監修のことぱ [CD-ROM版別冊より]

「風俗画報なお余命あり」

監修・編集 槌田満文

近年、そのビジュアルなデータが貴重視されてきている『風俗画報』は、わが国最初のグラフ雑誌であった。帝国憲法発布の明治22年(1889)2月から、第一次世界大戦中の大正5年(1916)3月まで、全部で518冊が刊行されている。
明治大正の世相風俗を、まのあたりに見ることのできる画像資料の宝庫として、近代史・近代文学など多方面の研究者に、今後ますます活用されることはまちがいないであろう。

しかし、当時の雑誌では珍しくないことだったが、『風俗画報』の目次にはページ数が記されていない。そのため、該当ページを探し出すのに、ひどく時間と労力を要する。また、500冊を超える膨大なバックナンバーから、知りたい記事・画像を見つけることは容易ではなく、詳細な索引の必要性を痛感する利用者は少なくなかった。

廃刊から四半世紀を経て、『風俗画報』がまったく忘れ去られていた昭和17年(1942)に、民俗芸能研究で知られた漫画家宮尾しげをによって、初めて『風俗画報索引』がまとめられた。『風俗画報』の編集者山下重民は、当時86歳で病没直前だったが、序文を請われて「想ふに此書ー出検索に便宜なるを以て、必らずや再読活用するものあるに至らむ。余是(ここ)に於て更に以為(おも)へらく風俗画報猶ほ余命ありと。……」と書いている。

この『風俗画報索引』には、増刊『新撰東京名所図会』が省かれていた点、検索項目が多いといえない点などの難があったが、なによりも『風俗画報』そのものが限られた図書館でなければ見られないという状況に問題があった。
しかし、戦後の昭和43年(1968)に復刻版『東京名所図会』が刊行されたのを皮切りとして、48年から『風俗画報』全冊が二社によって復刻された。また、平成4年(1992)には、縮刷復刻版『明治東京名所図会』が出ている。

しかし、今回のCD-ROM化によって、これまで想像もできなかった容易さで『風俗画報』全冊を自由自在に活用することが可能となるであろう。『風俗画報』の画家山本松谷翁を囲む座談会(『美術手帖』昭和31年8月号)の末席に列なって以来、多年『風俗画報』との関わりを持ってきた私は、本CD-ROMの監修にあたって、山下重民の「風俗画報猶ほ余命あり」という言葉に、改めて共感を覚えずにはいられない。

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