親子で学ぼう!漢字の成り立ち 親子で学ぼう!漢字の成り立ち

第4回 自然に宿る神(2)

雲・云・气

自然界は、さまざまな姿をみせます。古代の人々は、それらを単なる自然の変化とはとらえませんでした。それぞれの変化の中に何らかの意味を求めようとしたのです。例えば、うっそうとした森や風が吹く様子にも何かが暗示されていると考えました。それが「自然に宿る神」です。神は人間の力の及びもつかないものでした。自然は今のように身近な存在ではなく、畏(おそ)れ敬う存在であったのです。その代表的なものが、闇に走る稲妻でした。古代人は、まさしくそこに神を感じたのでした。
『雲』
12画(ウン・くも)小学2年
  • 甲骨文字
  • 篆文
(形声)音符は云(うん)。
説明云(うん)という象形文字が雲の初めの形で、「くも」という意味の字でした。のちに雨(あめかんむり)を加えて雲の字となりました。云は雲の流れる形の下に、雲の中の竜の尾がうちに巻いて現れている形で、雲の中には竜がいると考えられていたようです。
用例「雲海」(海のように広がって見える雲)・「暗雲」(今にも雨が降って来そうな黒い雲。悪いことの起こりそうな気配)。
解説空を流れ漂う雲にも精霊がいると考え、それは竜の形をしたものでした。そこで、「くも」の意味を表わすために、あめかんむりを加えていまの雲という字になりました。云がもとの「くも」の意味の字でしたが、のち「云(い)う、云(ここ)に」などの意味に使われるようになりました。云は雲から竜が尻尾をのぞかせている形で、「旬(しゅん) 」「九(きゅう) 」も竜の形です。
『云』
4画(ウン・いう)
  • 甲骨文字
  • 篆文
(象形)雲の形。
説明雲の流れる形の下に、雲の中の竜の尾がうちに巻いて現れている形です。のちに云が「いう」などの意味に使われるようになったので、雨(あめかんむり)を加えた雲の字が「くも」の意味の字として使われるようになりました。
『气』
4画(キ)
  • 甲骨文字
  • 金文
  • 篆文
(象形)雲が空に流れ、その一方が垂れている形。
説明「乞(きつ)」も同じ形の字で、のちに分かれて「气(き)」は「雲気(雲)」、「乞」は「乞求(<きつきゅう>乞い求める)」の意味に用いられるようになりました。气は気(氣)の最初の形として使います。
解説「气」は空に流れる雲を表します。やがて米を蒸す蒸気、水の蒸発することなどにも使われるようになりました。霧のような状態のものを表し、くも・きり・かすみ・もやなど天然の雲気をいいます。
● 日本文字文化機構文字文化研究所 認定教本より

ここで紹介している日本文字文化機構文字文化研究所編集の教本は、最高峰の漢字辞典『字通』に結実した白川静文字研究の成果をもとに、漢字の成り立ちをわかりやすく解説した学習コラムです。白川静『字通』のオンライン検索サービスは、基本検索ならびに詳細(個別)検索でご利用いただけます。
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