飲酒と喫煙を18歳から認めてはどうか──そんな議論が自民党の「成年年齢に関する特命委員会」(委員長・今津寛衆院議員)で持ち上がった。提言の形にとりまとめ、政府に提出しようというのだ。

 きっかけは、公職選挙法が改正され、選挙権が20歳から18歳に引き下げられることだ。2016年夏の参院選から適用されるが、だったら、同じ「大人の象徴」ということで「酒もたばこも」というわけだ。ちなみに飲酒、喫煙ができるのは「未成年者飲酒禁止法」と「未成年者喫煙禁止法」が「20歳以上」と定めている。

 それにしても選挙権が引き下げられたからといって「酒もたばこも」というのは、短絡過ぎないだろうか。
 例えば、高校3年生ではクラスに酒やたばこが認められる生徒とそうでない生徒が混在することになる。これでは学校現場では生徒指導の先生は頭を抱えるだろう。生徒用の「喫煙コーナー」が設けられるなんてありえない話だ。国はがん予防のために禁煙を推進したり、分煙化を進めたりしているが、18歳への引き下げは整合性がとれない。

 自民党内のこうした動きに対し、日本医師会の横倉義武会長は2015年9月9日の記者会見で「国民の健康の維持・増進の視点から断じて容認できるものではない」と批判した。医療者として当然だろう。

 さすがに自民党内からも異論が相次ぎ、特命委員会は同年9月10日、解禁容認を打ち出していた提言の当初案を撤回。結局、提言は両論併記の形となった。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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