今から20年前の1995年1月17日。明石海峡を震源とする大地震が発生。のちに阪神・淡路大震災と呼ばれるこの災害は、近畿3府県に甚大な被害をもたらし、とくに兵庫県神戸市では地震による建物の倒壊、火災などによって多くの尊い命が奪われた。
地震や津波、噴火などの自然災害が起きると、人的被害もさることながら、暮らしの基盤である住宅にも深刻な被害を受ける。
阪神・淡路大震災の最終的な被害(全国)は、死者6434名、行方不明者3名、負傷者4万3792名。住宅被害は全壊10万4906棟、半壊14万4274棟、一部損壊が39万506棟にも及んだ。
自然災害が起きて激甚災害に指定されると、災害救助法に基づき、国庫負担で仮設住宅が建設される。この時も、翌2月から兵庫県、大阪府の18市11町に約4万8300戸の仮設住宅が建設された。ただし、仮設住宅への入居期間は、原則的に2年間と定められている(阪神・淡路大震災では、入居期限の延長が繰り返され、最後の被災者が仮設住宅を出るまでに5年を要した)。当時、阪神・淡路大震災は過去に例を見ないほど被害が甚大だと言われており、復興に時間がかかることも予想された。そのため、住宅を失った被災者から公的補償を望む声が上がるようになったのだ。
そして、被災者への公的補償を望む署名活動が全国的に展開されたことを受け、震災から3年後、1998年5月に「被災者生活再建支援法」が成立。自然災害が起きたときに住宅に被害を受けた被災者への公的補償が確立した。
ただし、住宅はあくまでも個人の持ち物だ。国は公費で私有財産を補償しない姿勢を貫いており、同法は、自然災害によって生活基盤に著しい被害を受けた人に対して、自立した生活を始めるための支援という位置づけとなっている。
対象となるのは、自然災害によって住宅が全壊したり、半壊になったりした人。もらえる支援金は(1)基礎支援金(住宅の被害程度)、(2)加算支援金(住宅の再建方法)から構成されている。
(1)基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給)
全壊/100万円
大規模半壊/50万円
(2)加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給)
建設・購入/200万円
補修/100万円
賃借(公営住宅以外)/50万円
阪神・淡路大震災の被災者には、同法は適用されていないが、復興基金によってほぼ同条件の支援金が支給された。そして、その後も、東日本大震災を含めた地震や津波、台風、豪雨などで住宅を失った被災者への支援が行なわれ、制度開始から2014年8月までに、21万3001世帯に、約3300億円が支払われている。
このように、阪神・淡路大震災を契機に、自然災害によって住宅を失うと国から一定の補償は受けられるようになったが、その額は最高でも300万円だ。住宅を再建したり、転居したりするのに十分な額とはいえず、自助努力での備えも必要だ。地震、津波、噴火などの自然災害で住宅に被害が出た場合、通常の火災保険では補償されないので、地震保険の加入を検討したい。
とくにリスクが高いのは、住宅ローン返済中の人だ。地震や津波、豪雨などで住む家を失っても、住宅ローンが消滅することはなく、返済し続けなければいけないからだ。被災して住めなくなった家のローンを払いながら、新しい家を建てたり、借りたりする費用を捻出するのは大変で、大きな災害のたびに住居費の二重負担が問題となっている。
20年前の阪神・淡路大震災を契機に作られた被災者生活再建支援法によって、当面の生活費の確保はできるようになった。しかし、長い目で見ると、決して十分なものとはいえない。
地震保険に加入したり、手持ちの貯蓄を増やすとともに、日頃からコミュニティの力を蓄えておくことも、災害への備えとなるだろう。
地震や津波、噴火などの自然災害が起きると、人的被害もさることながら、暮らしの基盤である住宅にも深刻な被害を受ける。
阪神・淡路大震災の最終的な被害(全国)は、死者6434名、行方不明者3名、負傷者4万3792名。住宅被害は全壊10万4906棟、半壊14万4274棟、一部損壊が39万506棟にも及んだ。
自然災害が起きて激甚災害に指定されると、災害救助法に基づき、国庫負担で仮設住宅が建設される。この時も、翌2月から兵庫県、大阪府の18市11町に約4万8300戸の仮設住宅が建設された。ただし、仮設住宅への入居期間は、原則的に2年間と定められている(阪神・淡路大震災では、入居期限の延長が繰り返され、最後の被災者が仮設住宅を出るまでに5年を要した)。当時、阪神・淡路大震災は過去に例を見ないほど被害が甚大だと言われており、復興に時間がかかることも予想された。そのため、住宅を失った被災者から公的補償を望む声が上がるようになったのだ。
そして、被災者への公的補償を望む署名活動が全国的に展開されたことを受け、震災から3年後、1998年5月に「被災者生活再建支援法」が成立。自然災害が起きたときに住宅に被害を受けた被災者への公的補償が確立した。
ただし、住宅はあくまでも個人の持ち物だ。国は公費で私有財産を補償しない姿勢を貫いており、同法は、自然災害によって生活基盤に著しい被害を受けた人に対して、自立した生活を始めるための支援という位置づけとなっている。
対象となるのは、自然災害によって住宅が全壊したり、半壊になったりした人。もらえる支援金は(1)基礎支援金(住宅の被害程度)、(2)加算支援金(住宅の再建方法)から構成されている。
(1)基礎支援金(住宅の被害程度に応じて支給)
全壊/100万円
大規模半壊/50万円
(2)加算支援金(住宅の再建方法に応じて支給)
建設・購入/200万円
補修/100万円
賃借(公営住宅以外)/50万円
阪神・淡路大震災の被災者には、同法は適用されていないが、復興基金によってほぼ同条件の支援金が支給された。そして、その後も、東日本大震災を含めた地震や津波、台風、豪雨などで住宅を失った被災者への支援が行なわれ、制度開始から2014年8月までに、21万3001世帯に、約3300億円が支払われている。
このように、阪神・淡路大震災を契機に、自然災害によって住宅を失うと国から一定の補償は受けられるようになったが、その額は最高でも300万円だ。住宅を再建したり、転居したりするのに十分な額とはいえず、自助努力での備えも必要だ。地震、津波、噴火などの自然災害で住宅に被害が出た場合、通常の火災保険では補償されないので、地震保険の加入を検討したい。
とくにリスクが高いのは、住宅ローン返済中の人だ。地震や津波、豪雨などで住む家を失っても、住宅ローンが消滅することはなく、返済し続けなければいけないからだ。被災して住めなくなった家のローンを払いながら、新しい家を建てたり、借りたりする費用を捻出するのは大変で、大きな災害のたびに住居費の二重負担が問題となっている。
20年前の阪神・淡路大震災を契機に作られた被災者生活再建支援法によって、当面の生活費の確保はできるようになった。しかし、長い目で見ると、決して十分なものとはいえない。
地震保険に加入したり、手持ちの貯蓄を増やすとともに、日頃からコミュニティの力を蓄えておくことも、災害への備えとなるだろう。