愛媛県松山市出身のプロゴルファー。24歳。明徳義塾中学校・高等学校・東北福祉大学卒業。身長181cm、体重90kg。血液型はB型。レクサス(トヨタ自動車)所属。

 アマチュア時代、日本のアマチュアゴルファーとして初めてマスターズの出場権を獲得して27位に入り、日本人初のローアマチュア(プロゴルフのオープン戦に参加したアマチュア選手中の最優秀選手)に輝いた。

 13年にプロに転向して2戦目の「つるやオープン」で優勝。シーズン4勝を挙げ賞金2億円超えで史上初のルーキー賞金王となった。

 14年から主戦場を米国に移し、「ザ・メモリアルトーナメント」で初優勝。16年には「ウェイストマネジメント フェニックスオープン」で2勝目を挙げ、同年の「日本オープン」で国内メジャーを初制覇。2週間後の「WGC HSBCチャンピオンズ」で日本人で初めて世界選手権を制覇して丸山茂樹と並ぶ米ツアー3勝目を挙げ、メジャー優勝が期待されている逸材である。

 父親は日本アマチュア選手権にも出場したことのあるトップアマチュアだった。その父親に連れられてゴルフを始めたのは4歳の時。最初の日に1300球を打ったとゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO)のインタビューに答えている。

 小学校までは身長150cmぐらいで小さかった。スコア100を切ったのは小学校2年の「四国ジュニア」大会でだった。

 中学2年でよりよいゴルフ環境を求めて高知の明徳義塾に転校、高校も同じ。

 GDOによると、石川遼と中学1年の時一緒に回ったという。

 「ビックリしました。ドライバーショットで40~50ydくらい置いていかれました。(中略)スイングがキレイで『スゲエ、こんな奴がいるのかよ……』って。中学3年の時の同じ大会で、また一緒に回って、遼が優勝。『やっぱりスゴかった』って思ったら、その2カ月後にプロの試合で勝ってしまった」

 その後東北福祉大に進み大学4年の時プロに転向した。

 GDOで、プロゴルファーになっていなかったらと聞かれ、

 「何をしてたんすかね……あまり考えたことがない。野球は本格的にやってみたかったなと思いますけど。でもサラリーマンはきっとできない。向かないっす。すぐクビになっていると思う」

 B型なので、基本的に自分中心、他人のことより自分のことばかり考える性格だと言っている。

 高校2年に上がる前、ボールが見えにくいと思い視力を測ったら0.2~0.3しかなかったため、ラウンド中はコンタクトをし、度の入っていないサングラスをしている。

 フロリダに家を買って、そこを拠点にアメリカツアーに参戦している。ツアーでは常に、大学の先輩であるキャディの進藤氏とトレーナー、通訳兼マネージャーを帯同して回っている。

 GDOで松山は「メジャーを獲ることは歴史に名を残すことですから」と意気込みを語っている。

 だが、同インタビューで、子どもができたらゴルファーにさせるかと聞かれ、「させません。同じツラさを味わわせたくない。同じ思いを、自分からはさせたくありません」と話している。

 松山は今年の9月までのアメリカツアー参戦3年目に、獲得賞金を自己最高の419万ドル(約4億5600万円)にし、10月半ばの「日本オープン」以降、海外大会を含めて4戦3勝、1か月で賞金3億3000万円を稼いだと話題になった。

 現在世界ランキングは6位。その実力を買って、ニクラウス、ワトソン、ウッズなどの超一流選手としかスポンサー契約しないロレックスが松山と契約したことも話題になった。

 松山はダンロップとも3年9億円という大型契約を結んでいるが、米ツアー初戦で彼が使っていたドライバーがキャロウェイ製の「グレート ビッグバーサ」だったことがゴルフファンの間で話題になっている。

 『週刊新潮』(12/1号)によれば、このことはダンロップ側も合意の上だという。

 それもヘッドの体積が460cc(それまでは420cc)で素人にも扱いやすい「すでに廃番モデル」だそうだ。松山人気で中古ゴルフ用品店で件のドライバーの値段が高騰し、いまは在庫がない状態だという。

 『週刊ポスト』(12/2号)は「大谷翔平VS.松山英樹VS.錦織圭 最強は誰だ!」という特集を組んでいる。

 日ハムの大谷は投手と打者の「二刀流」で優れた成績を残し、今年は投手部門とDH部門でともにベストナインを受賞するという快挙を成し遂げた。

 5年目になる来季の年棒は4億円を超えるといわれているが、松山、錦織に比べると年収は一番低い。

 テニスで世界ランキング5位にいる錦織は、今年の獲得賞金が396万ドル(約4億3100万円)だが、米誌『フォーブス』が発表した世界アスリート長者番付では日本人最高の29位で、3350万ドル(約36億円)にのぼる。

 錦織は15社とスポンサー契約を結び、その契約料が莫大なのである。

 ちなみに世界ナンバー1はサッカーのクリスチアーノ・ロナウドで年収8800万ドル(約95億円)、テニスのフェデラーが4位で6780万ドル(約73億円)、ゴルフでは8位ミケルソンが5290万ドル(約57億円)。

 MLBではドジャースのC・カーショーが33位。3200万ドル(約34億円)でトップ。

 野球選手はウェアや帽子などのロゴで個人契約が結べないから、年棒は高くても上位に来ないそうだ。

 だが、大谷は来シーズンオフにMLB入りが確実視されている。そうなれば6年で1億8000万ドル(年棒3000万ドル)の大型契約になるだろうと予想されているから、錦織に迫るといわれているそうである。

 だが、生涯獲得額でいうと、野球やテニスは30代半ばが選手寿命と考えられ、40代後半でもプレーできる松山が有利だという。

 しかも体力的に弱さのある錦織や大谷に比べて、松山にはタフさがあることも有利になるようだ。

 女性にもてるという点では錦織が2人に圧勝している。錦織のほうはこれまでにもスポーツ選手からモデルまで、何度も週刊誌ネタになっている。

 それに比べて大谷は甘いマスクだが、寮暮らしで球団の監視が厳しく、浮いた噂も聞こえてこない。

 松山のほうも東北福祉大時代に女子部員と噂になったことがあるそうだが、浮ついた話はこちらも聞こえてこない。

 錦織は打倒ジョコビッチ、大谷はメジャーで球速170キロ、松山はメジャー獲りを目指す。

 体格に恵まれ、今年の後半で見せたアイアンショットの切れが続けば、松山のメジャー制覇はそれほど遠いことではないと、私も思う。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 これもトランプショックの余波なのであろう。安倍首相の得意としてきた外交で、ひび割れが起きてきている。
 トランプと真っ先に会談して、TPPからの離脱を思い留めようと願ったが、会談後にトランプは安倍に当てつけるように、TPP離脱を宣言してしまった。
 またプーチンロシア大統領から「北方領土2島返還」してもらえると期待していたが、トランプが当選したとたん安倍に冷たくなってしまった。『ニューズウィーク日本版』(12/6号)は「安倍は、プーチンだけでなく、トランプにとっても御しやすい相手かもしれない」と書いている。安倍外交の底の浅さが相手に見透かされてしまったのである。

第1位 「安倍官邸 大パニック」(『週刊現代』12/10号)
第2位 「【迫真のドキュメント】借金はすでに10兆円を超えた 孫正義とみずほ銀行の『見果てぬ夢』」(『週刊現代』12/10号)
第3位 「フジ幹部“悪質セクハラ”にレコード会社が厳重抗議」(『週刊文春』12/01号)

 第3位。弱り目に祟り目という諺はフジテレビにこそよく当てはまる。フジテレビの看板音楽番組『FNSうたの夏まつり』の打ち上げで、最高責任者の夏野亮氏が、2人のレコード会社の女性社員にセクハラしたと、『文春』が報じている。
 元々酒癖と女癖が悪かったそうだが、「打ち上げでお酒の入った夏野さんは、A社の女性の胸を触り、さらにB社の女性の陰部をしつこく触ったのです」(レコード会社社員)
 その場では力関係から、彼女たちも我慢したらしいが、これを知った両レコード会社がフジテレビに厳重な抗議を行なったという。当然である。
 フジは夏野に事情を聞き、後日、取締役制作局長が両社に謝罪に出向いたというから、本人も事実を認めたのであろう。
 両社もこうした謝罪の事実があったことを認めている。
 しかし、『文春』によれば彼はいまでも現場に顔を出し、「未だ“お咎めなし”だという」(『文春』)
 こうした驕りとケジメのなさが、フジの急激な凋落の原因の一つになっていることは間違いないようである。

 第2位。お次は『現代』。孫正義(そん・まさよし)という人物は日本のトランプだという記事が『ポスト』(12/2号)にあったが、それは希代の天才か詐欺師かというように人物評価に裏表があるからだろう。
 プーチンロシア大統領と親しく話し、英国の半導体設計会社を3兆円以上で買収するなど、孫氏の派手な動きが話題だが、内情は火の車だということはよく知られている。
 孫氏を支えているのはメインバンクのみずほグループだが、もし、孫氏がコケたら、もし万が一があったら、みずほも無事ではいられないのだ。
 今度は、サウジアラビアなど中東の政府系ファンドと10兆円規模の投資ファンドをつくるというのである。
 孫氏は自身も2兆6000億円程度を注ぎ込み、テクノロジー企業に投資すると宣言しているそうだ。
 だが、サウジというのは弾圧の厳しい国で、言論の自由はもちろん、大半の国民の自由も制限されている国である。
 まともな商談が行なえるとは到底思えないのだが。
 それに、先ほども触れたが、ソフトバンクの有利子負債(借金)は約13兆円。借金が売上高を上回っているのだ。
 先頃、孫氏が財務基盤強化や借金返済のために「ハイブリッド債」という特殊な債券を発行して、3000億円超の資金調達をしようと思ったが、フタを開ければ710億円しか集まらなかったという。
 それに11月に発表したソフトバンクの決算資料によると、ソフトバンクが巨額の投資をしているインド企業向けの投資で581億円以上の損失を出していることがわかった。
 さらにソフトバンクの柱である国内携帯事業の利益が、KDDIやドコモが2ケタの伸びを示しているのに、ソフトバンクは一桁と伸び悩んでいるのである。
 巨額のカネを貸しているみずほは気が気ではないはずだ。
 私事だが、先日、携帯のことで駅前のソフトバンクの店へ行ったのだが、店員の対応がすこぶる悪かった。
 相談する気にもならず、すぐに出てきたが、後でネットの口コミを見てみたら、どこのソフトバンクの店も評判は芳しくない。
 落ちるときは現場から落ちていくのだ。無理に無理を重ねている孫正義のやり方は、ダイエー中内が凋落した姿とダブって見える。
 このまま孫氏がこの勢いを続けていけたらと、そう考えるほうがはるかに難しいはずである。
 こういうとき、周りに直言できる人間を置いていない孫氏の最大の弱点が出てくると、私は思う。

 第1位。同じ『現代』が「赤っ恥をかいた安倍首相」と見出しをつけ、トランプとプーチンにナメられたと報じている。
 トランプと真っ先に会談したことだけで有頂天になっていた安倍首相だが、APECで記者会見に臨んで、記者からトランプはTPPを離脱すると言っているが、と聞かれ「TPPは米国抜きでは意味がない」と、あたかもトランプはTPPを離脱しない、自分が話せば何とかなると言外に匂わせたのだ。
 だが、その会見が終わったわずか18分後に、トランプはビデオメッセージで「TPPからの離脱の意思を通告する」と発表したのである。
 やはり安倍首相は、トランプと中身のある話はしていなかったのだ。
 さらに同じAPECで、さらなる赤っ恥をかいていたのである。
 プーチンロシア大統領と安倍は会談した。それまでは北方領土2島返還で「合意」していたかのようなニュアンスを漏らしていた安倍だったが、この時開かれた2人の会談は空気がガラッと変わったという。

 「プーチン大統領はこれまでとは別人のようだった。ロシアとの関係改善を公約に掲げたトランプ候補が当選したことで、もはや日本など眼中にないということなのだろう」(外務省関係者)

 何のために地元の山口県にまで呼んで首脳会談をやるのか。
 これではプーチンに北方領土返還カードをちらつかされて、多額の経済援助を引っ張られただけではないか。
 役者が違いすぎるということだろう。
 おまけにロシアはせせら笑うように、会談直後の22日に、北方領土の択捉島と国後島に、新型の地対艦ミサイルを配備したと発表したのだ。
 泣きっ面に蜂とはこのことだ。トランプもプーチンも安倍など眼中にないのだ。
 ロシアのセボードニャ通信社のコツバ・セルゲイ東京支局長がこう言っている。

 「ロシア側は、南クリル諸島(北方領土)を日本に譲り渡すなどと言ったことは一度もない。そもそも経済制裁を科してくる敵国に、領土を渡す国がどこにあるのか。クリミア半島を取り返したことでロシア国民から支持されているプーチン大統領が、日本に領土を渡したら、とたんに支持率が急降下して、ロシアで政変が起こるだろう」

 こうした言い分のほうが真っ当に聞こえるぐらい、安倍の勝手な思い込みで、プーチンにいいように利用され、ほかにいい女ができたからあっさり捨てられた、ということであろう。
 アメリカやロシアには安倍が得意の「札束外交」は功を奏さなかった。当然のことだろうが、安倍の命脈が尽きる予兆であることは間違いない。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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