結婚式は人生における一大イベント。楽しき思い出にしたいものだが、互いのイエ同士のしがらみ、面倒なしきたりのせいで、気疲れする例も多かっただろう。主役はあくまで新郎と新婦。近年においては、ふたりの「らしさ」の感覚を大事に、必要最小限で式を済ませるカップルも少なくない。「ジミ婚」という言葉も一般化している。

 ところが現在、式における「家族」の存在感が増しているそうだ。これは時代の逆戻りなのかと思いきや、さにあらず。せっかくの機会なのだから、家族みんなでイベントを楽しもうではないか、というカジュアルな感覚によるものらしい。人呼んで「ファミリーウェディング」、略して「ファミ婚」である。たとえばケーキ入刀も、いまどきは両家の両親とともに行なう趣向が多いとか。親と仲のよい若者が多い(とされる)時代を象徴しているのかもしれない。

 ファミ婚では、これまで親族席で座りっぱなしの地味な役回りであった母親が、前に出るようになった。「最後のお世話」といった意味を込めて、ケーキを新郎新婦に食べさせる「ラストバイト」。純潔の象徴たるウェディングドレスのベールを下ろす「ベールダウン」。いずれも母親に任せられる重要な儀式である。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
ジャパンナレッジとは 辞書・事典を中心にした知識源から知りたいことにいち早く到達するためのデータベースです。 収録辞書・事典80以上 総項目数480万以上 総文字数16億

ジャパンナレッジは約1900冊以上(総額850万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題のインターネット辞書・事典サイト。
日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。 (2024年5月時点)

ジャパンナレッジ Personal についてもっと詳しく見る