硬骨魚綱ワニトカゲギス目ホテイエソ科に属する海水魚。東北地方以南の太平洋沖の黒潮海域、小笠原(おがさわら)諸島海域、沖ノ鳥島海域、九州・パラオ海嶺(かいれい)など太平洋、インド洋、大西洋の温帯から熱帯の海域に広く分布する。体は細長くて側扁(そくへん)する。体長は体高の約8倍。頭は小さくて、体長は頭長の約6.7倍。吻(ふん)は短く、吻端は鈍くて丸い。目は小さく、頭の前端近くに位置し、眼径は吻長におよそ等しい。口は大きく、斜め上方を向く。上顎(じょうがく)の後端は目の後縁をはるかに越えて、鰓蓋(さいがい)の下端近くに達する。上下両顎の長さは頭長の約90%。下顎は大きくは湾曲しない。前上顎骨には湾曲して返し(逆向きに曲がった突起)のついた牙(きば)状の歯が9~11本あり、第4歯が最長。主上顎骨には3~10本の歯と後方に小さい歯がある。下顎の前部に6~15本の中形~大形の牙状歯あり、第3歯~第8歯は最大。その後部に5~20本の小さい歯があり、数列に並ぶ。鋤骨(じょこつ)(頭蓋床の最前端にある骨)の各側に1~2本と、口蓋骨の各側に5~15本の歯がある。下顎の腹面に頭長より短いひげがあり、若魚では先端部にひょうたん形の球状体をもつ。球状体の先端からはさまざまな形の付属糸が出る。成長に伴って球状体は退化し、ひげの先端部から長短の肉質突起が出るようになる。大きい個体では球状体はほとんど消失し、ひげの先端は平たくなり、短い突起になる。目の後縁下方に比較的大きい三角形の眼後発光器があり、小さい個体ほどその発光器も小さいが、大きい個体ではその長さが眼径の2倍以上になるものもいる。体の側面に一連の発光器があるが、きわめて小さい。腹びれより前にある腹側前発光器は36~37個、腹びれ起部から臀(しり)びれ起部にある腹部腹側発光器は17~18個、臀びれ起部から尾びれ基底(付け根の部分)にある尾部発光器は12~13個、腹側の発光器の上方に並ぶ体側発光器は44~45個。そのほかにも微小な発光器がある。背びれと臀びれは体の後端に位置し、両ひれはほとんど同じ垂線上から始まる。臀びれ基底後端は背びれ基底後端よりもすこし後方にある。胸びれの最上軟条はほかの軟条から遊離し、糸状に長く伸長する。腹びれは体の中央部よりもかなり後方に位置する。体は一様に黒色。体側の発光器は紫色から深紅色で、バラ色から深紅色の光を発する。眼光発光器は生時の観察では前半部は桃色、後半部は白色で、ときどき桃色の輝く光を、ときには鮮やかな緑白色の光を発する。それぞれは独立して制御できると考えられている。ひげの基部は黒色、球状体は灰褐色、桃色、緑色で、付属糸は桃色から紫色。水深約30~4200メートルの深海にすむ。最大体長は約37センチメートル。
本種は胸びれに伸長した遊離軟条があることでミツイホシエソOpostomias mitsuiiに似るが、ミツイホシエソは伸長した胸びれの先端に白色の発光器があり、下顎の前の歯が著しく伸長し、先端部がかみあうときに上顎の穴に収まることで本種と区別できる。なお、ホテイエソ科をワニトカゲギス科のなかのホテイエソ亜科とする研究者もいる。