ブラインドサッカーは、1980年代に視覚障がい者のために開発されたサッカーで、当初は、南米やヨーロッパを中心にプレーされていた。その後、国際視覚障がい者スポーツ協会の正式ルールができあがり、日本でプレーされるようになったのは2001年。以来、急速に普及し、今では全国各地でブラインドサッカーチームができるまでになっている。パラリンピックや世界選手権などの国際大会も盛んで、目が見えないとは思えないほど迫力あるプレーに圧倒される観客は多い。

 ブラインドサッカーには、全盲の人のためのB1、弱視の人のためのB2/3の2つのクラスがある。ルールは、フットサル(選手5人ずつで戦うミニサッカー)によく似ているが、目の不自由な人がプレーできるように、いくつかの工夫がなされている。

 まず、全盲の人が参加するB1クラスでは、ゴールキーパーを含めた5人の選手に加え、コーチ、コーラーが1チームとなって戦うことになっている。ゴールキーパーは晴眼者(目の見える人)だが、4人のフィールドプレーヤーは視力の差を公平にするためにアイマスクをつけてプレーする。コーチはフェンスの脇からチーム全体に声を出して指示を出し、コーラーが相手側のゴールの裏からゴールまでの距離や角度を「5m!30度!」などと選手たちに伝える。

 ボールには、シャカシャカと音のする特殊な鈴が内蔵されており、その音を頼りに選手たちはボールの位置を確認する。また、危険な接触を防ぐために、ボールを持った選手に対して、周りの選手は「ボイ!」と声を出して、自分の場所を知らせることが義務付けられている。

 ボールの音源、選手やコーラー、コーチの声や気配などが、プレーをするための重要な情報となるため、観客も静かにプレーを見守らなければならない。

 弱視の人のためのB2/3クラスは、アイマスクや音の出るボールは使われず、フットサルと同じようなルールでプレーされる。

 このブラインドサッカーの世界選手権が、今年11月に東京・渋谷で開催される。ブラジル、フランス、スペインなど、各大陸の予選を勝ち抜いてきたチームが参加する予定。その強豪国を相手に、日本チームがどのような戦いを見せてくれるのか、楽しみだ。
   

   

ニッポン生活ジャーナル / 早川幸子   


早川幸子(はやかわ・ゆきこ)
水曜日「ニッポン生活ジャーナル」担当。フリーライター。千葉県生まれ。明治大学文学部卒業。編集プロダクション勤務後、1999年に独立。新聞や女性週刊誌、マネー誌に、医療、民間保険、社会保障、節約などの記事を寄稿。2008年から「日本の医療を守る市民の会」を協同主宰。著書に『読むだけで200万円節約できる! 医療費と医療保険&介護保険のトクする裏ワザ30』(ダイヤモンド社)など。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る