これが事実なら、北朝鮮はまたやっかいな核戦力を得たことになる。

 北朝鮮メディアは、2017年9月3日、北朝鮮が開発したICBM(大陸間弾道弾)の核弾頭に搭載した「水爆」について、「電磁パルス(EMP)攻撃能力を得た」と報じた。

 EMPは「Electromagnetic Pulse」の略。EMP攻撃は、高高度(極めて高い)の上空で核爆発を起こし、放たれたガンマ線が作用して地上の電子機器などを破壊するものだ。人間や建物には直接の影響はない。しかし、電子機器が破壊されることで、大規模停電、水道、鉄道、航空機、通信・インターネット網などが停止・故障し、甚大な影響を及ぼす。復旧には場合によっては数年かかるとの指摘もある。

 心配なのは、日本の防衛網にも影響を及ぼす可能性があることだ。日本の防衛網の基盤はレーダーなどの電子機器が基盤となっているからだ。

 EMP攻撃自体は冷戦時から米ソ両国などが開発と対策を練ってきた経緯がある。残念ながら、日本はこれまで対策を怠ってきた。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は記者会見で、「万が一の事態の備えとして、国民生活への影響を最小限にするための努力が必要。必要な対策を検討していきたい」と述べた。その対策が不十分であることを認めた形だ。政府は、防衛省、経済産業省、国土交通省などが中心となってようやく対策に着手した。
   

   

マンデー政経塾 / 板津久作   


板津久作(いたづ・きゅうさく)
月曜日「マンデー政経塾」担当。政治ジャーナリスト。永田町取材歴は20年。ただいま、糖質制限ダイエットに挑戦中。
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