硬骨魚綱ワニトカゲギス目ホテイエソ科に属する海水魚。北海道釧路(くしろ)沖から南日本の太平洋、小笠原(おがさわら)諸島海域、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、九州・パラオ海嶺(かいれい)、台湾南部などの太平洋、インド洋、大西洋の温帯から熱帯海域に分布する。体は細長く、側扁(そくへん)する。体高は体長の約12~14%。頭は小さくて、頭長は体長の約14~15%。吻(ふん)は短くて前端は丸い。眼径は吻長よりも長い。口は大きく、やや斜め上方を向く。上顎(じょうがく)の後端は目の後縁をはるかに越えて、鰓蓋(さいがい)の下端近くに達する。上顎の長さは頭長の約90%。下顎と上顎の先端は同じ垂線上にあり、下顎は湾曲しない。上下両顎に鋭い牙(きば)状の歯があり、上顎の第3歯以外の歯はすべて倒すことができる。下顎の第1歯は短く、上顎を突き刺さない。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)に1対(つい)と、口蓋骨の各側に5本の歯がある。下顎の前部腹面に頭長よりも長いひげがあり、ひげの長さは体長の30~44%。ひげの先端の5分の2は肥大し、その先にある小さい球状体には1本の付属糸がある。目の後縁下方におよそ眼径大の三角形の眼後発光器がある。体には鱗(うろこ)がなく、皮膚がはがれやすい。体の側面にきわめて小さい連続する発光器がある。腹びれより前にある腹側前発光器は36~40個、腹びれ起部から臀(しり)びれ起部にある腹部腹側発光器は12~15個、臀びれ起部から尾びれ基底(付け根の部分)にある尾部発光器は9~11個、腹側の発光器の上方に並ぶ体側発光器は39~41個。背びれと臀びれは体の後端に位置し、背びれは臀びれよりもすこし後方から始まり、すこし前方で終わる。背びれは14~16軟条、臀びれは18~20軟条。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)はない。胸びれは5~6軟条で、鰓孔の下方の腹縁に位置し、遊離した軟条はない。腹びれは7軟条で、体側の腹面にある。頭と体は一様に黒色で、ひげは白色。眼後発光器は白色。ひげの基部は黒色で、それ以外は白色。水深約300~1000メートルの中深層~漸深層にすむ。最大体長は約28センチメートル。
本種が属するカンテントカゲギス属は胸びれが5~6軟条で遊離軟条がないこと、腹びれが体側の腹面にあること、ひげの基部に付属糸がないこと、下顎が湾曲しないことなどで、ホテイエソ科の他属魚類と異なる。本属には日本から本種を含めて7種が知られている。本種はひげが基部を除いて白色であることで他種と容易に区別できる。なお、ホテイエソ科をワニトカゲギス科のなかのホテイエソ亜科とする研究者もいる。