香川県高松市生まれ、64歳。1979年に森友学園創立者の森友寛の娘・諄子(じゅんこ)と結婚。86年に塚本幼稚園幼児教育学園園長に就任。10年に肇國舎(ちょうこくしゃ)高等森友学園保育園を開園した。

 籠池は「瑞穂の國記念小學院」を建設するため、大阪府豊中市の国有地を買い取ったが、この土地の買い取り価格が8億円も値引きされていたことが問題になり、このことに安倍晋三首相の妻・昭恵(小學院の名誉校長になっていた)が“関与”していたのではないかという疑惑まで持ち上がり、3月23日に衆議院、参議院で証人喚問を受けた。

 この小學院は当初、安倍晋三記念小學院とすると籠池が触れ回っていたこともあり、土地取引に安倍首相や妻・昭恵が関与していないのかと衆議院予算委員会で問われた際、安倍は「関係していたということになれば、私は間違いなく総理大臣も国会議員も辞める」と言ってしまったため、野党やメディアが安倍を引きずり降ろそうと「関係」の証明に血眼になっている。

 そうした背景の中で、籠池は喚問で、15年9月5日に昭恵を介して安倍から寄付金100万円をもらったことを明かした。

 また、同日、昭恵に講演のお礼として10万円を支払ったことも明かしたのである。

 さらに昭恵の関与をうかがわせる、彼女の秘書で経産省から出向していた谷査恵子(たに・さえこ)氏からのFAXも公開し、国有地取得について「政治的な関与があったと認識している」と述べた。

 様々な疑惑が浮上したため、籠池は小學院の認可申請を取り下げ、理事長を辞任した。それによって建設予定地は仮差し押さえされ、事実上小學院建設は白紙に戻ったのである。

 この取引についてはまだ全容解明されていないので、本稿ではこれ以上触れない。ここでは籠池泰典という人物について、週刊誌に書かれた情報をもとに見ていきたい。

 『週刊新潮』(2/23号、以下『新潮』)によると籠池は、安倍を支えているといわれる右派集団「日本会議」の大阪支部代表を務めている。

 もともと籠池夫婦は宗教団体「生長の家」の元信者であり、「日本会議」にはここの出身者が多い。

 彼の運営している幼稚園では、毎朝の朝礼で君が代と教育勅語を唱和させ、年に一度、伊勢神宮へ参拝させていると報じている。また『新潮』(3/16号)によると、海上自衛隊練習艦隊入港式典を見に連れて行ったり、大阪護国神社で行なわれた「同期の桜を歌う会」では、満開の桜の下で演奏と唄、教育勅語と五箇条の御誓文を朗誦させたそうだ。

 15年の運動会では、「安倍首相頑張れ、安保法制通過良かったです」と園児たちが口をそろえて宣誓し、その前の年には「尖閣列島を守れ」と言わせていたという。

 元保護者によると、教育勅語や五箇条の御誓文を暗唱できないとシールを貼ってもらえずクラスを「降格」されられるし、縄跳び100回、跳び箱8段も平気でやらせるそうだ。

 できない園児にはお仕置きが待っている。

 「ある時、5人の子が縄跳びのシールがゼロだったそうです。先生はその5人を、普段は使わない準備室のようなところに閉じ込めて鍵をかけ、電気も消した。ちょっとした“監禁”のようなもので、当然、子供たちは怖くて泣き叫びます。しばらくしてからようやく先生が来て出してもらえたのです」(元保護者)

 籠池理事長は戦前の国粋主義的教育をモットーとしているようだが、その教育方針に園を訪れた安倍首相の妻・昭恵が感激したという。そして亭主にもそのことを話し、夫婦そろってこの幼稚園の教育を賛美してきたのだ。

 特に籠池の妻・諄子と昭恵は親しくなり、疑惑発覚後も頻繁にメールのやり取りをしていたのである。

 だが『新潮』(2/23号)によれば、子どもからはとんでもない親父だと思われているようだ。

 次男が言うには、長男の結婚相手が気に入らず、顔も見ないで玄関から追い返した。三男は、厳しく育てられることに抵抗しようとしたからか、高校卒業後仕事にも就かないで両親から白い目で見られ、ついには21歳の時に自殺してしまったという。

 教育者としては首を傾げたくなるのだが、安倍夫妻はこのような人間を買いかぶり、一時は素晴らしい教育者だと公言していたのだ。

 私は常々、安倍という男が胡散臭いと思っているのは、籠池同様、国民をかなり偏った価値観で「教育してやろう」という底意が見え見えなところである。

 2月19日の朝日新聞「社説」にこうある。

 「いま、このような法律をつくる必要がどこにあるのか。
 自民党が今国会への提出をめざしている『家庭教育支援法案』のことだ。
 家庭における教育を支援するために、国や自治体、学校・保育所の設置者、さらには地域住民の責務や役割を法律で定めるという。家族がともに過ごす時間が減ったり、家庭と地域の関係が薄まったりしていることを制定の理由にあげている」

 安倍は第一次政権の時、教育基本法を改正して「家庭教育」の名のもとに、両親ら保護者の責任を定める条文を新設した。

 今度の法案も、安倍が思い描く「あるべき家庭像」を人々に押しつけようとする流れの中にある。

 そのうち家の中に安倍の肖像画でも飾れとでも言いかねない。おじいちゃんおばあちゃん、お父さんお母さんを大切にしようというところまではいい。

 だが、個人の思想信条にまで立ち入る権利は政府にはない。日本国民は安倍の所有物や奴隷ではないのだから。

 安倍独裁政権とまで言われ盤石に見えた政権運営だったが、ここへきて盟友だと思っていた「籠池の叛乱」でにわかに波乱含みになってきた。

 私は、籠池の証人喚問をスマホのAbemaTVで見たが、正直に言うと、籠池の思想信条には辟易しているが、ここでの話しぶりは堂々としていて、こやつはただ者ではない、安倍夫妻は手ごわい人間を敵に回してしまったと思った。

 籠池は、事実関係については自分の言うことに嘘はないという自信があったのだろう。冒頭こう言った。

 「国有地の大幅な値引きなど、一連の経緯の真相を明らかにするためにも、私だけトカゲのしっぽ切りで罪をかぶせようとするのではなくて、まず私がこうして国会の場で正直にお話しさせていただきますので、どうぞぜひ、その他の関係の方々を国会に呼んで、事実関係をお聞きいただき、真相究明を進めていただきますよう、心からお願い申し上げます」

 それに比べて自民党の西田昌司議員などは、安倍首相や妻・昭恵の代理人のごとくふるまい、真相解明しようという姿勢を全く見せなかったのは見苦しく、かえって安倍や昭恵の疑惑を深めてしまった。

 籠池は西田が「100万円授受はなかった」と何度も否定するのにも全く動じなかった。また、民進党の福山哲郎議員が、もしそれが嘘だった場合に偽証罪に問われるが、と再度質しても、間違いないと言い切った

 安倍と昭恵は中継を見ながら、とんでもない奴と関わったと臍(ほぞ)をかんでいたに違いない。

 『週刊文春』(3/30号)は籠池の電話インタビューを巻頭でやっている。そこでも昭恵からの100万円寄付について詳しく語っているので、要約してみよう。

 2015年の9月5日、昭恵が3度目の塚本幼稚園訪問をし、講演した。講演の前に園長室で2人だけになったとき、彼女が封筒を差し出した。

 「まずいただいて、『これは何でしょうか』とうかがいましたら、『一人で(小学校建設を)させてすいません』と。『これはいただいていいんですか』とお尋ねしますと、『どうぞ、安倍晋三からです』というふうにおっしゃいましたね」(籠池)

 その際、昭恵に講演の謝礼として10万円を菓子袋と一緒に渡し、彼女も受け取った。

 だが、昭恵が車で出た後に電話をよこして「寄付金は匿名にしてほしい」と言われたという。

 さらに、安倍首相が2月27日に国会答弁で、「妻は講演料も受け取っていない」と発言した直後に、籠池の妻に「本当に記憶から飛んでしまって」という謝り(?)メールを送ってきていることも明らかにした。

 籠池の証人喚問は終わったが、かえって昭恵の“関与”が色濃くなり、彼女の証人喚問を求める声が大きくなっている。当然であろう。

 籠池証言を昭恵はフェイスブックなどで否定しているが、コトはそう簡単なことではない。このへんにもこの女性の「甘さ」がよく出ている。

 『週刊現代』(4/8号、以下『現代』)は、安倍首相の母、ゴッドマザー洋子氏が昭恵に対して「日本の恥 昭恵は総理夫人失格です」と激怒していると報じている。

 元々嫁姑の仲はよくはなかったようだ。それがこの頃は、昭恵が「お義母(かあ)さん(洋子氏)に叱られるのが怖い。憂うつだ」と愚痴っているというし、安倍と昭恵が顔を合わせる機会はほとんどなくなり、安倍家は崩壊しているといっても過言ではないそうだ。

 それに今回の籠池問題勃発だ。夫の心妻知らずと、安倍は嘆いているかもしれない。

 この記事の中で注目すべきは、政治資金に詳しい上脇博之(かみわき・ひろし)神戸学院大学教授が、こういう指摘をしているところだ。

 「調べてみると、昭恵夫人が塚本幼稚園を訪れた15年9月5日の1週間前、8月28日付で、安倍総理が代表を務める地元・自民党山口県第四選挙区支部から、総理の政治資金団体のひとつ『晋和会』に、ちょうど100万円が寄付されています」

 このタイミングで100万円が動いた! 推測だがと上脇教授は断わったうえで、万が一、昭恵夫人が晋和会から人件費としてカネを受け取っていたとすれば、それが籠池に渡った可能性があるのではないかと指摘する。

 『現代』によれば、籠池が「安倍総理から100万円の寄付を受け取った」と爆弾発言をした日、これを聞いた山本一太参院議員が安倍にすぐ連絡を入れると、「安倍総理は瞬間湯沸かし器のように怒って、『証人喚問だ! 籠池を国会に呼べ!』と大興奮で指示を出した。参考人招致をすっ飛ばしていきなり証人喚問となった裏には、こんな経緯がありました」とある官邸スタッフが語っている。

 これまで証人喚問されたのは政治家が多い。もちろん「耐震強度偽装事件」や「年金資産詐取事件」で民間人も呼ばれてはいるが、国民生活に関わる重大事件である。

 籠池が、国会の喚問の後、外国特派員協会で記者会見を開いて、そこで「(総理の)悪口を言っただけで喚問される。この国には言論の自由はあるのか」という趣旨の発言をしている。

 これこそこの問題の本質で、メディアが挙って追及すべき重大事であるはずだが、気づいているのだろうか。心配である。

元木昌彦が選ぶ週刊誌気になる記事ベスト3
 この国の週刊誌も含めてメディアはすべて視野狭窄(きょうさく)である。アメリカのような大国ならばそれでもいいかもしれないが、島国日本が生きていくためには、他国の出来事に敏感になるべきだが、そうした視点はどのメディアにもない
 そうしたことに目を開かせてくれる唯一といってもいい雑誌が『ニューズウィーク日本版』である。ミャンマーの少数民族についての報告だが、読んでいて泣けた。

第1位 「ミャンマー 語られざる民族浄化」(『ニューズウィーク日本版』3/28号)
第2位 「トクホの大嘘」(『週刊新潮』3/30号)
第3位 「東芝『潰すか救うか』メガバンクのトップたちが語る」(『週刊現代』4/8号)

 第3位。もだえ苦しむ巨竜・東芝がどうなるのかというお話。確かに苦しい状況だが、『現代』によれば、メインバンクは東芝支援をこれからもやっていくと、腹を決めたというのである。
 それは、東芝がインフラ事業や鉄道、道路標識などに深く関わっているからという理由がある。
 もし東芝が潰れれば、オフィスビルやタワーマンションでエレベーターが止まり、鉄道が運休し、交通標識が誤表示で交通事故が多発する。
 東芝社員は19万人だが、東芝の取引先は1万社を超えるといわれ、全国1万件の連続倒産にでもなれば、日本経済にも大打撃である。
 それに事故を起こした原発の廃炉作業、軍需産業と、東芝は「国策企業」である。これを放置したままにすれば、日本だけではなく、国際的な外交問題にもなりかねないのだ。
 だからメインの三井住友銀行も、東芝への不満は言うが、手を引くことはないようだ。また『現代』によれば、政府系の「産業革新機構」が出資するシナリオもあり、政府系として生き残る可能性もあるようだ。
 たしかに、これだけの企業を潰すわけにいかないことはわかる。だが、それとは別に、東芝の経営陣の放漫経営、経営責任をおろそかにしてはならない。
 すべての膿を出し、経営陣を一新し、不要な部分はそぎ落として新生東芝として厳しい再建への道を歩む。
 東芝で起きていることは氷山の一角であるはずだ。第2、第3のシャープや東芝はこれからもっと出てくる。そのためには徹底的な東芝の再建策を、国民にわかるように見える形でやってもらいたいと思う。

 第2位。『新潮』がCMで喧伝されているトクホ(特定保健用食品)には「大嘘」のものが多いという特集を組んでいる。
 トクホとして販売するには製品ごとに有効性や安全性について審査を受け、表示について消費者庁の許可を得る必要がある。3月20日時点でトクホは1168品目あるという。
 そのうち販売されていないものもあるから、現在販売、準備中のトクホは454品目。2015年度の市場規模は6391億円もあるそうだ。
 まずは、脂肪の吸収抑制・排出増加を謳っている「からだすこやか茶W」「キリンメッツコーラ」などに入っている難消化性デキストリン(以下、難デキ)は「効き目ゼロだった」というのである。
 これはトクホ全体の3分の1を占める「魔法の成分」といわれるそうで、難デキは水溶性の食物繊維で、デンプンを加工処理した物質だという。国が許可した難デキの効用は20年ほどの間、整腸効果や血糖値だけだった。
 そこに2011年に「脂肪」の文字が加わる。そのために脂肪の多い食事を摂りがちな人や中性脂肪が気になる人の食生活改善になると爆発的な売れ筋になる。
 だが、筑波大学の鈴木正成名誉教授らが2010年に、日常的な食事を摂った場合に、難デキ6グラムが含有された茶飲料、グァバ葉茶ポリフェノールが70ミリグラム以上含有された茶飲料、普通の水出し煎茶と、それと合わせてダンベル体操をやった後の食後血糖値上昇抑制効果を調べた結果、どの茶も血糖値の上昇を抑制したものはなく、有意差が出たのはダンベル体操だけだったという。
 さらに、千葉大学の山本啓一名誉教授によると、このトクホの根拠論文がいずれも松谷化学工業という会社の研究者が作成した論文に依拠しているそうで、ここは難デキの国内シェア8割を誇る会社だというのである。
 山本名誉教授は、その論文で難デキを摂取すれば脂肪が糞便として多く排出されるとしているが、「そこに表れた1.2%の差は生物学の世界では誤差の範囲。このことから難デキには脂肪の吸収を抑制する効用はない」と言うのである。
 10億本を突破したお化け商品「伊右衛門 特茶」は、謳い文句とは逆に体脂肪率も体重も増加するという。
 これもサントリー食品インターナショナルのホームページにあるグラフがミスリードしていて、首を傾げざるを得ないと高橋久仁子群馬大学名誉教授が話している。
 高橋名誉教授が特茶の主な論拠論文を当たったところ、特茶を飲み続けると体重が減らないばかりではなく、体重も脂肪率も増えていたというのである。これなら飲まないほうがいい。
 トクホの許可は消費者庁の管轄で、その有効性や安全性の評価は「消費者委員会新開発食品調査部会」で審議される。しかし特茶が関与成分としているのは「ケルセチン配糖体」だが、審議を担当する専門家ですら解釈に困る代物だったというのである。
 そのためメーカーには再度の説明が求められ、結局、お腹周り、ウエストサイズ、肥満という文言が削除されてしまったそうだ。
 「リカルデント」というガムに添加されている人工甘味料は、「90年代後半には、米国の複数の研究者が脳腫瘍を引き起こす可能性を指摘」(科学ジャーナリストの渡辺雄二氏)しているという。
 生きたまま腸に届くという「ヤクルトAce」も意味がないとニベもない。「この手の乳酸菌飲料でなくても健康は維持されますし、特定の乳酸菌でないとダメということもない。無理して高価なトクホを買うよりも、バーゲンセールで買ったヨーグルトを選べば十分ですよ」(秋津医院の秋津壽男院長)
 日本ケロッグの「オールブラン オリジナル」も、「その人数(被験者=筆者注)もたった11人ですから、どんな量を何日間摂取したらどのような効用があるのか、納得できる証明になっていません」(唐木英明東京大学名誉教授)
 日清オイリオの「ヘルシーコレステ」に入っている植物コレステロールには思わぬ副作用が発覚したという。
 したがってドイツやEU全域でこれを使った加工食品には「血中コレステロール値が普通の人や子供は摂取するな」という警告表示が完全に義務付けられたそうである。
 『新潮』が言うように「聞こえのいい効果ばかりが喧伝され、そこに潜むリスクが周知されているとは言い難い」のだ。『新潮』はこの問題を引き続き追いかけるそうだから、要注目である。

 第1位。これだけは読んでほしいという記事を紹介しよう。『ニューズウィーク日本版』が、ミャンマーで今も続くイスラム系少数民族、ロヒンギャに対する大虐殺についての特集を組んでいる。
 勉強不足でこのことについて知らなかった。ロヒンギャとは、ミャンマー南西部のラカイン州を主な居住地とするイスラム系少数民族。
 ロヒンギャに対する迫害は18世紀から始まるというが、これは省く。直近の悲劇は昨年10月に始まった。
 ロヒンギャの武装集団による国境警官の殺害事件を口実に、ミャンマー政府軍が攻撃を開始し、彼らが住む3つの村で合計430の住居が軍隊に破壊され、村全体が焼き討ちされた。
 上空から軍のヘリが飛来し、手りゅう弾を投げ込み、家から飛び出てきた住民たちを地上部隊がライフルで狙い撃ちした。
 動けない老人たちも家から引きずり出され、木に縛られ焼き殺された。11歳の少女は、家に押し入った兵士が父親を殺し、母親を代わる代わる強姦したのを目の当たりにした。
 別の家では、泣きじゃくっていた乳児に兵士がナイフを突き刺した。5歳の少女は、強姦されている母親を助けようとしてナイフでのどを切られて殺されたという。
 焼き払われる前と後の村の写真が載っている。村はすっかり更地になってしまっている。
 ボスニア紛争中に起きた虐殺事件では8000人以上が殺されたというが、この村々ではそれ以上が殺されたそうである。
 ロヒンギャ迫害は1948年にミャンマーがイギリスから独立してから始まった。
 ロヒンギャは虐殺だけではなく、法的な手段でも排斥されているという。82年に制定された「国籍法」で、ロヒンギャはミャンマー国籍までも奪われた
 ロヒンギャの総数は200万人とも300万人ともいわれるそうだが、そのうち迫害から逃れるために国外へ脱出したのは160万人もいると見られている。
 日本にも迫害を逃れたロヒンギャが暮らしている。必死に日本語を覚え、スクラップ工場を経営しているロヒンギャもいる。
 読んでいて泣いた。民主化したはずのミャンマーで、あのアウンサン・スーチーが元首の国で、いまだにこんな虐殺が行なわれているなんて、信じられない。だが現実である。
 この瞬間にも、ロヒンギャが虐殺され、シリアなどの難民は野垂れ死にしている。
 こうした世界へ眼を開いてくれる記事が日本の雑誌には少なすぎる。毎日、安倍や小池の話題ばかりでは視野が狭すぎる。こうした問題を考え日本を見つめなおす。つくづくそう思わされた特集であった。
   

   

読んだ気になる!週刊誌 / 元木昌彦   


元木昌彦(もとき・まさひこ)
金曜日「読んだ気になる!週刊誌」担当。1945年東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、講談社に入社。『FRIDAY』『週刊現代』の編集長をつとめる。「サイゾー」「J-CASTニュース」「週刊金曜日」で連載記事を執筆、また上智大学、法政大学、大正大学、明治学院大学などで「編集学」の講師もつとめている。2013年6月、「eBook Japan」で元木昌彦責任編集『e-ノンフィクション文庫』を創刊。著書に『週刊誌は死なず』(朝日新書)など。
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