政府が導入する新たな大型連休。公立小中高校の長期休暇を自治体ごとに分散させる方式をとる。導入は来年度(2018年4月)から予定している。一部自治体では、2017年中にも試験的に実施し、18年度から全国展開を目指す。

 新たな大型連休といっても子どもたちの「年間総休暇日数」が増えるわけではない。

 例えば、夏休みを5日間減らし、その分を春や秋などの平日にまわすだけだ。しかし、前後の土日を合わせると9連休ができあがる。「キッズウィーク」に合わせ親が休暇を取得すれば、家族でちょっとした旅行も可能だ。自治体ごとに休日を分散化させることで、夏の観光混雑も回避できる。

 政府は2017年の「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)にキッズウィークを盛り込んだ。安倍内閣の看板政策である「働き方改革」の一環との位置づけ、導入促進に向け懸命に旗振りする。経済界にもキッズウィークに合わせた親の有給休暇消化促進を後押しするよう要請する方針だ。

 キッズウィーク導入の背景には景気対策の側面も見逃せない。新たな大型連休の導入で観光産業を中心に内需が上向くとの期待も大きい。観光以外にも新たに「キッズウィーク商戦」が起こるだろう。

 例えば塾産業。キッズウィークに合わせて受験対策の集中合宿のプランを設け、休暇のキッズたちを囲い込むことも考えられる。

 もっとも、自営業を営む親や零細企業のサラリーマンは満足に休暇をとれないのが実情だ。その場合、家で誰が子どもの面倒を見るのか。結局、小学生の子どもなら学童保育で休暇を過ごすことになりやしないか。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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