NHK大河ドラマ「光る君へ」特集
ジャパンナレッジは約1700冊以上の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書」サービスです。
➞ジャパンナレッジについて詳しく見る
  1. トップページ
  2. >
  3. カテゴリ一覧
  4. >
  5. 言語
  6. >
  7. 文字・書
  8. >
  9. 神代文字
  10. >
  11. 神代文字

神代文字

ジャパンナレッジで閲覧できる『神代文字』の改訂新版・世界大百科事典のサンプルページ

神代文字
じんだいもじ

漢字の渡来および〈かな〉の成立に先だって,上古の日本にかつて行われたと称せられる文字。〈神字〉と書いて,〈かんな〉とも呼ぶ。そのような固有の文字が存在したとする説は,おそくとも室町時代から神道家の間にひろまっており,江戸時代においては,平田篤胤をはじめ国学者のうちに,その存在を主張する者が少なくなかった。一方,伴信友のように,それを否定する者もあって,議論が沸いたが,明治になって後は,学者としてその存在を信ずるものはほとんど影をひそめるにいたった。ただ,いわゆる愛国者とか軍人などのなかには,昭和年代に入ってさえ,その存在を信ずるものがあって,政治問題にまでも発展しかねない事件を引き起したことがある。

一口に神代文字といっても,そのなかにはいろいろの種類があって,神代文字の存在を支持する人々の間においても,どれを真の神代文字と認めるかについては論の一致をみないが,多くの人々によって最も有力なものとみなされたのは,日文(ひふみ)と呼ばれる一類である。しかしこれは明らかに,朝鮮のハングル(諺文(おんもん))に基づいて作られたものである。日文のほかのものも,結局は,すべて国粋尚古の念から偽作付会されたものにほかならない。古代に固有の文字がなかったということについては,日本の文献自体に古くそれに関する記事があり,神代文字で書かれた古い文献のようなものは一つも残っていないばかりでなく,つぎに掲げるような理由から,その存在は完全に否定することができる。(1)漢字に先だってすでに固有の文字があったとすれば,わざわざ漢字を輸入して日本語を写したり,それから〈かな〉を発達させたりする必要は考えがたい。(2)神代文字はその構成において,かなよりもいっそう進歩した文字とみなされる。かなは音節文字であるのに,神代文字は一種の単音文字である。(3)最後に,これは否定の決め手であるが,神代文字は47音ないし50音しか書き分けない。奈良時代以前にまでさかのぼると,日本語の音節には〈いろは〉47文字では書き分けられない多くの音があり,それらは五十音図のうちには収められないところの音であった。すなわち,いろは歌や五十音図だけでは示しきれないところの音が上代にはあったのである。これらを〈万葉仮名〉ではちゃんと書き分けてその区別を守っている以上,もし神代文字が真に〈かな〉以前のものであったとすれば,少なくとも,もっと多くの字体がなければならないのに,いわゆる〈変体仮名〉にあたるものさえなく,きわめて整然とした統一をもっているのである。
[亀井 孝]

[索引語]
神字 日文

表-神代文字日文
表-神代文字日文
©Heibonsha Inc.
上記は、日本最大級のオンライン辞書・事典・叢書サービス「ジャパンナレッジ」のサンプル記事です。

ジャパンナレッジは、自分だけの専用図書館。
すべての辞書・事典・叢書が一括検索できるので、調査時間が大幅に短縮され、なおかつ充実した検索機能により、紙の辞書ではたどり着けなかった思わぬ発見も。
パソコン・タブレット・スマホからご利用できます。


神代文字の関連キーワードで検索すると・・・
検索ヒット数 49
※検索結果は本ページの作成時点のものであり、実際の検索結果とは異なる場合があります
検索コンテンツ
1. かみよ‐もじ【神代文字】
日本国語大辞典
〔名〕わが国で、漢字の渡来以前に使われ、神代から伝えられたといわれる文字。じんだいもじ。 ...
2. 神代文字
世界大百科事典
事件を引き起したことがある。 一口に神代文字といっても,そのなかにはいろいろの種類があって,神代文字の存在を支持する人々の間においても,どれを真の神代文字と認め ...
3. じんだい‐もじ【神代文字】
日本国語大辞典
*国語のため〔1895〕〈上田万年〉言語学者としての新井白石「初めに支那文字の沿革を説き、次に日本に神代文字のあったことを説き、仮名といふものは右の二つより発達 ...
4. じんだいもじ【神代文字】
国史大辞典
であって、今日では全く否定されている。その否定論の代表は山田孝雄の「所謂神代文字の論」(『芸林』四ノ一―三)で、神代文字論の沿革を展望し、標本資料の点検を詳細に ...
5. 神代文字 : 表-神代文字日文
世界大百科事典
 ...
6. あしじんじゃ【阿志神社】愛知県:渥美郡/田原町/芦村
日本歴史地名大系
神体はいずれも懸仏で、現在残っているものは阿弥陀如来一面、薬師如来二面で、室町期の作といわれる。社殿の瓦に神代文字で「アシヤシロ」と刻まれているが、後世補修の時 ...
7. あないち【天名地鎮】
日本国語大辞典
〔名〕神代文字(じんだいもじ)の一種。江戸末期、鶴峰戊申(つるみねしげのぶ)が、「嘉永刪定神代文字考」でその存在を主張した。縦横斜の直線と点とを用い、一二三など ...
8. あひる‐もじ【阿比留文字】
日本国語大辞典
〔名〕古代、漢字の渡来以前にすでに存在していたという神代文字の一つ。日文(ひふみ)と呼ばれる文字の異称。対馬国卜部阿比留氏に伝わったとされるところからいう。諺文 ...
9. 新井白石
世界大百科事典
名詞の語源とその変遷の考証,《東音譜》は五十音の音韻の研究,《同文通考》は漢字の起源と日本の神代文字,かな,国字などを論じた著述である。白石の文章はとくに和文の ...
10. あらいはくせき【新井白石】
国史大辞典
表わす漢字について、わが国と当時の中国諸地域とを比較し、『同文通考』では漢字の起源ならびにわが国における神代文字・仮名・国字・俗字などについて述べている。かれは ...
11. いしとむら【石戸村】新潟県:東蒲原郡/三川村
日本歴史地名大系
天保一三年(一八四二)裸押合祭が始まり、現在も年中行事として一月二三日に行われている。寺左側に神代文字の碑がある。また民俗芸能石戸獅子舞は旧盆に行われる。明治八 ...
12. いわづ【岩津】徳島県:阿波郡/阿波町/西林村
日本歴史地名大系
人岩雲花香が建立した歌碑には「波の間に出でてみえなむつさはふ岩津の淵の底のなまづは」との歌が神代文字で刻まれている。また岩津には枕流亭をむすんだ風雅人細井菊江の ...
13. うえ‐つ‐ふみ[うへ‥]【上文】
日本国語大辞典
〔名〕漢字が伝わる以前の日本に存在したと江戸時代の国粋主義者が主張した文字。日文(ひふみ)、あないちの類。神代文字(じんだいもじ)。 ...
14. おおみけじんじゃ【大御食神社】長野県:駒ヶ根市/上穂村
日本歴史地名大系
祈願して獅子ひきによって引かれた獅子頭は、神前で切り落とされて供えられるというお練りの行事である。社宝に神代文字社伝記や一本彫りの伝称日本武尊の神像がある。 ...
15. 仮名
世界大百科事典
があったという説が鎌倉時代以降に現れ,江戸時代には,その実例と称するものも提出された。それを神代文字(じんだいもじ)という。しかし,その大部分は,朝鮮の京城で1 ...
16. かん‐ひぶみ【神日文】
日本国語大辞典
〔名〕(「ひぶみ」は、神代文字の一種)神代にあったとされた文字。*西洋道中膝栗毛〔1870〜76〕〈仮名垣魯文〉九・序「仕(し)てみたき事の品々 〈略〉那破侖( ...
17. 広益俗説弁 66ページ
東洋文庫
とらずして、鏡を取て附会す る、すべてかやうの類、皆ひが事なり〔『日本釈名』〕。 神代文字の説俗間、巫覡等、神代の文字なりとて、符章に書ことあり。 ...
18. こしちょう【古史徴】
日本国語大辞典
刊。古伝説の起源、神代文字の存在論、記紀・国史・風土記・古辞書などの古典や儀式・年中行事について、祝詞と「新撰姓氏録」を記紀以上に重んじる。独創的な学識が見られ ...
19. こだい‐もじ【古代文字】
日本国語大辞典
阿比留文字(あひるもじ)などの存在が説かれるが、かな、漢字に先立つ確実な遺物はない。こだいもんじ。→神代文字(じんだいもじ)。(2)菓子の名。北海道小樽市の名物 ...
20. 書
日本大百科全書
小松茂美日本書道史中国書道の影響日本における文字の使用は漢字の伝来に始まる。かつてはそれに先行する「神代文字」の存在が主張されたこともあったが、今日では否定され ...
21. しりうごと(近世随想集) 420ページ
日本古典文学全集
ころしてじっとしていること。国学書。平田篤胤著。四巻。文化八年(一八一一)成り、十八年刊。古伝説・神代文字・古史・新撰姓氏録などについて述べる。『古史徴開題記』 ...
22. しりうごと(近世随想集) 471ページ
日本古典文学全集
用ひらるると、単鉤を是なりと論ぜらるるとに、矛盾するといふべし。それを足下の相口なる平田篤胤が、神代文字の事から引きつけて、此国の人もとより優美に単鉤になし来り ...
23. しん‐じ【神字】
日本国語大辞典
〔名〕「じんだいもじ(神代文字)」に同じ。*志都の岩屋講本〔1811〕上「本より神字もて書きたるも有れど、漢字もて記せるが多く彼れ此れと和漢紛らはしく人々次第に ...
24. しんじひふみでん【神字日文伝】
日本国語大辞典
(「かむなひふみのつたへ」の通称)江戸後期の語学書。三巻。平田篤胤著。文政二年(一八一九)成立。神代文字について、その上代における存在、各文字の体などについて論 ...
25. じんだい‐じ【神代字】
日本国語大辞典
〔名〕「じんだいもじ(神代文字)」に同じ。*文芸類纂〔1878〕〈榊原芳野編〉一「以上の諸体今世伝へて神代字といふ」 ...
26. 菅江真澄遊覧記 5 301ページ
東洋文庫
目次は「寛政遷宮記序、平鹿郡のくだり、森明庵の記、諸人和歌、東遊雑記、諸卿御詠歌、えみし歌合、神代文字、おちくぼ物語、なひのかた、ひらぶ貝の考、伊勢二宮さき竹、 ...
27. 蔵書印 9[別刷図版]
国史大辞典
「堤文庫」 188 色川三中 「色川弎中蔵書」 189 大国隆正 「かむならふ」(神代文字) 190 長田鶴夫 「豊栄日軒」 191 小田清雄 「小田」 192 ...
28. 増訂 武江年表 2 115ページ
東洋文庫
しを、今年再興の企ありて本堂を建て、釈迦如来毘沙門天を安んず。○川口善光寺本堂普請成就。○「神代文字考」一巻梓成る(鶴崎戊申編輯)。○累歳風雨時に順ひ、百穀豊饒 ...
29. だい‐きょうせい[‥ケウセイ]【大教正】
日本国語大辞典
大教生にもなるお前が」*普請中〔1910〕〈森鴎外〉「聯のやうな物の掛けてあるのを見れば、某大教正の書いた神代文字といふものである」ダイキョーセ ...
30. 東遊雑記 奥羽・松前巡見私記 207ページ
東洋文庫
三巻、建春山人橘轍著。聖武天皇即位より、醍醐天皇の延喜年間までの歴史を記述したもの。蚯蚓文字 神代文字と称するものの一種にみみず書きのような文字がある。顕照法師 ...
31. どうぶんつうこう[ドウブンツウカウ]【同文通考】
日本国語大辞典
四巻四冊。新井白石著。新井白蛾補。正徳年間(一七一一〜一六)成立。宝暦一〇年(一七六〇)刊。漢字・神代文字・仮名・国字など和漢の各種の文字の起源・沿革などについ ...
32. にしはやしむら【西林村】徳島県:阿波郡/阿波町
日本歴史地名大系
ていた(林町誌)。寛政四年(一七九二)岩津の神官家に生れた岩雲花香は、国学者平田篤胤に師事、神代文字存在説を信奉して杉尾大明神の石段の下に石碑を建立した。また歌 ...
33. 日本雑事詩 100ページ
東洋文庫
神代にはもともと文字があって、推古朝になってもまだト部家に蔵せられていたという。近世になって平田篤胤は神代文字の説を主張した。その根拠とする鎌倉八幡寺や大和の三 ...
34. にほんのもじのえんかく【日本の文字の沿革】 : 文字
国史大辞典
窟の刻跡なども文字と確認されていない(別項「手宮洞穴遺跡」)。神代文字と称するものは、中世以来存在説があり、近世には多種の神代文字が示されたが、いずれも後代の臆 ...
35. ハングル
国史大辞典
朝鮮民主主義人民共和国ではつとに漢字の使用を罷め、大韓民国でもやがてハングル専用を目ざしている。→神代文字(じんだいもじ),→朝鮮語(ちょうせんご),→竜飛御天 ...
36. ひのみさき【日御碕】島根県:簸川郡/大社町
日本歴史地名大系
民業は漁業八八・農業三二・雑業一四。経島は標高約二〇メートルの島で、風土記の御厳島に比定される。島の洞窟に神代文字が刻まれるとの伝承から文島ともいう。日本海西部 ...
37. ひらた‐あつたね【平田篤胤】
日本国語大辞典
号は大角(大壑)・気吹舎(伊吹迺舎)。秋田藩士大和田祚胤の子。本居宣長の没後の門人となり、国学を学び神代文字の存在を唱え、尊皇復古を主張する神道説を説く。その思 ...
38. ほ‐つ‐ま【秀真】
日本国語大辞典
〔名〕表音文字の一種。神代文字の一つとして、日本で、漢字渡来以前に行なわれたと称するが証拠はない。*文芸類纂〔1878〕〈榊原芳野編〉一「彼の日文及天名地鎮秀真 ...
39. 前野蘭化 2 解体新書の研究 261ページ
東洋文庫
その五十音図を一見せんと希望したことは、如何にも尤もである。此の結末は今判ってはいないが、上古文字が若し神代文字の謂とすれば、その偽作なることは論を俟たない。従 ...
40. もんじ【文字】
国史大辞典
窟の刻跡なども文字と確認されていない(別項「手宮洞穴遺跡」)。神代文字と称するものは、中世以来存在説があり、近世には多種の神代文字が示されたが、いずれも後代の臆 ...
41. 和漢三才図会 4 87ページ
東洋文庫
女蚕績織家饒栄理宜照法守進悪攻撰欲我刷とあった。大己貴尊と天八意命(思兼命)とはこの言葉から神代文字をつくることに意見が合致した。 ...
42. 和漢三才図会 4 88ページ
東洋文庫
そしてこの四十七字を通連して万言の句を作った。ここには神字を秦字(漢字)で書きあ らわした」と。△思うに神代文字を伝えられて識っているという人はいない。思うに垂 ...
「神代文字」の情報だけではなく、「神代文字」に関するさまざまな情報も同時に調べることができるため、幅広い視点から知ることができます。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶

神代文字と同じ神代文字カテゴリの記事
神代文字(改訂新版・世界大百科事典)
漢字の渡来および〈かな〉の成立に先だって,上古の日本にかつて行われたと称せられる文字。〈神字〉と書いて,〈かんな〉とも呼ぶ。そのような固有の文字が存在したとする説は,おそくとも室町時代から神道家の間にひろまっており,江戸時代においては,平田篤胤をはじめ国学者のうちに
神代文字と同じカテゴリの記事をもっと見る


「神代文字」は言語に関連のある記事です。
その他の言語に関連する記事
すさまじ(全文全訳古語辞典)
〔形容詞シク活用〕《動詞「すさむ」の形容詞化。「すさまし」とも》時期や周囲の状況と不調和になって、興味や面白みがなくなる感じを表す。現代語の「すさまじい」は、勢いの激しいようすや程度のひどすぎる意(❹)に用いられる。❶不調和でおもしろくない。興ざめで
こよなし(全文全訳古語辞典・日本国語大辞典)
〔形容詞ク活用〕❶他とくらべて相違がはなはだしい。格段の差がある。例「まみのほど、髪の美しげにそがれたる末も、なかなか長きよりもこよなう今めかしきものかな、とあはれに見給ふ」〈源氏・若紫〉訳(尼君の)目もとの辺りや、髪が美しい感じに切りそろえられて
かしこし(全文全訳古語辞典)
〔形容詞ク活用〕[類義語]いみじ・ゆゆし本来は、霊力や威力のあるものに対する、恐れ多い、という気持ちを表す。その後、恐れ多い対象の性質や能力を表す例が増えて、すぐれている、の意を生じた。また、連用形「かしこく」の形で、はなはだしく、と程度を表す用法も
いまめかし(全文全訳古語辞典)
〔形容詞シク活用〕《動詞「今めく」を形容詞化した語》対義語は「ふる(古)めかし」。現代風(=当世風)である、の意。明るく華やかな感じや新鮮な感じを良いと評価する場合(❶)が多いが、時には、それを軽薄だ、と否定する場合(❷)もある。❶当世風で華やかで
あらまほし(全文全訳古語辞典・日本国語大辞典)
動詞「あり」の未然形「あら」に願望の助動詞「まほし」が付いた語。連語「あら・まほし」は望ましい、あってほしい、の意。形容詞は理想的である、好ましいの意となるが、この二語の区別は文脈上判断する必要がある。一[連語]あることが望ましい。あってほしい
言語に関連する記事をもっと見る


ジャパンナレッジは約1700冊以上(総額750万円)の膨大な辞書・事典などが使い放題の「日本最大級のインターネット辞書・事典・叢書サイト」です。日本国内のみならず、海外の有名大学から図書館まで、多くの機関で利用されています。
ジャパンナレッジの利用料金や収録辞事典について詳しく見る▶