「学生時代に力を入れたこと」の略語。就職活動中の面接やエントリーシートなどで、かなりの高確率で企業側から訊ねられる質問であるらしく、のんべんだらりと4年(もしくはそれ以上)の大学生活を送ってきた多くの学生は、コレを無理矢理捻り出すのに一苦労なのだという。

 もちろん“正解”は社風の硬軟、面接官との相性、面接官のその日の気分、プレゼンする側(学生側)の表現能力……などによって異なってくるのだが、そもそもガクチカが就活の鉄板となること自体、戦後日本の教育制度の矛盾を象徴しているのではないかと筆者は考える。

 じつのところ、ガクチカに対する“完璧な正解”は一つだけある。「学業が忙しくて、ほかのことに力を入れるヒマがありませんでした」だ。つまり企業側は端っから「大学は勉強する場所ではない」と断定し、「ガクチカは学業です」という解答を放棄しているのである。それどころか「大学で勉強ばかりしていたヤツは要領の悪い堅物」のレッテルを貼っているフシさえ見受けられる。まったくもって嘆かわしい話ではないか……なんて戯れ言を、就活中「学生時代はテニスサークルのキャプテンを務めながら、ジャズのプロドラマーのボウヤ(アシスタント)もやってました」程度の凡庸なガクチカしか“作る”ことができなかった筆者が語る資格なんぞ、まったくないのだが(笑)?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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