日本大百科全書(ニッポニカ)

沖ノ島祭祀遺跡
おきのしまさいしいせき

福岡県宗像(むなかた)市に所属する沖ノ島(沖島)にある遺跡。沖ノ島は、九州北部の沿岸地域から60キロメートル沖合いにある周囲約4キロメートルの無人島で、宗像大社沖津宮(おきつみや)を祀(まつ)っている。縄文・弥生(やよい)の生活遺跡と、古墳時代、奈良~平安時代の祭祀遺跡があり、とくに祭祀遺跡は、島の中腹部にある沖津宮社殿の背後の巨岩群の岩上や岩陰にあり、原始宗教と律令(りつりょう)祭祀の両形態の祭祀がうかがわれ、日本の神道考古学の代表的な遺跡である。の4段階の祭祀形態があり、岩上祭祀、岩陰祭祀、岩陰・露天祭祀、露天祭祀という変遷をたどる。奉献遺物も初期の祭祀では鏡、勾玉(まがたま)、鉄製武器など古墳遺物と同じものを奉献しているが、奈良時代の祭祀では金銅製のミニチュアの容器や紡織具など律令的な奉献品が主体となる。この沖ノ島の祭祀遺物で特徴的なものは朝鮮製の金銅製馬具類や、中国製の唐三彩、ササン朝ペルシアの切子(きりこ)ガラス碗(わん)など舶載遺物があることで、国家的な祭祀が行われたと考えられている。出土品は約10万点余あり、すべて国宝に指定され、宗像大社神宝館(宗像市)に展示され、国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市)でも遺跡・遺物の一部がレプリカ(複製品)展示されている。
[弓場紀知]
 2017年(平成29)には、沖ノ島全体が「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」の構成資産の一つとして、ユネスコ(国連教育科学文化機関)の世界遺産の文化遺産(世界文化遺産)に登録されている。
[編集部]