ギョロ目の黄色いキャラたちが日本を席巻している。2010年のCGアニメ映画『怪盗グルーの月泥棒』でデビューした「ミニオン」だ。その後、スピンオフ作品『ミニオンズ』で主役の座も勝ち取った。今年4月、USJにオープンした「ミニオンパーク」も順調。いつの間にか先達のトップキャラたちと肩を並べた感がある。

 このミニオンの生みの親であるアニメ製作会社が「イルミネーション・エンターテインメント」。『アイス・エイジ』などを手がけたプロデューサーのクリス・メレダンドリ氏が、2007年に設立した。『ペット』『SING/シング』といった立て続けのヒットで、いまやピクサー、ドリームワークスというアニメ界の二大スタジオに迫る勢いだ。

 イルミネーションの作品は「ファミリー層向け」と紹介されることが多いが、どことなくアメリカらしくない、シニカルな雰囲気がただよう。この作風はスタッフの布陣に由来する。設立当初は、優秀なスタッフが大手スタジオに確保されており、メレダンドリ氏はヨーロッパに人材を求めることにした。『怪盗グルー』シリーズのメガホンをとっているピエール・コフィン監督はフランス人、CGを手がけた会社イルミネーション・マックガフもパリに本拠地がある。もとよりフランスのアニメは秀逸なアート性で評価されていた。それがエンターテイメントに振れたとき、従来のハリウッド的作風としあわせな化学反応を起こしたといえる。

 イルミネーションでは、『怪盗グルー』シリーズ以外でも『SING/シング』など続編の製作が進む作品が多く、今後も楽しませてくれそうだ。
   

   

旬wordウォッチ / 結城靖高   


結城靖高(ゆうき・やすたか)
火曜・木曜「旬Wordウォッチ」担当。STUDIO BEANS代表。出版社勤務を経て独立。新語・流行語の紹介からトリビアネタまで幅広い執筆活動を行う。雑誌・書籍の編集もフィールドの一つ。クイズ・パズルプランナーとしては、様々なプロジェクトに企画段階から参加。テレビ番組やソーシャルゲームにも作品を提供している。『書けそうで書けない小学校の漢字』(永岡書店)など著書・編著多数。
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