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長崎県佐世保(させぼ)市吉井町福井にある洞窟で、旧石器時代から縄文時代にかけての15層からなる重層遺跡。洞窟の間口は16.4メートル、奥行は5.5メートル、庇高(ひさしだか)は4メートル。洞窟内には稲荷(いなり)の社殿があり、昭和の初めに社殿改修工事が行われ、初めて縄文土器や人骨が発見された。その後、1960年(昭和35)から初期の学術調査が、2012年(平成24)から再発掘調査が行われ、旧石器時代から縄文時代にかけての文化層(遺物や遺構を多く含む地層のこと)が8つ重複して残されている事実が判明した。第2層および第3層からは土器と細石刃(さいせきじん)が伴出し、第4層から第15層までには土器がまったく含まれていない。こうした地層ごとの調査により、約1万9000年前の細石刃の初現から終末にいたる変遷と土器出現の過程が明らかとなり、自然科学分析による年代測定の結果、土器の出現年代が約1万6000年前であることが確実となった。また、炉や石器製作の跡から、河川や地滑りなどによって洞窟地形がつくられた過程で、人々が洞窟を利用した生活を行っていたこともわかった。
福井洞窟は、1978年に国史跡に指定され、その後2024年(令和6)には「日本列島における後期旧石器時代から縄文時代への移行を連続的に示す洞窟遺跡」として、旧石器時代初の特別史跡にも指定された。