第三者に対し、任意の人や物事に関して自分側の都合のいい印象を与えようとすること。最近、安倍首相が国会でやたら好んで口にするせいか、ちまたにもわりと流行語っぽく浸透しつつあるが、野党からは「あんな言葉、どこで覚えたんですかね?」と、失笑混じりの声が上がっているとも聞く。(実例:「1年間に14万円の報酬を受けたことはございます。しかしこれは印象操作であって、まるで私が友人のために便宜を図ったかのごとく議論をしておりますが恣意的な議論だと思います」)

 マスコミがよく利用する表現の一手段とされており、スタンダードな手法としては「断定的な論調で主張を示す」「それらの主張を一般的であるかのように連呼する」あたりが挙げられる。

 たとえば、ここ数年「(東京・渋谷区にある飲み屋街)恵○寿横丁は今、都内でもっともアツいナンパスポット」みたいなニュースをあちらこちらのメディアで目にする。しかし、実際行ってみたら“交渉”が成立する確率はごく僅かで、結果、となりのコンビニで購入した缶ビールや缶チューハイを飲みながらクダを巻いている敗残兵が入口付近に溢れかえっているだけ……なのが実状だったりする。地元民からすれば、週末の夜などは滅法うるさかったり、通行の邪魔になったり、となりのコンビニのトイレが行列になったり……と、迷惑極まりない話で、これもれっきとした「マスコミによる印象操作の弊害」なのではなかろうか?
   

   

ゴメスの日曜俗語館 / 山田ゴメス   


山田ゴメス(やまだ・ごめす)
日曜日「ゴメスの日曜俗語館」を担当。大阪府生まれ。エロからファッション、学年誌、音楽&美術評論、漫画原作まで、記名・無記名を問わず幅広く精通するマルチライター。『現代用語の基礎知識』2005年版では「おとなの現代用語」項目、2007年版では「生活スタイル事典」項目一部を担当。現在「日刊SPA!」「All About」の連載やバラエティ番組『解決!ナイナイアンサー」(日本テレビ)の相談員で活躍。著書に『「若い人と話が合わない」と思ったら読む本』(日本実業出版社)など。趣味は草野球と阪神タイガース。
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