地方銀行による経営統合・再編の動きが相次いでいる。2014年11月、肥後銀行(熊本)と鹿児島銀行(鹿児島)、横浜銀行(神奈川)と東日本銀行(東京)がそれぞれ経営統合に向けて合意したと発表した。これに先立ち10月には東京都民銀行(東京)と八千代銀行(東京)も経営統合し、持ち株会社が発足した。

 それにしてもなぜ地方銀行の統合なのか。

 肥後銀行の甲斐隆博頭取は記者会見で「勝ち残っていくには、経営体力を大きくする必要があった」と統合の理由を説明した。

 地銀の統合・再編の背景にあるのは「人口減少」だ。地方を中心に進む人口減少は銀行の主要業務である住宅ローンの貸出先が減ることを意味する。また地方にはこれといった成長産業が少ないうえ、地銀以外にも信用組合、信用金庫などが存在する。そのため、数少ない優良企業に対し、「貸出競争」が行なわれているのが実情だ。人口減少や地方経済の衰退は地銀のビジネスモデルを揺るがしているのだ。

 こうした状況を踏まえ、2014年1月、金融庁長官が地銀首脳を集めた会合で「統合を経営課題として考えていただきたい」と促している。

 1990年代後半の金融危機で都銀を中心とする大手銀行は3大グループに収斂した。再編の大波がいまようやく地銀にも及ぼうとしている。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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