(かぐらうた)
作者未詳
古くから平安宮廷や民間でうたわれていた日本独特の神事歌謡
平安宮廷の「神楽歌」を集めて載せる。神楽歌は、日本独特の歌舞芸能で、神楽の際にうたわれる神歌や民謡のこと。その種類は、庭火(にわび)・採物(とりもの)・大前張(おおさいばり)・小前張(こさいばり)・明星(あかぼし)などがある。収録する神楽歌は、採物の榊(さかき)、幣(みてぐら)、杖(つえ)、大前張の宮人(みやびと)、難波潟(なにわがた)など。
[平安時代][歌謡]
《校注・訳者/注解》 臼田甚五郎
(さいばら)
作者未詳
民謡や流行歌を雅楽のメロディでうたう宮廷歌謡
上代の民謡の歌詞や、地方民謡、流行歌謡の歌詞を、雅楽(唐楽)の曲調に当てはめたもの。10~11世紀にかけて全盛。笏拍子(しゃくびょうし)を打って歌い、笛などを伴奏に用いた。古譜のかたちで今に伝わる。収録する催馬楽は、「律歌(りつのうた)」の東屋(あずまや)、我門(わがかどに)、伊勢海(いせのうみ)、「呂歌(りょのうた)」の梅枝(うめがえ)、総角(あげまき)など。
[平安時代初期][歌謡]
《校注・訳者/注解》 臼田甚五郎
(りょうじんひしょう)
後白河法皇編
後白河院が自ら編纂した当時のヒット曲の歌詞集
「今様(いまよう)」などの雑芸の歌謡集で、後白河法皇が編纂した。今様とは、平安時代後期から広い階層に愛唱された歌のことで、「今様歌」の名は『紫式部日記』や『枕草子』などにもみえる。遊女(あそびめ)、遊芸人、傀儡(くぐつ)、巫女(みこ)などがうたって広めた。全20巻のうち、巻一(巻頭の断簡)、巻二(全体)、口伝集巻一(巻頭の断簡)、口伝集巻十(全体)が現存する。
[平安時代(12世紀後半成立)][歌謡]
《校注・訳者/注解》 新間進一 外村南都子
(かんぎんしゅう)
作者未詳
小歌や猿楽など鎌倉・室町の恋の歌を集めた歌謡集
鎌倉、室町時代の代表的な小歌(こうた)226首と、猿楽の謡(大和節)、田楽(でんがく)節、放下(ほうか)歌、早歌(そうが)、狂言小歌など合わせて311首を収める。内容は、恋の歌が大半を占める。狂言歌謡に着目し、日本最古の狂言歌謡集という見方もある。仮名序に〈ここに一人の桑門(よすてびと)あり、富士の遠望をたよりに庵をむすびて、十余歳の雪を窓に積む〉とあるが、編者未詳。
[室町時代(1518年成立)][歌謡]
《校注・訳者/注解》 徳江元正