硬骨魚綱ワニトカゲギス目ホテイエソ科に属する海水魚。駿河(するが)湾、熊野灘(くまのなだ)、土佐湾、沖縄舟状海盆(しゅうじょうかいぼん)(トラフ)、東シナ海、南シナ海など西太平洋に分布する。体は細長く、後半部でより側扁(そくへん)する。体長は体高の約9.7~12.5倍。頭は小さくて、体長は頭長の約8.4~9.9倍。吻(ふん)の前端は丸い。眼径は吻長よりも短い。口はそれほど大きくなく、斜め上方を向く。上顎(じょうがく)の長さは頭長の約80~99%。上顎の後端は目の後縁をはるかに越えて、鰓蓋(さいがい)の下端近くに達する。下顎と上顎の先端はほとんど同じ垂線上にあり、下顎は湾曲しない。上顎には6本の強い歯があり、第2歯が最長で、第2歯と第4歯は倒すことができる。下顎にも4本の強い歯があり、第2歯が最長で、第1歯は倒すことができる。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)に1対(つい)と、口蓋骨の各側に1本の倒せる歯がある。下顎の前部腹面に頭長よりも長いひげがあり、ひげの長さは体長の4分の1~5分の1。ひげの基部には2本の付属糸があり、ひげの先端部には長楕円(ちょうだえん)形の球状体をもつ。球状体の長さはひげの長さの25%以上で、球状体には基部の前に2本、後半部に3本の付属糸がある。目の後縁下方に小さい三角形の眼後発光器がある。体には鱗(うろこ)がなく、皮膚がはがれやすい。体の側面にきわめて小さい一連の発光器がある。腹びれより前にある腹側前発光器は50~51個、腹びれ起部から臀(しり)びれ起部にある腹部腹側発光器は19~20個、臀びれ起部から尾びれ基底(付け根の部分)にある尾部発光器は13~14個、腹側の発光器の上方に並ぶ体側発光器は58~61個。背びれと臀びれは体の後端に位置し、両ひれはほとんど同じ垂線上から始まる。背びれは19~21軟条、臀びれは24~26軟条。脂(あぶら)びれ(背びれの後方にある1個の肉質の小さいひれ)はない。胸びれは10軟条で小さく、鰓孔の下方の腹縁に位置し、遊離した軟条はない。腹びれは7軟条で、体の後ろ3分の1付近の体側の腹面にある。頭と体は一様に紫黒色。ひげは黒色で、球状体は黄白色、眼後発光器は白色。水深約500~800メートルの中深層にすむ。最大体長は約35センチメートル。
本種が属するヤリホシエソ属は胸びれが10軟条で、遊離した軟条がないこと、腹びれが体の腹面にあること、ひげの基部に付属糸があること、下顎が湾曲しないことなどで、ホテイエソ科の他属魚類と異なる。本属には日本から本種以外にヤリホシエソL. multifilisが知られている。ヤリホシエソは球状体に多数のひげがあること、球状体の長さがひげの長さの10%以下であることなどで本種と区別できる。なお、ホテイエソ科をワニトカゲギス科のなかのホテイエソ亜科とする研究者もいる。