衆院選挙の「1票格差」是正のために衆院議長諮問機関が2016年1月に答申した定数配分ルール。人口に比例して定数を配分する。「アダムズ」の名称は提唱者のアダムズ米国第6代大統領にちなんだとされる。

 具体的には各都道府県の人口を「同一の数字」で割り算し、その答え「商」の少数点以下を切り上げたものが都道府県ごとの「定数」となる。各都道府県ごとの定数の合計が衆院小選挙区の総定数に合うよう、前述の「同一の数字」を調整する。小数点以下を切り上げることから各都道府県に少なくとも1議席は必ず定数が振り分けられる。

 アダムズ方式の導入を巡って各党は概ね容認する方向だ。ただ、自民党内では定数削減必至の県選出議員を中心に反対論がくすぶっている。確かに単純に人口比例で配分すれば、東京や大阪、神奈川など大都市圏に偏る形で定数が配分され、地方の声が届かなくなる懸念がある。「アダムズ方式が導入されたら、人口減少対策、中山間地対策、農林水産業といった地方に関わる切実な諸問題に対し、国会は腰を据えた対応がとれるのか」(自民党中堅)という指摘もある。

 衆院議長諮問機関の座長として答申をとりまとめた佐々木毅(たけし)元東大総長は「答申が必ず実現されるよう、(与野党の議論を)厳しく見守っていく」とクギを刺している。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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