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国史大辞典

弥生時代
やよいじだい
弥生時代は、一般的には、狩猟採集社会である縄文時代に次ぐ時代、つまり水稲農耕が始まり、金属器をもつようになってから、古墳を標識とする古墳時代に入るまでの間とされている。弥生時代は、前期・中期・後期、または第I~V期に区分されている。かつてこの前期・中期・後期という区分について、水稲農耕は、前期に北部九州から伊勢湾東岸まで、中期に東北地方南部まで、後期に至って東北地方北部に達したといわれてきたが、この考えは次のような多くの新資料の検出から変更されつつある。まず昭和五十三年(一九七八)に、福岡市博多区板付遺跡で、弥生時代前期初頭の板付I式土器の時期のさらに下から、縄文時代晩期の突帯文の施された夜臼式土器を伴う水田跡が検出され、さらに同五十五年佐賀県唐津市菜畑遺跡で、夜臼式よりもさらに古い縄文時代晩期後半の山ノ寺式の土器を伴う水田跡が検出された。またさらに丘庫県伊丹市口酒井遺跡で、縄文時代晩期にこの地でも水稲農耕が始まっていたことが明らかになった。このようになると、弥生時代の要件である水稲農耕は、すでに縄文時代晩期に始まっていたことになる。そこでこの時期を縄文時代からはずして弥生時代の第I期に含めるか、それとも弥生時代の第I期に先行する先I期または早期とするかという考えと、縄文土器を伴っている以上、やはりこの時期は縄文時代として、その段階で水稲農耕が始まっていたとする考えの二通りがある。また各時期の水稲農耕の地域的進展の状況については、同五十六年青森県南津軽郡田舎館村の垂柳遺跡で弥生時代中期中葉の水田跡が検出され、同六十二年には、青森県弘前市砂沢遺跡で前期の水田跡が検出された。また前期土器として西日本に分布していた遠賀川式系統の土器が、青森県八戸市是川中居遺跡、三戸郡南郷村松石橋遺跡で確認され、稲作文化はすでに弥生前期に東北地方にも及んでいたことが明らかにされた。このような状況で、弥生文化の各地域への波及の時代についての見解も現在きわめて流動的である。なお弥生時代の始まりは紀元前三世紀、終末は紀元後三世紀から四世紀にかけてのころとされている。弥生時代は、水稲農耕の発達によって社会の階層が分化し、小さな多くの政治的単位が出現し、やがてそれらが統一へと向かう胎動期ともいうべき時代であるが、その社会状況は中国の『魏志』倭人伝、『後漢書』倭伝からある程度読みとることができる。それによれば、邪馬台国に服属する対馬国(対馬)・一大国(壱岐)・末盧国(松浦)などをはじめとする多くの国があったとされているが、これは弥生時代後期の状況である。また弥生時代は金属器時代であるが、中国がすでに青銅器時代から鉄器時代に入ってから日本に金属器が波及してきたため、日本は青銅器時代から鉄器時代へという過程は踏んでいない。石器は弥生時代の中で消えていくが、鉄器にとって代わられたものと考えられている。かつて弥生時代を金石併用時代と呼んだこともあるが、この用語は現在使われていない。なお北海道には、金属器は伝わったが稲作農耕は伝わらなかったため、縄文文化が続いた。これを続縄文時代という。沖縄には独自の時代区分があり、縄文時代・弥生時代は沖縄の貝塚時代に並行するが、弥生文化は沖縄本島に到達していた。
[参考文献]
甲元真之・山崎純男『弥生時代の知識』(『考古学シリーズ』五)
(上野 佳也)
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