日本大百科全書(ニッポニカ)

虚像
きょぞう

実際には光線がその位置に集まっていないのに、その位置に物体(の像)があるように見える像のこと。光線が像のところで実際に交わっている実像に対することば。一般に物体が見えるのは、その物体から出た光線が目に入って網膜上に物体の像を生ずるからである。ところが実際には物体が存在しなくても、物体が存在しているときと同じ状態の光線が目に入ると、その存在しない物体が見える。しかしこれを幻覚または錯覚のように考えるのは正しくない。実際の物体から出た光線と、虚像から出た光線とを区別する方法は原理的には存在しないからである。日常われわれが鏡で見る自分の顔や、バックミラーに映る後続の自動車などは、虚像の例である。
[三宅和夫]