中国海軍の空母「遼寧」が2016年12月、宮古海峡を通過し、初めて太平洋に進出した。遼寧の活動は、太平洋に海軍を展開している米国、そして台湾、日本など周辺諸国を軍事的に威圧したのは言うまでもない。遼寧はその後、台湾とフィリピンの間のバシー海峡を通過して南シナ海に入り、艦載機の発着訓練を行なった。日本政府は遼寧の太平洋進出について、「中国の海上戦力の能力拡大を示すものだ」(菅義偉(すが・よしひで)官房長官)として警戒を強めている。

 中国国防省は、今回の遼寧の活動目的について、「遠洋訓練」としている。だが、中国の真の狙いは、「海軍力を、従来の近海防御だけでなく、アメリカ海軍のように、世界の海に展開する形を目指す」ことにあるのは間違いない。

 遼寧は全長約300メートル、排水量約6万トンの中型空母である。艦載機は50機程度が搭載可能と見られている。元々は旧ソ連・ウクライナで「ワリヤーグ」という名称で建造が着手された。しかし、7割がた完成したところで旧ソ連が崩壊。工事がストップした。そのままウクライナでほぼスクラップ状態だったが、中国側に売り渡された。中国はその後、改修・整備を進め、2012年に就役した。

 中国は「強大な海軍の建設」を旗印に掲げており、遼寧に続く2隻目、3隻目の空母を建造中とされる。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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