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これは、すべての「私」の物語
2021-12-02
11月から始まった2021年度後期の朝ドラ「カムカムエヴリバディ」。先週は太平洋戦争。岡山大空襲の悲惨な描写があり、そしてヒロイン安子から大切なひとを次々と奪い、毎朝半ば号泣して目が腫れた。
安子の義弟の勇ちゃんの出征シーンをアップにした画像をSNSで見た。勇ちゃんは安子と幼なじみの学徒兵である。胸の名札には名前などとともに血液型が大きく書かれてあった。「勇ちゃん、B型か……」
あるエピソードを思い出した。私が一緒に暮らしていた母方の祖父が、ある日夕食を終え、席を立ってこうつぶやいた。「ずーっとＢ型やと思ってたけど、おじいちゃん、A型やったわ」
すでに祖父は70代。家族全員、何を今さらという反応だったが、祖父の顔はひどく青ざめていた。「戦争の時もB型って名札に書いてたんや」と肩を落とし、自分の部屋へと戻っていった。
「マイペースなB型として生きてきて、急に几帳面なA型と言われたら確かにショックやろなあ」と几帳面なところがほとんどないA型で子どもの私はぼやーっと考えていた。いやいや、祖父は戦争で南の島に行って死ぬ思いをしたそうだから、それはそれは相当ショックだったことだろう。
祖父は次男で、沖縄で戦死した長男の嫁と戦後結婚した（くわしくいうと私の母は長男の娘であり、私は祖父とは血が繋がっているが実の孫ではない）。朝ドラの安子ちゃんは今のところ勇ちゃんとは結婚しなさそうだが、勇ちゃんと祖父、なんか重なるんだよなあ、と思いながら、“これは、すべての「私」の物語”「カムカムエヴリバディ」を明日も見るのだ。
まだ１か月しか経っていないのに、なんという濃いお話なんだ！ ヒロイン3交代制による100年のファミリーストーリー。果たして年末までは萌音ちゃんがヒロインなのだろうかと全く予想がつかないというのもまた新鮮です。
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