江のラジオ番組に松本氏が出演したことがきっかけで知り合い、WBSのキャスターに就任した4月ごろから交際に発展したと、事情を知る関係者が語っている。
何が悲しくて15歳も年上のおっさんと結婚するのかと、やっかみ半分、うらやましさ半分でこの記事を読んだが、なんとこのおっさんものすごい金持ちらしい。
『文春』によれば、彼は埼玉県浦和市(現さいたま市)の出身で、親父さんは講談社の社員だったそうだ。開成高校から東大法学部へ。卒業後はソロモン・ブラザーズ・アジア証券に就職するが、3年後にゴールドマン・サックス証券に転職。
デリバティブ取引で収益を上げゴールドマンの史上最年少の共同経営者に選ばれているというから、この分野では相当なやり手である。
その後ネット証券の先駆けとしてマネックス証券を立ち上げ、時価総額は約85億円、年収は2億円ぐらいあるそうだ。
これまで家庭生活のことは一切出てこなかったそうだが、2年前に離婚していて2人の子どもがいるそうである。
バツイチで金持ちか。モテるんだろうね。心配なのは(私が心配してもどうということはないが)、先に指摘されたインサイダーや情報操作の疑いを招きかねないという点だろう。メディア論が専門の碓井広義(うすい・ひろよし)上智大学教授もこう言っている。
「証券会社社長と経済報道番組のキャスターとの結婚は、報道倫理的に問題がないとは言えない」
だが、元々この番組は日本経済新聞のお抱え番組で、これまでも企業の宣伝・広報かと見紛うような内容はあったのだし、見る側もそうしたことを頭に入れて何割か割り引いて番組を見ている(少なくとも私はそうだ)のだから、そう気にすることはないと思う。
もしマイナス点があるとすれば、見ている人間の多くが中年男だろうから、これから彼女が何をしゃべっても、彼女の背後に松本氏の“幻影”を見てしまうから、素直に彼女の表情やしゃべりを楽しめなくなることであろう。
久々の大物女性キャスター誕生かと思っていたので、チョッピリ残念ではある。