「えらい、すいまへんな」。京都で数日過ごせば、二、三度は必ず耳にするだろう。「どうもすいません」とか、「どうもありがとう」を意味する方言である。「えらい」は、京都でいろんな意味に使い分けられる、たいへん便利なことばである。
例えば、「えらい人出やわ」とか「えらいぎょうさん」といえば、「たいへんな」や「たくさんの」という意味になる。「えらいことになってしもた」ならば「とんでもない」だ。さらに「今日はえらいなー」といえば、「しんどい」ということばと同じで、「つらい」「苦しい」「疲れたなー」といった状態を表す時に使われる。「えらー」と、単に語尾を延ばせば、しんどくて、やるせない気持ちを強調して表すこともできる。語源は一説に、江戸時代に使われるようになった俗語で、けやけく峻(するど)いことを意味する「苛(いら)しけない」が転じたとされている。
京都の人は、いろいろと縮めて使いこなす。「えらしり」は「よく知ってること」。「えらでき」は「よくできること」。「えらうけ」ならば「すごく評判がよい」という意味だ。「えらい(行)き」というのもあって、「たやすいこと」を表している。昔からのことばだが、とても現代的である。
523段あるという、えらいしんどい階段を上がると、そこに豊臣秀吉が眠る。東山の阿弥陀ヶ峰山頂の豊国廟にて。
例えば、「えらい人出やわ」とか「えらいぎょうさん」といえば、「たいへんな」や「たくさんの」という意味になる。「えらいことになってしもた」ならば「とんでもない」だ。さらに「今日はえらいなー」といえば、「しんどい」ということばと同じで、「つらい」「苦しい」「疲れたなー」といった状態を表す時に使われる。「えらー」と、単に語尾を延ばせば、しんどくて、やるせない気持ちを強調して表すこともできる。語源は一説に、江戸時代に使われるようになった俗語で、けやけく峻(するど)いことを意味する「苛(いら)しけない」が転じたとされている。
京都の人は、いろいろと縮めて使いこなす。「えらしり」は「よく知ってること」。「えらでき」は「よくできること」。「えらうけ」ならば「すごく評判がよい」という意味だ。「えらい(行)き」というのもあって、「たやすいこと」を表している。昔からのことばだが、とても現代的である。
523段あるという、えらいしんどい階段を上がると、そこに豊臣秀吉が眠る。東山の阿弥陀ヶ峰山頂の豊国廟にて。