申告納税制度をとる租税(所得税、法人税など)において、課税標準および税額を確定するために納税義務者が行う申告。所得税や法人税のような、ある一定期間にわたって発生する課税標準に対する課税の場合には、納税義務はその期間の経過によって成立することになるが、具体的な納税義務は確定申告によって確定する。所得税の場合は、1月1日から12月31日までに得た総合所得を、次の年の2月16日から3月15日までに申告書に記入して税務署に提出する。源泉徴収や予定納税によってすでに納付している税額は、この確定申告によって清算される。すなわち確定税額より既納税額が少なければ足りない分を納付し、既納税額が多ければその分の還付を受けるわけである。法人税の場合には、事業年度終了の日から2か月以内に、確定した決算に基づき課税標準である所得金額または欠損金額、法人税の額などを記載した確定申告書を税務署に提出し、税額を納付する。なお、事業年度が6か月を超える法人は、6か月を経過した日から2か月以内に中間申告をしなければならない。
インターネットを使ってオンラインで所得税や法人税などを申告・納税する国税電子申告・納税システム(通称e-Tax)が2004年(平成16)から稼働している。運用は国税庁。e-Taxには、マイナンバー(個人番号)カード方式とID・パスワード方式の2種類がある。マイナンバーカード方式はマイナンバーを利用し、パソコンやスマートフォンから24時間、税務署に出向くことなく申告できる。申告者本人だけでなく扶養家族などのマイナンバーが必要だが、マイナンバーの専用サイト「マイナポータル」と連携させれば、医療費、生命保険料、地震保険料、社会保険料、公的年金等雑所得、住宅ローン、ふるさと納税(寄附金控除)、株式・投資信託(特定口座のみ)所得などの申告や控除に必要な電子データを一括取得し、申告書に自動入力して送信できる。書類での申告と異なり、控除証明書などを保管する必要もない。通常1か月かかる還付も3週間程度で処理される。ID・パスワード方式は、マイナンバーカードの普及が進まない時期に暫定方式として誕生したもので、税務署に一度出向き、本人確認書類を提示して利用者識別番号(ID)と暗証番号(パスワード)を受け取る必要がある。e-Tax利用率は2021年度で、所得税申告が59.2%、法人税申告が87.9%、相続税申告は23.4%。