「置き菓子」の代名詞的存在となったサービス「オフィスグリコ」をご存知だろうか。職場に専用の場所が設けられ(「リフレッシュボックス」と呼ばれる)、社員は好きなタイミングで息抜きにお菓子が食べられる。ボックスは随時補充され、メンテナンスなどはメーカー側が行なう。いまや都会のオフィスですっかりおなじみとなっているが、このお菓子でなく食事バージョンといえるのが「オフィスおかん」(「おかん」は関西の方言で子どもが母親を呼ぶ語)だ。社員食堂がない企業に人気である。

 忙しい現代、食事の時間も自由にならないという職場は多い。周辺に安価なランチの場がない、いつもコンビニでは味気ない、といった食の悩みは尽きない。そんな中、2014年3月、オフィス向けにサービスを始めた「オフィスおかん」は、潜在的なニーズにうまくはまっていた。冷蔵庫・専用ボックスから24時間、いつでもご飯とおかずを取り出して食べられる。「おかん」のネーミングの通り、「さばの味噌煮」「かぼちゃの煮付け」といった昔ながらのヘルシーメニューがうれしい。福井県の惣菜店「大津屋」で、1か月は保存できる独特の方法で作られているという。考えてみれば、ものが美味しく健康的とされている日本で、いままでどうしてこの手のサービスが確立していなかったのか、不思議なところではある。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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