鹿児島県指宿(いぶすき)市生まれ。鹿児島県立指宿高等学校、早稲田大学教育学部卒業。1980年、テレビ朝日に入社し、政治部に配属される。58歳。

 『ニュースステーション』の政治解説で知名度が上がった。その知名度を利用して2016年7月に行なわれた鹿児島県知事選に出馬し、保守王国で自民党、公明党県議団などの推薦を受けた現職の4選を阻み、8万票以上の差をつけて当選した。

 爽やかな印象と地元には九州電力の川内(せんだい)原発があるため、「反原発」の姿勢が有権者から好感を持って受け入れられたと言われていた。

 だが、『週刊文春』(12/15号、以下『文春』)は「三反園〈裏切りの反原発知事〉『公選法違反』の重大疑惑 収支報告書の虚偽記載と後援会幹部との“絶縁”」という特集を組み、三反園知事の反原発の姿勢は選挙向けで、本音は違っていたと追及している。

 『文春』によると、当初は共産党系で反原発グループの平良行雄(たいら・ゆきお)が立候補を予定していたが、告示前に三反園と政策合意ができたため平良が出馬を見送り、三反園支援に回ったことで三反園優勢の流れができたという。

 当選直後には二度にわたり、九州電力に対して川内原発の即時一時停止を求める強い姿勢を見せたが、九電が頑として受け入れないため、10月末の記者会見で「私がどう対応をとろうとも、九電は稼働させていくことになる」とトーンダウンしてしまったのだ。

 私も新聞で読んで、何というだらしない男だろうと、正直、ガッカリした。テレビ上がりは一見、威勢よく見えるが、シンがないから、大きなものには立ち向かえないのだろうと思っていた。

 だが、実はこれはポーズだけで、三反園はハナから原発再稼働容認だったのだと『文春』が証言を集め、断じている。

 「十月に入ると、自民党県議との非公式協議で三反園氏が『原発政策のめざす方向性は自民党と同じ』と発言したことが波紋を呼びました。将来的には原発に依存しない社会を目指すとはいえ、自民党は原発を重要なベースロード電源と位置付け、原発再稼働を推進していく方針です」(自民党鹿児島県連の関係者)

 さらに複数の元選挙スタッフを取材すると、「三反園氏は以前から有力支援者には『私は保守であり、反原発ではない』と明言していました」と口を揃えたそうだ。

 何のことはない「化けの皮が剥がれた」だけで、そもそも選挙民にはウソをついていたということになる。

 選挙中、後援してもらった会長をはじめ、支援者たちを当選後には遠ざけたそうだ。

 恩を仇で返したばかりでなく、選挙期間中、公職選挙法に抵触することが複数あったと『文春』は報じている。

 まず、選挙期間中に選挙事務所を4か所も設置していた(鹿児島県知事選の場合は2か所を超えて設置することはできない=鹿児島県選挙管理委員会)。

 選挙事務所に選挙スタッフを常駐させ、運転手やスケジュール管理をする秘書を手配したのは沖縄の実業家だそうである。

 秘書の給与は大阪の派遣会社が支払っていたという。

 実業家は選挙期間中合計100万円を運転手の個人口座に振り込んでいるが、選挙運動費用収支報告書には一切記載されていない。運転手はこの事実を認め、秘書を含む3人で分けたと話している。

 新しく三反園のブレーンになった参議院議員の元秘書は『文春』に対して、上限を超えて選挙事務所を設置するのはどこの選挙でもやっていること、収支報告書に記載していないという指摘はもっともだから、「素人集団だったね」とバカにして結構ですと、ふざけた返答をしている。

 さらに彼は、鹿児島市内で京セラや九電のグループ会社とともに太陽光事業を展開していて、「九電とのパイプ役として(利権の)色眼鏡で見られるのは仕方ないかもしれない」とも語っているのだ。
 『文春』を読む限り、鹿児島県民はひどい知事を選んでしまったものだと同情を禁じ得ない。

 それだけ原発利権に群がる勢力の力が強く、タレント知事など手もなくひねられてしまったのだろうが、原発がらみでもっとひどい話がある。

 『週刊現代』(12/24号、以下『現代』)が「総額4兆円をドブに捨てる21世紀の大バカ公共事業 巨大な赤字に!『第2もんじゅ』のずさんな計画書〈スッパ抜く〉」という特集を掲載したのである。

 高速増殖炉「もんじゅ」は、血税を総額1兆2000億円も注ぎ込んで、国民の大きな批判を受け今年9月に廃炉という方針が政府内で決定したはずだった。

 ところが『現代』によると、10月から3回行なわれた「高速炉開発会議」で延命策を書き連ねた「計画書」が文科省によって示され、

 「いつの間にか、『もんじゅの延命』『次世代の高速増殖炉=第2もんじゅの開発』という方針が既定路線とされたのだ。『廃炉決定』の報道は何だったのか」(『現代』)

 この会議は世耕弘成(せこう・ひろしげ)経済産業大臣が主催している。それに文科省大臣、日本原子力研究開発機構理事長の児玉敏雄、電気事業連合会会長で中部電力社長の勝野哲(さとる)、三菱重工社長の宮永俊一という5人で構成されているそうだ。

 何のことはない、原発推進、もんじゅ稼働賛成の人間ばかりではないか。これでは結論ありきの談合会議である。

 このとき配られた文科省の資料には、平成36年までに運転を再開、44年まで出力100%で運転を続けると書かれてあったという。

 建造してから30年あまりも経つのに、たった1か月ほどしか発電していない無駄の塊のようなものを、まだ動かすというのだから、この連中の頭の中を疑う。

 さらに今後稼働しても、売電収入はたった約270億円で、それにさらに5400億円以上を注ぎ込むというのだ。なのに誰からも「おかしい」という声が上がらなかったという。ふざけるな、である。

 いくら巨大プロジェクトでも、権益が複雑に絡み合っていても、無駄なものは無駄、即刻止めるべきだ。

 たびたび冷却材のナトリウム漏れの事故を起こし、東日本大震災直前の10年には、3.3トンの中継装置が炉内に落下して、担当の課長が自殺している。

 こんな大事なことを国民の目から隠して、たった5人、それも利害関係者ばかりで決めるなどあってはならないことだ。

 安倍政権の奢り以外の何ものでもない。だが大新聞はほとんど報じないのはなぜか。

 安倍よ、奢るな! そう叫びたくなる週刊誌の底力を見せた国民必読の記事である。

 経産省は福島第一原発事故を起こした東電に事故処理をさせているが、廃炉費用は膨らむばかりである。

 その経産省がこのほど、処理費21兆5000億円のうち15兆9000億円を東電に負担させる方針を出したが、残りを全国の電気利用者、つまり国民から集めると言いだしたのだ。「経産省幹部は『資本主義の原則を曲げたのはわかっているが、福島のためだ』と語っていた」(朝日新聞12月10日付より)

 東電を国有化して電力事業と事故処理の2社に分け、全額負担させるのが筋である。

 なぜそんなことができずに、国民へ負担ばかり押し付けるのか。

 国民の堪忍袋の緒が切れそうになっていることに、安倍首相は気付くべきである。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 芸能界やスポーツ界の薬物汚染はとどまるところを知らない。若手俳優の成宮寛貴(なりみや・ひろき)がコカインを吸引している疑惑があると先週の『フライデー』が報じた。成宮側は「事実無根」だ、訴えると息巻いていたが、第2弾が出たとたん、芸能界を引退してしまった。
 自分で「クロ」だと認めたようなものだ。もちろん薬に溺れる人間が悪いのだが、簡単に薬物が手に入る現状を断ち切らないと、こうした「悲劇」はなくならない。「一度ぐらい」が命取りになる。どげんかせんといかん。

第1位 「【スクープ撮】共演後輩アナの自宅に泊まった男性アナ〈30代〉は記者に深々と頭を下げ… テレ朝“清純派アナ”田中萌(25)『グッド!モーニング』不倫」(『週刊文春』12/15号)
第2位 「成宮寛貴『コカイン要求』生々しい肉声データ」(『フライデー』12/23号)
第3位 「国会議員が『議員年金復活』を企んでいる」(『週刊ポスト』12/23号)

 第3位。『ポスト』の怒りの告発。
 安倍首相は年金法改正の必要性を「世代間の公平を図るのに必要だ」と言ったが、ならば、法案審議の最中に今国会で動き出した「議員年金」復活計画は、議員と国民の公平を図るのに必要なのかと『ポスト』は追及する。
 議員年金は「役得年金」との批判が多くあり、小泉政権下の06年に廃止された。
 地方議員の年金も、民主党政権下の11年に、全ての地方議員に特権年金があるのは世界でも日本だけ、国民生活と乖離した悪しき制度として、国会の全会一致で廃止が決まった。
 だが年金審議の最中に、全国都道府県議会議長会の連中が首相官邸や自民党本部を訪ねて、議員の年金加入を求める決議を渡した。
 議員年金がないと市町村議員へのなり手が少ないからというのが、その主旨だそうだ。
 年金がなくてなり手がいないのなら、そんな志の低い人間はいらないと思うのだが、そうではないらしい。
 日本の地方議会は、平均年80日程度しか開かれていないという。兼業も多く、フルタイムで働いてはいない。
 そんな連中に国民が年金保険料の5割を税金で負担して厚生年金に加入させる必要はないと思うが、タネを明かせば、地方に旗を振らせて国会議員も便乗して厚生年金に入れるようにしようという魂胆なのだそうだ。
 国民の年金を削って自分たちの年金は復活させようなんて、ふざけるなである。

 第2位。俳優・成宮寛貴のコカイン吸引疑惑の追及第2弾。『フライデー』だ。
 この情報は成宮のコカイン・パシリをやらされていた友人A氏が、これ以上付き合っていると、自分の身が危ないと考え、『フライデー』に持ち込んだものだ。
 A氏によれば、11月8日の夜9時頃、六本木にあるレストランの個室で食事をしている時、成宮からコカインを買ってきてくれと言われ、「店の外に出て、路上にたむろする外国人の売人からコカインを購入」(『フライデー』)したという。
 これほど簡単に手に入るというのか。買ってきたコカインを店の中で、慣れた手つきで砕き、吸い込んだそうだ。
 コカインは頭文字を取ってチャーリーという隠語で呼ばれるそうだ。
 『フライデー』は、成宮とA氏がチャーリーについてしたやりとりを「肉声データ」として持っていると言っている。
 本人はじめ所属事務所は、事実無根、法的手続きも辞さないと息巻いているようだが、『フライデー』は、まだそのような動きは何もないとしている。
 これだけの薬物疑惑を報じられた成宮が、身の潔白をどうやって証明するのか。できなければ、俳優人生に終止符を打つことになるかもしれない。
 そう思っていたら、早々に成宮は芸能界から身を引いてしまった。
 成宮はFAXをメディアに送り、自筆で「今後これ以上自分のプライバシーが人の悪意により世間に暴露され続けるとおもうと、自分にはもう耐えられそうにありません」と言い、「今すぐこの芸能界から消えてなくなりたい。今後芸能界の表舞台に立つ仕事を続けていき関係者や身内にこれ以上の迷惑をかける訳にはいかない。少しでも早く芸能界から去るしか方法はありません」として引退を決意したという。
 プライバシーとは、コカインだけではなく、同性愛を指すようだが、身の潔白を証明しないで早々に引退してしまうのでは、これから生きていくのは大変だと思う。

 第1位。流行語大賞のトップ10入りした「ゲス不倫」だが、ベッキーも本格的な芸能界復帰がままならず、「ゲスの極み乙女。」の川谷絵音(かわたに・えのん)は、その後も『文春』に未成年アイドルとの交際&飲酒を報じられ、活動休止に追い込まれてしまった。
 不倫の代償は大きいが、それだけによけい燃えるのだろう。今週も『文春』のモノクログラビアを飾っているのは、テレビ朝日の朝の顔である人気女子アナと、同じ番組に出ている男性アナの不倫カップルである。
 田中萌アナ(25)は昨年、明治大学政治経済学部を卒業し、入社1年目で『グッド!モーニング』のサブMCに抜擢された局期待のホープだそうだ。

 「そのルックスと天然な発言からファンも多く、彼女の加入で視聴率も伸びたと言われています」(同局関係者)

 不倫相手は入社10年目の中堅アナ・加藤泰平(33)で、スポーツ実況に定評があるそうだ。朝、彼女のマンションから出てきて、マスクを外してタバコを咥えている写真が載っているが、なかなかのイケメンである。
 この2人のただならぬ関係は、周囲にはだいぶ前から知られていたという。
 『文春』が2人を目撃したのは11月25日、金曜日。1週間の放送を終えた番組スタッフ十数名が、午後7時から銀座で打ち上げをした後、店の外へ出てきたときだった。
 仲間と離れて加藤をジッと見つめる田中のウットリした顔がバッチリ撮られている。
 店を出た一行は二次会をやるため、文京区にある老舗割烹料理屋へ向かった。しかし、テレビ局って毎週、こんなに派手な打ち上げをやっているのかね。いらぬお節介だろうが、誰が払うんだろう。貧乏雑誌の編集者としては、こんなところがとても気になる。
 日付が変わる頃お開きとなり、各々家路についた。田中アナはタクシーを降りると、自宅マンションに入る前に周囲をぐるぐる巡回したそうだ。
 マンションに入っても渡り廊下から下をのぞき込む。
 一方の加藤アナも、仲間と別れ自宅マンションに向かうと見せて、タクシーに飛び乗り、田中アナのマンションへ向かった。
 『文春』のクルーは金曜日の夜が逢瀬の日と見て、いくつかの場所に別れて張っていたに違いない。目論見通りでさぞかし彼らはワクワクしていたことだろう。
 加藤が田中の部屋から姿を現したのは7時間以上経った翌朝の午前8時過ぎ。
 だが好事魔多し。1週間後の金曜日の深夜、田中アナは青山のファミレスで番組のチーフプロデューサーらの前で、涙目で俯いていた。
 『文春』が2人の件でこのプロデューサーに取材し、驚いた彼が田中を呼んで「事情聴取」したのだ。
 皮肉なことに、12月1日に2016年新語・流行語大賞の授賞式が行なわれ、『グッド!』から『文春』はインタビューされていたという。担当ディレクターはこんな質問もしたそうだ。

 「次の文春砲はいつですか?」

 『文春』が発売された朝の『グッド!』に2人の姿はなかった。2人は局を辞めざるを得ないかもしれない。やはり代償は大きかった。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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