(チュウセイフランスブンガク)
V=L.ソーニエ 著/神沢栄三、高田 勇 訳
ゴール=ローマ時代のラテン語文学から説きおこし、聖者伝、武勲詩、騎士道物語が開花する様子、ルネサンス前夜まで、中世文学の全貌を描き出した決定版。文学と当時の政治・社会・文化状況を照応させ、その有機的な関係を示す時代区分を採用し、従来の論争にも見解を加えて解説した。索引・参考文献収録。
(イミロン)
ピエール・ギロー 著/佐藤信夫 訳
日常会話ではさほど不自由を感じなくても、討論などで議論を進めたい場合ことばの意味というものがどんなに扱いにくいか、また憲法のなかの一つの文章の意味が国民的な重大問題に左右しかねないという事実を考えるとき、「意味」というものは重要である。本書は、この「意味」を解明するものである。
(ジュウロクセイキフランスブンガク)
V=L.ソーニエ 著/二宮 敬、荒木昭太郎、山崎庸一郎 訳
16世紀の〈ルネサンス文学〉は、印刷術の発達にともなって活発になり、形式や趣向が急速に展開し、相次ぐ新世代を生み出した。ラブレー、ロンサール、モンテーニュらの生涯と作品を分析しながら、その精神の歩みをたどり、宗教戦争による衰退までを明快に整理した格好の入門書。人名索引・参考文献収録。
(フランスカクメイノブンガク)
ベアトリス・ディディエ 著/小西嘉幸 訳
革命期10年の文学は18世紀文学の決算であり、近代文学の幕開けを告げるものとして一時代を画す。反革命、亡命文学をも含むまさしく「革命の」文学を扱った本書は、これまでの文学史の重大な欠落を埋めるだけでなく、個人的天才と傑作に偏した近代文学史観に修正を迫る、新しい文学研究の成果でもある。
(ロマン・ノワール フランスノハードボイルド)
ジャン=ポール・シュヴェイアウゼール 著/平岡 敦 訳
ロマン・ノワールは、フランス・ミステリーの影響を受け継ぎながら、直接的には英米のハードボイルドの影響のもとに誕生した。著者は、その尽きせぬ魅力について、まさにロマン・ノワール的なスタイルで語り、読者をこの世界へ引き込んでゆく。巻末の作家紹介と読書案内は、格好のブックガイド。
(モンテーニュトエセー)
ロベール・オーロット 著/荒木昭太郎 訳
「わたしは何を知っているのか」というモンテーニュ座右の句を、宗教思想、哲学思想の流れのなかで捉え、『エセー』の成立していくさまを具体的かつ綿密に追いながら、題材と表現がどのように変質していったかを説く。モンテーニュ研究の先端をいく著者が、動き働きつつ考えるモンテーニュを活写する。
(ボードレール シノゲンダイセイ)
ドミニック・ランセ 著/鈴木啓司 訳
ボードレールによって命名された「現代性」という概念は、単に詩の領域だけでなく、現代そのものの本質と深くかかわっている。その現代性が詩人のなかで形成され、実践されていく過程を、評論、韻文詩、散文詩の三分野を通じて精密に跡づける。創作のダイナミズムをも視野に入れて論じた刺激的な一冊。
(ゲンソウブンガク)
J=L.スタインメッツ 著/中島さおり 訳
ときに病的でありときに華麗な、さまざまな精神の発露としての表現。想像力に扉を開き、生の「夜の側」へと関心を向けた幻想文学。本書は、ホフマン、ノディエ、ポーを経て、ウィリアム・バロウズやスティーヴン・キングへとつらなる古今東西の作家の系譜を伝統的文学史との比較で捉え直した好著である。
(ブンタイノカガク)
ジョルジュ・モリニエ 著/大浜 博 訳
アリストテレスの修辞学、ヤコブソンの詩的機能、バルトの記号論など、言語と文学の諸科学が交わるところで文体論が究まる。本書は文体研究のさまざまな方法を歴史的に検証し、その実践を可能にするコンパクトな実用概説書である。プロフェッショナルの使用にも対応。索引付き。
(インドノブンガク)
ルイ・ルヌー 著/我妻和男、渡辺重朗 訳
インドは文学的な秘教が結晶する架空の場所であり、いわばアリバイである。古くから、西欧の多くの文学者・哲学者がインドの文学から啓示を得ている。本書は、西欧に霊性を与えつづけてきたインドの文学の起源と来歴を、多言語国家という文化的基盤を踏まえながら概説している。巻末に年表、索引を付した。