政府は、企業を対象にした「ふるさと納税」の導入を検討している。地方創生を後押しする施策の一つだ。

 現在のふるさと納税は、当時の菅義偉総務大臣(現・官房長官)の肝いりで2008年度に導入された。個人が対象で、応援したい自治体に寄付すると、寄付した額の一部について、所得税と、寄付した人が居住する自治体の個人住民税が控除対象となる。これを企業にも適用しようというわけだ。

 自治体に民間企業の資金を投入して地方の活性化を進めるのが狙い。日本の企業が蓄積する内部留保(剰余資金)は2014年度末で320兆円もある。いわば埋蔵金といっていい。そのほんの一部でも地方に振り向ければ、インパクトのある地方振興策につながる。

 具体的な制度設計はこれからだが、原材料の生産地や創業者の出身地など、企業が支援したい自治体に寄付すると、企業の本社がある自治体に納付する法人住民税が軽減されるという。

 個人のふるさと納税の場合は、自分のふるさとや気に入った自治体を選べる。これに対し、たとえば株式会社の場合、社長や創業者の出身自治体に寄付する行為を株主が認めるのかどうかが課題だ。そもそもふるさと納税など小手先の人気取り施策ではなく、抜本的な形で税財源の地方移譲を求める声もある。

 財務、総務両省などで制度設計を行ない、早ければ2016年度からの実施を目指す。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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