(ブラジル)
ピエール・モンベーク 著/山本正三 訳
「毒蛇と熱病とインディオと革命の国」ブラジルは、かつて広大なエル・ドラドであった。だが現代のブラジルをこのようなキャッチフレーズで捉えることはできない。本書は、その自然環境と資源、国土開発、民族構成といった地理学的な側面から、最も可能性に富んだ国ブラジルの姿を浮き彫りにする。
(カールゴセイ)
アンリ・ラペール 著/染田秀藤 訳
神聖ローマ帝国皇帝カール五世の統合した十六世紀ヨーロッパは、あらゆる意味で動揺の激しい時代であった。宗教改革、農民戦争、オスマン・トルコの侵略、新大陸の征服などが相つぐ激動の世界においての皇帝理念と現実との相克、時代と人間とのさまざまな運命を本書はいきいきと描き出している。
(トルコシ)
ロベール・マントラン 著/小山皓一郎 訳
モンゴル高原から中央アジアを経て、現在の小アジアにいたるまでの広大な地域は、トルコ民族の歴史を跡づける舞台であり、セルジュク朝やオスマン帝国などの栄枯盛衰は興味がつきない。何世紀にもわたって東西ユーラシアを結びつけてきたトルコ民族の軌跡をたどることは、真の世界史を知るうえで欠かせない。
(チュウセイヨーロッパノセイカツ)
ジュヌヴィエーヴ・ドークール 著/大島 誠 訳
おもに13~14世紀のフランスを中心とするヨーロッパ中世期の人びとの生活を、衣服、食事、住居といった生活の具体的な側面に光をあてて描き、彼らがその誕生から死にいたるあいだ、物質的な貧しさと宗教的な安らぎのうちにどのような生涯を送ったかを浮き彫りにする。
(ヒマラヤ)
ジャック・デュピュイ 著/水野 勉 訳
世界最高峰の山岳地帯として、絶えず登山家を惹きつけてやまないヒマラヤは、同時に多くの国家とさまざまな民族の居住地域でもある。本書は、自然条件、住民構成、文化、経済機構などを記述しながら、ヒマラヤの全体像を俯瞰し、この多様な魅力あふれる景観のパノラマを的確に描き出した名著。
(マッキローマテイコク)
ジャン=レミ・パランク 著/久野 浩 訳
3世紀末から6世紀末にいたる3世紀間はローマ帝国没落の時期であるが、また同時にそれは創造的な意味をもつ転換期でもあった。政治・経済・宗教・芸術・社会の各分野にわたって、この瀕死の帝国の様相を描きながら、ゲルマン諸部族の大移動を通じて形成されてゆく、来たるべき時代の胎動をも告げる。
(テンプルキシダン)
レジーヌ・ペルヌー 著/橋口倫介 訳
西洋中世史のなかで今日なお神秘のヴェールに包まれているテンプル騎士団とはいったい何だったのか? 本書は、12世紀から約2世紀にわたりキリスト教国に絶大なる勢力を広げ、巨大な富をも築いたこの謎にみちた騎士団の歴史をついに解明し、主要な側面に光をあてつつ描き出した画期的著作。
(インカブンメイ)
アンリ・ファーヴル 著/小池佑二 訳
1532年スペイン人がペルーに到着したとき、やがて襲撃され、崩壊することになるインカ帝国は壮大な領土を誇り、数千年にわたるアンデス文明の、最後の輝かしい光を放っていた。本書はその歴史・文化・社会構造を、具体的な調査と探索をふまえながら、謎にみちた太陽の帝国の姿を再現した絶好の書である。
(ファシズム)
アンリ・ミシェル 著/長谷川公昭 訳
20世紀の近代国家が鼓吹したナショナリズムの突然変異種――ピランデッロ、ハイデッガー、セリーヌらをも引きつけたファシズムとは、いったい何だったのか? その複雑にして多くの矛盾にみちたファシズムという社会現象を多角的に分析する本書は、強者の権力をめぐるメカニズムを解明した名著。
(ポルトガルシ)
アルベール=アラン・ブールドン 著/福嶋正徳・広田正敏 共訳
最も早く国家形成を行ない、《ブルジョワジー》革命を体験し、いち早く航路の発見と植民地帝国の建設に乗り出したポルトガルは、その早熟さゆえに固定化され、凋落の時期を迎えざるをえなかった。国家形成から一九七五年の動乱までを跡づけた本書は、ポルトガル史の的確な概説書となっている。