労働者が失業した場合などの失業等給付および育児休業給付を支給するともに、雇用保険二事業(雇用安定事業、能力開発事業)を行う保険制度。雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づく。従来の失業保険にかわって1975年(昭和50)に発足した。
失業等給付には、失業者への求職者給付のほか、就職促進給付、教育訓練給付、雇用継続給付(高年齢雇用継続給付、介護休業給付)がある。また前記二事業のうち、雇用安定事業には、雇用調整助成金、労働移動や地域雇用開発を支援する助成金等があり、能力開発事業には、職業能力開発施設の設置運営、事業主による能力開発に対する助成金等がある。
雇用保険は、原則としてすべての事業を適用対象としているが、農林水産業の5人未満の個人事業は暫定的に任意適用で、公務員は適用除外になっている。適用事業に雇用される労働者は当然に雇用保険の被保険者になる。なお、従来は適用除外とされていた65歳以降に雇用された者についても、2017年(平成29)1月から、雇用保険が適用されている。
雇用保険の費用は、事業主と被保険者が負担する保険料と国庫負担によりまかなわれる。失業等給付・育児休業給付の保険料率は賃金総額のそれぞれ0.8%・0.4%(2023年度)で、事業主と被保険者が折半して負担する。二事業の保険料率は0.35%(2023年度)で、全額を事業主が負担する。なお、農林水産業、清酒製造業および建設業については、季節的に雇用される者が多く失業の発生率が高いため、やや高い保険料率になっている。失業等給付に対する国庫負担の割合は、給付の種類により異なるが、基本手当の場合は、雇用情勢および雇用保険の財政状況が悪化している場合は4分の1、それ以外は40分の1とされている。なお、上記の国庫負担とは別枠で、一定の条件のもとで、機動的に一般会計から繰り入れることができる。