外国人旅行者などの非居住者等に対し、商品購入時にかかる税金を免除する小売店。日本には消費税のみを免除する「消費税免税店」(tax-free shop)と、消費税に加え関税、酒税、たばこ税も免除する「空港型免税店」(保税免税店、duty-free shop)の2種類がある。免税店を出店する事業者は、店舗ごとに納税地を所轄する税務署の許可を得る必要がある。店舗が外国人旅行者の多い繁華街にあり、外国人に対応できる店員や売場を備えているなどが許可の要件となる。
消費税免税店とは、消費税法第8条に定める「輸出物品販売場」である。購入時にパスポートや航空券などを示し、購入品をかならず30日以内に国外へ持ち出す誓約書を提出して購入する。免税対象は衣料品、靴、鞄(かばん)、時計などの一般物品だけでなく、2014年(平成26)10月からは食料品、アルコール類、化粧品、医薬品などの消耗品にも拡大された。一般物品は同じ店舗で1日の購入額が5000円を超えることが免税の条件である。消耗品は同じ店舗で1日の購入額が5000円を超えて50万円以下であることが条件。免税手続を一か所でできる免税商店街では、複数店での購入分を合算して免税とすることができる。なお消耗品は開封したことがひと目でわかるように包装され、出国前に開封した場合、国内消費したものとみなして課税される。消費税免税店は百貨店、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホテル、土産物店などへの設置が増えており、2012年4月に4173店であった店舗数は2015年10月には2万9047店となっている。
空港型免税店は、関税法第42条などに定める保税蔵置場(保税売店)で、外国から到着した輸入手続の済んでいない物品を出国者に販売する店である。空港の出国手続が済んだ後のエリアにあるほか、繁華街にも開業できる。特定免税店制度の適用を受ける沖縄を除けば、2016年1月に空港外で初めて東京・銀座の三越(みつこし)店内に開業した。空港型免税店では、商品は空港に配送され、出国手続後に受け取る仕組みになる。
[矢野 武]