その口癖、気になるんですけど。

クルマではラジオを聴くことが多い。といっても、番組名を覚えているのは「サタデー大人天国！宮川賢のパカパカ行進曲!!」と「あ、安部礼司」くらいで、あとはその時々に流れているものを聴いているだけだ。先日聴いていたのは、いわゆる体育会系的年功序列意識がもたらす経済活動への弊害、といったテーマを識者が語る内容。その内容はともかくとして、パーソナリティーがしきりに使うある言い回しが気になりまして……。

それは「個人的な意見なんですけど」とか「～～と個人的には思うんですよね」といった言い回しだ。意見なんてものは個人的なものであって、「一般的には」とか「誰々の本によると」といった（自分の）意見でないときに補足すべき、という理屈もあるが、なによりも聞いていてクドイのである。

さらにそのクドさは「これは勝手に言っているだけだから、あまり気にしないでね」という責任回避的なニュアンスに聞こえてくる。ありゃ、なんなんだろう。

世の中には論争好きという方々がいると思うが、筆者はどちらかというと「嫌いではない」程度。「まあまあ、とりあえず飲みましょうよ」というのも嫌いではない。その論争好きのあいだでは、あえて違う立場の意見を出して議論を盛り上げる、といった作戦もあるかと思う。それを楽しめるようになればかなりの上級者だ。

ここで「個人的な意見」派について考えてみたい。彼らは論争好き派とは反対に、「誰からも愛される意見」を発言するという基本戦略を持っているのではないだろうか。だが、いつでもどこでも誰からも賛同を得られるというのは容易なことではない。そこで発達したのが枕詞としての「個人的な意見なんですけど」と考えると腑に落ちる。

俗に言うKYを恐れるあまりに生まれた言い回しだとすると、ちょっと笑えない世の中では、と個人的には思うんですよね。