ドナルド・トランプ。1946年ニューヨーク市クイーンズ生まれ。父親の不動産会社を引き継ぎ、76年に破綻状態にあったコモドアホテルを買収してグランド・ハイヤット・ホテルとして開業、大成功させるなど不動産事業、カジノなどで手腕を発揮して大富豪になる。1983年にマンハッタンにトランプタワーを、2001年に超高級マンションを建設し、2004年から始まったTV番組『アプレンティス』で「おまえはクビだ!」のセリフで人気者になった。私生活では離婚結婚を繰り返し、現在は3度目の結婚継続中。69歳。
11月に行なわれる大統領選挙に名乗りを上げるが、当初は泡沫候補扱いだった。だが、選挙資金を献金に頼らず、メキシコからの不法移民を「犯罪者やレイプ魔」呼ばわりするなど過激な発言が問題になったことで、かえって支持率を上げていった。
イスラム国や中国への激烈な批判や富裕層の減税措置廃止などの主張が白人労働者たちを中心に支持を集めトランプ旋風を巻き起こして、3月1日に行なわれたスーパーチューズデーでは11戦7勝の大勝利をおさめた。これによって彼は共和党の候補指名をほぼ手中に収めたようである。
政治手腕も未知数で暴言を繰り返すトランプ氏を冷ややかに見ていたアメリカのメディア、特に保守系メディアは大慌てである。
『ワシントン・ポスト』は2月25日、トランプ氏の独走を止めるために共和党指導者に行動を起こすよう異例の社説を掲載した。やはり保守系雑誌『ナショナル・レビュー』は「トランプ人気に対して断固抵抗ののろしを上げろ、トランプは保守派からの支持に価しない」という論説を掲げた。
『ニューズウィーク日本版』(3/8号)でジョシュ・ブアヒーズ氏(スレート誌シニアライター)は、以前、トランプ氏は自己誇張癖の偏見に満ちた目立ちたがり屋で、大統領指名選挙に勝てるわけがないと予言したことを誤りだったと認め、クリントン民主党候補と争った場合「民主党は勝利を確信できない」と書いている。
なぜ、トランプ氏がこれほどまでに支持を拡大していったのかを、さまざまなメディアや識者が分析している。朝日新聞(3月1日付朝刊)で中山俊宏慶應大学教授は「共和党のトランプ氏の躍進は『転落への恐怖感』の裏返しです。社会の主流だと思っていた層がグローバル化の中で展望を失い、『白人である』こと以外によりどころがない人が増えています。
その人たちにとって、移民排斥などを訴えるトランプ氏の言葉は爽快です。他の政治家なら政治生命を絶たれるような問題発言も、逆に力に結びついてしまうのは、そういう背景を巧みに利用しているから」だと分析している。
曾野綾子氏は『週刊ポスト』(3/11号)で、トランプ氏のような「非常識人」が人気を集めるのは「恐らくアメリカ人たちは、最近のマスコミの虚偽性に飽き飽きしていた」からだと言い、これは日本も同じだと書いている。
「最近のマスコミの世界には、人道主義、飽くなき平等への希求、弱者救済への支持、生活上の格差是正への強烈な情熱、反政府主義、武力絶対反対などの意思を示さねば、生き残れないように感じている人がかなりいることは確かだし、事実マスコミは、その線に沿ってしか発言しなくなっている」。だからトランプ氏の「率直すぎるような言葉」は、今まで長年隠されてきた人間性の解放を感じさせ、その結果が支持というより人気を得ていると分析している。
マスコミへの不信感からトランプ人気が沸き上がっているとは、私は考えないが、居酒屋で酔客たちが話している「ホンネ」を、公の場で公然と言い放っているトランプ氏に、ある種のカタルシスを味わっているアメリカ国民がかなりいるというのは間違いないだろう。
彼は「アメリカを再び偉大な国にする」という。偉大なアメリカ、強いアメリカを取り戻すという言い方に、アメリカ元大統領を思い出す人は多いだろう。
ロナルド・レーガン第40代大統領である。ロナルドとドナルド。年もほぼ同じ。俳優と不動産業出身。レーガン氏は大統領初の離婚経験者でトランプ氏は2度。レーガン氏は経済不況とイランで起きたアメリカ大使館員人質事件に対するカーター大統領の弱腰を批判し、「力による平和」を訴えて共和党に勝利をもたらした。
トランプ氏もオバマ大統領の対中国外交やテロ対策は弱腰だと批判的である。イランと結んだ核合意にも不満を持っているのではないか。違うところはレーガン氏がカリフォルニア州知事をやっているのに、トランプ氏の政治的手腕は全くの未知数であるところだが、副大統領にそうしたことに長けている人間を指名することでマイナス点をカバーすることはできるかもしれない。
個人的には民主社会主義者を任じ、最低賃金を上げ不平等を是正することを掲げて若者層から熱烈な支持を集めているサンダース氏が民主党候補になり、トランプ氏と争う大統領選を見てみたいと思う。メディアの予想でも、そうなればサンダース氏有利と出ている。
一見、違うタイプに見えるヒラリーとトランプだが、力による外交など似通ったところは多いから、意外に接戦になるかもしれない。
ではもしトランプ大統領が実現したら、日本にとっては吉か凶か? かつて共和党政権は「親日的」で民主党は「反日的」だと言われていたが、『週刊新潮』(3/3号)が特集を組んでいるので紹介しよう。
結論から言えば凶である。それも相当なものになると『新潮』は言っている。何しろ以前からこう言って憚らないのだから。
「日本が攻撃されると、アメリカは助けに行かなければならない。だが、われわれが攻撃を受けても日本は助ける必要がない。日米安全保障条約は不公平だ」
「日本人はやたらにペコペコして、われわれをおだて、最後にこっちの財布を空っぽにしている。彼らがニヤニヤと嘲笑っている間にアメリカの貿易収支は何千億ドルもの赤字になっている」
トランプ氏が目の敵にしているのがTPPである(ヒラリー氏もTPPはやらないと明言している)。「アメリカを犠牲にして日本が大きな利益を得る協定」と言っているのだ。
つまり在米ジャーナリストの古森義久氏が言うように、
「日本の防衛費を増額せよ、米軍基地に対する思いやり予算を増やせ、といった主張を繰り返すでしょう。つまり、“今の状況はギブアンドテイクではなく、ギブアンドギブだ。日本は見返りを出せ”ということです」
レーガン大統領以上に「強いアメリカの復活」を旗印に掲げるトランプ氏が当選すれば、中東だけではなく中国にも強硬姿勢を見せるだろう。そうなれば南シナ海で戦火を交えるということも絵空事ではなくなる。
「トランプ・安倍・金正恩」は「レーガン・中曽根・全斗煥」より何倍も危ない政権であることは間違いないと思う。
アメリカでも日本でも、今求められているのはサンダース氏のようなリーダーであるはずだ。共産党以外の野党の中で、格差是正、富の再配分を掲げて選挙戦を戦う政党が出てくれば、必ずブームを起こし多くの当選者を出せると思うのだが、そうした頭の回る政治家がいないのが、この国の最大の不幸である。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
『週刊エコノミスト』が「アメリカ大失速」という特集を組んでいるが、日本が頼みにしているアメリカ経済の足下が揺らいでいるようだ。識者の中にはあのリーマンショックの頃と似てきていると見る人もいる。中国経済や原油安、日本を取り巻く経済環境は不透明さを増してきている。だが、安倍首相はアベノミクスを忘れたかのように、参議院選で大勝して改憲すると前のめりである。もっとやるべきことがある。そう安倍首相にわからせるためにも、参議院選で自民党を勝たせてはいけない。野党は小異を捨てて大同につくべきである。
第1位 「マイナス金利静かな取り付け騒ぎ」「黒田日銀総裁はなぜいま家を買ったのか」(『週刊現代』3/12号)
第2位 「SPEED今井絵理子の『婚約者』A氏が風俗店で働かせた当時17歳少女の独占証言」(『週刊ポスト』3/11号)
第3位 「『がん検診は意味がない』の衝撃」(『週刊文春』3/3号)
第3位。米国の研究グループが今年1月6日に発表した論文が検診業界に大きな一石を投じることになったという『文春』の記事。
「がん検診によって、命が助かる証拠はない」というばかりか、検診によって不利益を被る可能性も少なくないと著者らは主張しているというのである。
筆頭著者は血液腫瘍医で、公衆衛生・予防の専門家でもある米国オレゴン健康科学大学准教授のヴィナイ・プラサッド医師。権威ある医学誌の一つ『BMJ(英国医師会雑誌)』に掲載されたそうだ。
『文春』によれば、この論文の主要な論点はこうだという。
「これまで欧米では、各がん検診の効果を検証する臨床試験がいくつも実施されてきた。それらのデータをがんの種類ごとに統合して解析した研究(システマティックレビュー)を調べたところ、十のうち三つの研究で、検診の対象となったがんの死亡が減っていることが確かめられた。ところが、あらゆる要因によるすべての死亡(総死亡率)が減ったことを示した研究は一つもなかった。
つまり、がん検診を受ければ、そのがんで死ぬことは防げるかもしれないが、結果として検診を受けない場合に比べて長生きできる保証はないということだ」
まず挙げられるのが「擬陽性」に伴う不利益だという。これは、結果としてがんでないものを「異常あり」と診断してしまうことを指すそうだ。
たとえば、PSA(前立腺特異抗原)という血液検査が行なわれる場合、がんかどうかを確かめるために、股間や直腸内から何本も針を刺して組織を取り、前立腺の細胞を調べる「生検」が行なわれるが、論文によると、この検査方法によって深刻なダメージを受けて入院したり、死亡したりするケースがあるという。また、がんかもしれないというストレスで鬱状態になる人や心臓発作、自殺をする人もいるそうである。
そしてより大きな不利益になり得るのが「過剰診断」にともなう害だという。これは治療する必要のないものを病気と診断して、治療してしまうことを指す。
「『がん』を放置したら、すべてが命取りになると思っている人が大半だろう。だが、がんのすべてがどんどん大きくなったり転移したりして、命を奪うわけではない。ゆっくり大きくなるものや、そのままの状態で、おとなしくしているもの、あるいはいつの間にか消えてしまうものもある」(『文春』)
特に前立腺がんや乳がんでは、この擬陽性や過剰診断が想像する以上に多いことが近年指摘されるようになったという。
米国では、これまでに検診で乳がんと診断されたうちの3分の1が過剰診断だったと指摘する衝撃的な論文が12年に報告されているそうである。
こうした害によって寿命が縮む人がいるために、検診の対象となるがんの死亡率が下がったとしても、その効果が打ち消されて、総死亡率が下がらないということが起こりうるのだという。
新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は、この論文の著者らの主張は100%その通りだという。
「しかし、がん検診は巨大なビジネスなので、日本だけでなく世界中の学会が医療産業のマイナスになる主張を無視してきました。その中で、BMJのような権威ある雑誌がこの論文を載せたことは画期的です」
当然これに反対する声もある。国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部の斎藤博部長はこう語る。
「すべてのがん検診について言える根拠はまだありません。大腸がんでは過剰診断も指摘されていません」
だが乳がんに関してはこうだと言う。
「乳がん検診には、二〇~三〇%前後の死亡率を減らす効果があるとされてきた。しかしそれは、千人のうち死亡数が三人から二人に減ったという数字に基づいて計算されていたわけだ。見方を変えれば、検診で乳がん死を防げるのは千人のうち一人で、九百九十九人(99.9%)は検診を受けても受けなくても十年後の運命は同じということだ」(『文春』)
国は2007年に施行された「がん対策基本法」に基づき、がん検診の受診率50%を目標に掲げてきた。だが、命を救う証拠がないうえに、受診者が増えるほど検診の害を受ける人が増えるのに、やみくもに検診率を上げる政策が正しいと言えるのだろうかと、『文春』は疑問を呈している。
プラサッド医師らも論文で「検診を受けないことは、多くの人にとって合理的で賢明な選択かもしれない」としている。
早期発見こそがんで生き延びられる唯一の方法だと、日本人はすり込まれすぎたのかもしれない。ここでもう一度、がん検診について考え直すことが必要であろう。
第2位。先週、SPEEDのボーカルで、先日、早々と自民党参院選の“目玉”として立候補を表明した今井絵理子氏 (32)の彼氏に悪い噂があると各誌が報じた。今週も『ポスト』が続報している。
今井絵理子氏の婚約者A氏が風俗店で働かせていた当時17歳だった少女が独占証言したというのである。
その前に、昨年3月にA氏とともに逮捕された風俗店の共同経営者X氏の証言。
以前から風俗関係で働いていたX氏は、A氏と10年ほど前に知り合ったという。
「もともとAは闇金をしていたから、お互い“夜の街の人間同士”として出会いました。2013年にAから『闇金で稼いだカネがあるから風俗の仕事を始めてみたい』といわれ、ノウハウを提供して松山の歓楽街で『ヌキ屋』というピンサロのような店をやることにした。そもそも風俗店を営業してはいけないエリアで始めたので、はじめから違法風俗です。店は名前もなく、客はもっぱらキャッチ(呼び込み)で集めて、料金は30分で1万円。ぶっちゃけ、本番をやらせていました。今井さんが『キャバクラだと聞いている』といっているようですが、全く意味不明。今井さんも知らないわけがありません」
X氏は今井氏にも会ったことがあるという。
「『会わせてよ』といったら、一昨年の夏頃に本当に会わせてくれたんです。今井さんは、夜の世界への知識は全然なかったけど、好奇心が強くて僕らの仕事の話を面白そうに聞いていました。それで彼女は『現場も見てみたい』と思ったらしく、一度その風俗店に来たこともありました。その時はさすがに怖そうにしていて、全然面白そうではなかったですが」
次の証言者は西野カナ似のYさん(18)。彼女は事件当時の報道で「17歳の無職少女」とされた女性。彼女が店で働き始めたのは、ほかならぬA氏の斡旋だったという。
「私は家出して沖縄に来て彼氏と暮らしてたんですが、その彼氏がAさんからおカネを借りていて返せなくなったんです。10日で1割の利息みたいな典型的な闇金でした。それで借金を返すために、Aさんから『うちの店で働け』といわれて働き出しました。出勤は夜の9時ごろから明け方までで、コンドームありで本番していました。(中略)ほとんど未成年で、私と同じようにAさんの闇金関係で働かされている子たちでした」
彼女は「Aさんは店の子たちに『SPEEDの今井と付き合ってる』と自慢していました」と語るが、彼女はSPEEDを知らなかった。
「『子供や母親が明るい希望を持てる社会づくりをしたい』という今井氏の政治理念と、未成年の少女を風俗で働かせていた男性を庇う姿勢とは、あまりにもかけ離れて見える」と『ポスト』は批判している。
さらに「党幹部たちはこの一件を『彼を更生させようとしている美しい話だ』と美談にすり替え、3月13日の党大会では今井氏に『君が代』を斉唱させるとぶち上げたのだ。
果たして彼女の歌う『君が代』の歌声は、有権者の心にどう響くのだろう」と『ポスト』は疑問を呈している。これだけの彼氏の“前”が暴かれてしまった今井氏にとって、厳しい選挙戦になることは間違いない。彼女はどうするのだろうか?
第1位。『現代』は、絶対安全なはずのゆうちょ銀行が危ない、マイナス金利で静かな取り付け騒ぎが起こりかねないと報じている。
ゆうちょ銀行は昨年11月に鳴り物入りで上場を果たした日本郵政グループの金融部門だが、その収益の柱は国債の運用である。だが日本郵政グループ関係者がこう語る。
「ゆうちょ銀行の運用資金は約200兆円ですが、そのうち4割を国債で運用しています。ところが、マイナス金利の影響で、もともと低かった利回りがさらに下がり始めている。そこでゆうちょは株式や不動産ファンドなどを運用することで収益を上げられる態勢を作ろうと試みています」
だが、これが危ないというのである。嘉悦大学ビジネス創造学部教授の小野展克(のぶかつ)氏がこう語る。
「運用経験に長けている他行の担当者からは『ゆうちょは、あんな態勢で始めて大丈夫なのか』と心配する声が上がっています。優秀なファンドマネジャーでも、一人で運用できる規模は500億円程度が限界。ゆうちょ銀行は今後数十兆円もの規模を運用するわけですから、かなり大規模かつ実力の伴う運用部隊を配備する必要があります。ゴールドマン・サックスなど外資系投資銀行から人材を引き抜いていますが、いまはまだ『素人』が大半です」
たしかにそうだとすれば怖い話である。
「絶対安心だと信じていたゆうちょ銀行が、運用で数兆円規模の損失を出したということがニュースになれば、一般の預金者たちに与えるショックは計り知れない。パニックに近い取り付け騒ぎが起こるでしょう」(経済紙金融担当記者)
だが、マイナス金利の開始以来、賑わっているところもあるという。金融機関による住宅ローンの金利引き下げ競争がヒートアップして、1%を下回る超低金利が続々と登場しているそうだ。
そこであきらめていた夢のマイホームが視野に入り、モデルルームや住宅展示場に足を向ける人が急増しているというのである。
そんななか、黒田日銀総裁が自腹を切って、自らマイホーム購入という大きな買い物をしてみせたそうだ。
新居は世田谷区の人気住宅エリアで駅に近い上、公園の緑が豊かに広がる好立地に立つ瀟洒な高級低層マンションだという。
そのマンションを中古で購入した。新築時には1億円を超えた部屋で、値段が落ちる物件ではないので、中古でも1億円近くの値がついてもおかしくはないそうだ。
『現代』が不動産登記謄本を見てみると、ローンの記載はない。黒田総裁は借金をせず、手持ちの金だけでこの「億ション」を購入したことになる。
以前、黒田総裁が日銀総裁就任からずっと住んでいたのはUR(都市再生機構)の賃貸住宅で、家賃は20万円以上するが相場よりは割安だったそうである。
だが、『現代』に言わせると、黒田総裁は新居のために1億円近いキャッシュを使ったから預金は目減りしており、老後を考えたら1円でも多くの資金的余裕を確保したいはずだから、
「つまり、景気を上向かせるためにも、自分の老後を考えても、黒田総裁がマイナス金利政策をどんどんエスカレートさせていくことだけは間違いない。18年の総裁任期満了までの少なくともあと2年。日本ではマイナス金利という異常事態が続くということを覚悟しなければいけない」(日銀ウォッチャー)
だが、黒田日銀総裁も安倍首相も頼りにするアメリカ経済に赤信号が点っているのである。『週刊エコノミスト』(3/8号)は「アメリカ大失速」という特集を組んでいるが、そのなかでニューヨーク在住のエコノミストがこう警告している。
「原油価格が反転せず、各国が財政も打てないなかで、米国が誤った判断で利上げを行ったり、想定外リスクが起きれば、株式などリスク資産の売りが進んで、気づいたら“恐慌状態”に入っていたというシナリオもありうる」
そうなれば世界経済に危機的状況を生むことになる。そうならないことを願うが、前途は多難であることは間違いないようだ。
11月に行なわれる大統領選挙に名乗りを上げるが、当初は泡沫候補扱いだった。だが、選挙資金を献金に頼らず、メキシコからの不法移民を「犯罪者やレイプ魔」呼ばわりするなど過激な発言が問題になったことで、かえって支持率を上げていった。
イスラム国や中国への激烈な批判や富裕層の減税措置廃止などの主張が白人労働者たちを中心に支持を集めトランプ旋風を巻き起こして、3月1日に行なわれたスーパーチューズデーでは11戦7勝の大勝利をおさめた。これによって彼は共和党の候補指名をほぼ手中に収めたようである。
政治手腕も未知数で暴言を繰り返すトランプ氏を冷ややかに見ていたアメリカのメディア、特に保守系メディアは大慌てである。
『ワシントン・ポスト』は2月25日、トランプ氏の独走を止めるために共和党指導者に行動を起こすよう異例の社説を掲載した。やはり保守系雑誌『ナショナル・レビュー』は「トランプ人気に対して断固抵抗ののろしを上げろ、トランプは保守派からの支持に価しない」という論説を掲げた。
『ニューズウィーク日本版』(3/8号)でジョシュ・ブアヒーズ氏(スレート誌シニアライター)は、以前、トランプ氏は自己誇張癖の偏見に満ちた目立ちたがり屋で、大統領指名選挙に勝てるわけがないと予言したことを誤りだったと認め、クリントン民主党候補と争った場合「民主党は勝利を確信できない」と書いている。
なぜ、トランプ氏がこれほどまでに支持を拡大していったのかを、さまざまなメディアや識者が分析している。朝日新聞(3月1日付朝刊)で中山俊宏慶應大学教授は「共和党のトランプ氏の躍進は『転落への恐怖感』の裏返しです。社会の主流だと思っていた層がグローバル化の中で展望を失い、『白人である』こと以外によりどころがない人が増えています。
その人たちにとって、移民排斥などを訴えるトランプ氏の言葉は爽快です。他の政治家なら政治生命を絶たれるような問題発言も、逆に力に結びついてしまうのは、そういう背景を巧みに利用しているから」だと分析している。
曾野綾子氏は『週刊ポスト』(3/11号)で、トランプ氏のような「非常識人」が人気を集めるのは「恐らくアメリカ人たちは、最近のマスコミの虚偽性に飽き飽きしていた」からだと言い、これは日本も同じだと書いている。
「最近のマスコミの世界には、人道主義、飽くなき平等への希求、弱者救済への支持、生活上の格差是正への強烈な情熱、反政府主義、武力絶対反対などの意思を示さねば、生き残れないように感じている人がかなりいることは確かだし、事実マスコミは、その線に沿ってしか発言しなくなっている」。だからトランプ氏の「率直すぎるような言葉」は、今まで長年隠されてきた人間性の解放を感じさせ、その結果が支持というより人気を得ていると分析している。
マスコミへの不信感からトランプ人気が沸き上がっているとは、私は考えないが、居酒屋で酔客たちが話している「ホンネ」を、公の場で公然と言い放っているトランプ氏に、ある種のカタルシスを味わっているアメリカ国民がかなりいるというのは間違いないだろう。
彼は「アメリカを再び偉大な国にする」という。偉大なアメリカ、強いアメリカを取り戻すという言い方に、アメリカ元大統領を思い出す人は多いだろう。
ロナルド・レーガン第40代大統領である。ロナルドとドナルド。年もほぼ同じ。俳優と不動産業出身。レーガン氏は大統領初の離婚経験者でトランプ氏は2度。レーガン氏は経済不況とイランで起きたアメリカ大使館員人質事件に対するカーター大統領の弱腰を批判し、「力による平和」を訴えて共和党に勝利をもたらした。
トランプ氏もオバマ大統領の対中国外交やテロ対策は弱腰だと批判的である。イランと結んだ核合意にも不満を持っているのではないか。違うところはレーガン氏がカリフォルニア州知事をやっているのに、トランプ氏の政治的手腕は全くの未知数であるところだが、副大統領にそうしたことに長けている人間を指名することでマイナス点をカバーすることはできるかもしれない。
個人的には民主社会主義者を任じ、最低賃金を上げ不平等を是正することを掲げて若者層から熱烈な支持を集めているサンダース氏が民主党候補になり、トランプ氏と争う大統領選を見てみたいと思う。メディアの予想でも、そうなればサンダース氏有利と出ている。
一見、違うタイプに見えるヒラリーとトランプだが、力による外交など似通ったところは多いから、意外に接戦になるかもしれない。
ではもしトランプ大統領が実現したら、日本にとっては吉か凶か? かつて共和党政権は「親日的」で民主党は「反日的」だと言われていたが、『週刊新潮』(3/3号)が特集を組んでいるので紹介しよう。
結論から言えば凶である。それも相当なものになると『新潮』は言っている。何しろ以前からこう言って憚らないのだから。
「日本が攻撃されると、アメリカは助けに行かなければならない。だが、われわれが攻撃を受けても日本は助ける必要がない。日米安全保障条約は不公平だ」
「日本人はやたらにペコペコして、われわれをおだて、最後にこっちの財布を空っぽにしている。彼らがニヤニヤと嘲笑っている間にアメリカの貿易収支は何千億ドルもの赤字になっている」
トランプ氏が目の敵にしているのがTPPである(ヒラリー氏もTPPはやらないと明言している)。「アメリカを犠牲にして日本が大きな利益を得る協定」と言っているのだ。
つまり在米ジャーナリストの古森義久氏が言うように、
「日本の防衛費を増額せよ、米軍基地に対する思いやり予算を増やせ、といった主張を繰り返すでしょう。つまり、“今の状況はギブアンドテイクではなく、ギブアンドギブだ。日本は見返りを出せ”ということです」
レーガン大統領以上に「強いアメリカの復活」を旗印に掲げるトランプ氏が当選すれば、中東だけではなく中国にも強硬姿勢を見せるだろう。そうなれば南シナ海で戦火を交えるということも絵空事ではなくなる。
「トランプ・安倍・金正恩」は「レーガン・中曽根・全斗煥」より何倍も危ない政権であることは間違いないと思う。
アメリカでも日本でも、今求められているのはサンダース氏のようなリーダーであるはずだ。共産党以外の野党の中で、格差是正、富の再配分を掲げて選挙戦を戦う政党が出てくれば、必ずブームを起こし多くの当選者を出せると思うのだが、そうした頭の回る政治家がいないのが、この国の最大の不幸である。
元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
『週刊エコノミスト』が「アメリカ大失速」という特集を組んでいるが、日本が頼みにしているアメリカ経済の足下が揺らいでいるようだ。識者の中にはあのリーマンショックの頃と似てきていると見る人もいる。中国経済や原油安、日本を取り巻く経済環境は不透明さを増してきている。だが、安倍首相はアベノミクスを忘れたかのように、参議院選で大勝して改憲すると前のめりである。もっとやるべきことがある。そう安倍首相にわからせるためにも、参議院選で自民党を勝たせてはいけない。野党は小異を捨てて大同につくべきである。
第1位 「マイナス金利静かな取り付け騒ぎ」「黒田日銀総裁はなぜいま家を買ったのか」(『週刊現代』3/12号)
第2位 「SPEED今井絵理子の『婚約者』A氏が風俗店で働かせた当時17歳少女の独占証言」(『週刊ポスト』3/11号)
第3位 「『がん検診は意味がない』の衝撃」(『週刊文春』3/3号)
第3位。米国の研究グループが今年1月6日に発表した論文が検診業界に大きな一石を投じることになったという『文春』の記事。
「がん検診によって、命が助かる証拠はない」というばかりか、検診によって不利益を被る可能性も少なくないと著者らは主張しているというのである。
筆頭著者は血液腫瘍医で、公衆衛生・予防の専門家でもある米国オレゴン健康科学大学准教授のヴィナイ・プラサッド医師。権威ある医学誌の一つ『BMJ(英国医師会雑誌)』に掲載されたそうだ。
『文春』によれば、この論文の主要な論点はこうだという。
「これまで欧米では、各がん検診の効果を検証する臨床試験がいくつも実施されてきた。それらのデータをがんの種類ごとに統合して解析した研究(システマティックレビュー)を調べたところ、十のうち三つの研究で、検診の対象となったがんの死亡が減っていることが確かめられた。ところが、あらゆる要因によるすべての死亡(総死亡率)が減ったことを示した研究は一つもなかった。
つまり、がん検診を受ければ、そのがんで死ぬことは防げるかもしれないが、結果として検診を受けない場合に比べて長生きできる保証はないということだ」
まず挙げられるのが「擬陽性」に伴う不利益だという。これは、結果としてがんでないものを「異常あり」と診断してしまうことを指すそうだ。
たとえば、PSA(前立腺特異抗原)という血液検査が行なわれる場合、がんかどうかを確かめるために、股間や直腸内から何本も針を刺して組織を取り、前立腺の細胞を調べる「生検」が行なわれるが、論文によると、この検査方法によって深刻なダメージを受けて入院したり、死亡したりするケースがあるという。また、がんかもしれないというストレスで鬱状態になる人や心臓発作、自殺をする人もいるそうである。
そしてより大きな不利益になり得るのが「過剰診断」にともなう害だという。これは治療する必要のないものを病気と診断して、治療してしまうことを指す。
「『がん』を放置したら、すべてが命取りになると思っている人が大半だろう。だが、がんのすべてがどんどん大きくなったり転移したりして、命を奪うわけではない。ゆっくり大きくなるものや、そのままの状態で、おとなしくしているもの、あるいはいつの間にか消えてしまうものもある」(『文春』)
特に前立腺がんや乳がんでは、この擬陽性や過剰診断が想像する以上に多いことが近年指摘されるようになったという。
米国では、これまでに検診で乳がんと診断されたうちの3分の1が過剰診断だったと指摘する衝撃的な論文が12年に報告されているそうである。
こうした害によって寿命が縮む人がいるために、検診の対象となるがんの死亡率が下がったとしても、その効果が打ち消されて、総死亡率が下がらないということが起こりうるのだという。
新潟大学名誉教授の岡田正彦医師は、この論文の著者らの主張は100%その通りだという。
「しかし、がん検診は巨大なビジネスなので、日本だけでなく世界中の学会が医療産業のマイナスになる主張を無視してきました。その中で、BMJのような権威ある雑誌がこの論文を載せたことは画期的です」
当然これに反対する声もある。国立がん研究センター社会と健康研究センター検診研究部の斎藤博部長はこう語る。
「すべてのがん検診について言える根拠はまだありません。大腸がんでは過剰診断も指摘されていません」
だが乳がんに関してはこうだと言う。
「乳がん検診には、二〇~三〇%前後の死亡率を減らす効果があるとされてきた。しかしそれは、千人のうち死亡数が三人から二人に減ったという数字に基づいて計算されていたわけだ。見方を変えれば、検診で乳がん死を防げるのは千人のうち一人で、九百九十九人(99.9%)は検診を受けても受けなくても十年後の運命は同じということだ」(『文春』)
国は2007年に施行された「がん対策基本法」に基づき、がん検診の受診率50%を目標に掲げてきた。だが、命を救う証拠がないうえに、受診者が増えるほど検診の害を受ける人が増えるのに、やみくもに検診率を上げる政策が正しいと言えるのだろうかと、『文春』は疑問を呈している。
プラサッド医師らも論文で「検診を受けないことは、多くの人にとって合理的で賢明な選択かもしれない」としている。
早期発見こそがんで生き延びられる唯一の方法だと、日本人はすり込まれすぎたのかもしれない。ここでもう一度、がん検診について考え直すことが必要であろう。
第2位。先週、SPEEDのボーカルで、先日、早々と自民党参院選の“目玉”として立候補を表明した今井絵理子氏 (32)の彼氏に悪い噂があると各誌が報じた。今週も『ポスト』が続報している。
今井絵理子氏の婚約者A氏が風俗店で働かせていた当時17歳だった少女が独占証言したというのである。
その前に、昨年3月にA氏とともに逮捕された風俗店の共同経営者X氏の証言。
以前から風俗関係で働いていたX氏は、A氏と10年ほど前に知り合ったという。
「もともとAは闇金をしていたから、お互い“夜の街の人間同士”として出会いました。2013年にAから『闇金で稼いだカネがあるから風俗の仕事を始めてみたい』といわれ、ノウハウを提供して松山の歓楽街で『ヌキ屋』というピンサロのような店をやることにした。そもそも風俗店を営業してはいけないエリアで始めたので、はじめから違法風俗です。店は名前もなく、客はもっぱらキャッチ(呼び込み)で集めて、料金は30分で1万円。ぶっちゃけ、本番をやらせていました。今井さんが『キャバクラだと聞いている』といっているようですが、全く意味不明。今井さんも知らないわけがありません」
X氏は今井氏にも会ったことがあるという。
「『会わせてよ』といったら、一昨年の夏頃に本当に会わせてくれたんです。今井さんは、夜の世界への知識は全然なかったけど、好奇心が強くて僕らの仕事の話を面白そうに聞いていました。それで彼女は『現場も見てみたい』と思ったらしく、一度その風俗店に来たこともありました。その時はさすがに怖そうにしていて、全然面白そうではなかったですが」
次の証言者は西野カナ似のYさん(18)。彼女は事件当時の報道で「17歳の無職少女」とされた女性。彼女が店で働き始めたのは、ほかならぬA氏の斡旋だったという。
「私は家出して沖縄に来て彼氏と暮らしてたんですが、その彼氏がAさんからおカネを借りていて返せなくなったんです。10日で1割の利息みたいな典型的な闇金でした。それで借金を返すために、Aさんから『うちの店で働け』といわれて働き出しました。出勤は夜の9時ごろから明け方までで、コンドームありで本番していました。(中略)ほとんど未成年で、私と同じようにAさんの闇金関係で働かされている子たちでした」
彼女は「Aさんは店の子たちに『SPEEDの今井と付き合ってる』と自慢していました」と語るが、彼女はSPEEDを知らなかった。
「『子供や母親が明るい希望を持てる社会づくりをしたい』という今井氏の政治理念と、未成年の少女を風俗で働かせていた男性を庇う姿勢とは、あまりにもかけ離れて見える」と『ポスト』は批判している。
さらに「党幹部たちはこの一件を『彼を更生させようとしている美しい話だ』と美談にすり替え、3月13日の党大会では今井氏に『君が代』を斉唱させるとぶち上げたのだ。
果たして彼女の歌う『君が代』の歌声は、有権者の心にどう響くのだろう」と『ポスト』は疑問を呈している。これだけの彼氏の“前”が暴かれてしまった今井氏にとって、厳しい選挙戦になることは間違いない。彼女はどうするのだろうか?
第1位。『現代』は、絶対安全なはずのゆうちょ銀行が危ない、マイナス金利で静かな取り付け騒ぎが起こりかねないと報じている。
ゆうちょ銀行は昨年11月に鳴り物入りで上場を果たした日本郵政グループの金融部門だが、その収益の柱は国債の運用である。だが日本郵政グループ関係者がこう語る。
「ゆうちょ銀行の運用資金は約200兆円ですが、そのうち4割を国債で運用しています。ところが、マイナス金利の影響で、もともと低かった利回りがさらに下がり始めている。そこでゆうちょは株式や不動産ファンドなどを運用することで収益を上げられる態勢を作ろうと試みています」
だが、これが危ないというのである。嘉悦大学ビジネス創造学部教授の小野展克(のぶかつ)氏がこう語る。
「運用経験に長けている他行の担当者からは『ゆうちょは、あんな態勢で始めて大丈夫なのか』と心配する声が上がっています。優秀なファンドマネジャーでも、一人で運用できる規模は500億円程度が限界。ゆうちょ銀行は今後数十兆円もの規模を運用するわけですから、かなり大規模かつ実力の伴う運用部隊を配備する必要があります。ゴールドマン・サックスなど外資系投資銀行から人材を引き抜いていますが、いまはまだ『素人』が大半です」
たしかにそうだとすれば怖い話である。
「絶対安心だと信じていたゆうちょ銀行が、運用で数兆円規模の損失を出したということがニュースになれば、一般の預金者たちに与えるショックは計り知れない。パニックに近い取り付け騒ぎが起こるでしょう」(経済紙金融担当記者)
だが、マイナス金利の開始以来、賑わっているところもあるという。金融機関による住宅ローンの金利引き下げ競争がヒートアップして、1%を下回る超低金利が続々と登場しているそうだ。
そこであきらめていた夢のマイホームが視野に入り、モデルルームや住宅展示場に足を向ける人が急増しているというのである。
そんななか、黒田日銀総裁が自腹を切って、自らマイホーム購入という大きな買い物をしてみせたそうだ。
新居は世田谷区の人気住宅エリアで駅に近い上、公園の緑が豊かに広がる好立地に立つ瀟洒な高級低層マンションだという。
そのマンションを中古で購入した。新築時には1億円を超えた部屋で、値段が落ちる物件ではないので、中古でも1億円近くの値がついてもおかしくはないそうだ。
『現代』が不動産登記謄本を見てみると、ローンの記載はない。黒田総裁は借金をせず、手持ちの金だけでこの「億ション」を購入したことになる。
以前、黒田総裁が日銀総裁就任からずっと住んでいたのはUR(都市再生機構)の賃貸住宅で、家賃は20万円以上するが相場よりは割安だったそうである。
だが、『現代』に言わせると、黒田総裁は新居のために1億円近いキャッシュを使ったから預金は目減りしており、老後を考えたら1円でも多くの資金的余裕を確保したいはずだから、
「つまり、景気を上向かせるためにも、自分の老後を考えても、黒田総裁がマイナス金利政策をどんどんエスカレートさせていくことだけは間違いない。18年の総裁任期満了までの少なくともあと2年。日本ではマイナス金利という異常事態が続くということを覚悟しなければいけない」(日銀ウォッチャー)
だが、黒田日銀総裁も安倍首相も頼りにするアメリカ経済に赤信号が点っているのである。『週刊エコノミスト』(3/8号)は「アメリカ大失速」という特集を組んでいるが、そのなかでニューヨーク在住のエコノミストがこう警告している。
「原油価格が反転せず、各国が財政も打てないなかで、米国が誤った判断で利上げを行ったり、想定外リスクが起きれば、株式などリスク資産の売りが進んで、気づいたら“恐慌状態”に入っていたというシナリオもありうる」
そうなれば世界経済に危機的状況を生むことになる。そうならないことを願うが、前途は多難であることは間違いないようだ。