(シ)
ポール・ショシャール 著/江上不二夫、三浦義彰 訳
生を理解するには死を知らねばならないが、死を科学的に扱った著書はきわめて少ない。本書は第一部で、生体の構成と機能面から死を生理学的に解き、第二部で、高等生物に起こる死の諸段階、事故死、自然死を考察、ついで生命に対する哲学的概念について概観する。死についての多面的で実証的な啓蒙書。
(ビセイブツ)
アンドレ・ボワヴァン 著/江上不二夫、板橋美智子 訳
微生物のからだはあらゆる生物のなかで最も小さいが、それはこの自然界で最も大きな役割を演じている。この微生物の興味深い形態と生理を「細菌とは何か、その生態」「非病源性細菌の重要性」「病源性細菌に対する防禦法」「ウイルスと生命の最も単純な形態」などのテーマで平易に概説する。
(シキサイノヒミツ)
マルセル・ボル、ジャン・ドゥルニョン 共著/稲村耕雄、中原勝儼 訳
アリストテレスやゲーテをはじめ、すぐれた感性の持ち主は少なからず色彩に魅せられてきた。ヒトはなぜ色に感応するのか? 本書は、光学の基本を押さえつつ、絵画における色彩表現や舞台美術の照明技術まで、身近な色彩の仕組みを解説する。色彩学と照明工学の権威による、本格的な色彩案内。
(セイメイノリズム)
アラン・レンベール、ジャン・ガーター 共著/松岡芳隆、松岡慶子 訳
心臓の搏動、睡眠と覚醒のくり返し、冬眠、植物の開花期など、生命体にはリズムと周期性をもった現象が数多く見られる。近年さまざまな応用分野で注目を浴びているこのきわめて重要かつ不可思議な現象を、細胞生物学から医学、農学に及ぶ広範囲な知見をもとにわかりやすく解説する。
(ココロノケンコウ セイシンエイセイ)
フランソワ・クルーチエ 著/吉倉範光 訳
激増する人口、都市の過密化、現代生活のひずみが生み出すストレス、科学技術の驚異的な進歩の裏側にひそむ病態など、私たちの心の健康は日々むしばまれている。本書では、第1部において心の健康の概念を検討してその定義を定め、第2部ではその健康を獲得する方法と技術を説いている。
(ジンルイセイタイガク)
ジョルジュ・オリヴィエ 著/河辺俊雄 訳
遺伝子やゲノムが地球規模のメカニズムを解明する! エコロジカルな存在として人間を捉える本書は、生物学や医学の広範な知識を頼りに、人類の進化の根拠を探る。ヒトは環境にどのように適応してきたのか? 混血文化はどこへと向かうのか? フランス人類学の大家による画期的な著作。
(スイミントユメ)
シャルル・ケゼール 著/松本淳治監 訳 森田雄介 訳
人は人生の三分の一を眠ることに費やし、その時すべての人が必ず夢を見ているという。脳の解剖により得られた睡眠のメカニズム、睡眠中の脳波の記録、レム睡眠と夢の関係、昼夜リズムを計る体内時計、夢と精神分析など、動物実験や近年の成果を取り入れ、睡眠と夢の生理を解明する。図版多数。
(ヤクガクノレキシ)
R.ファーブル、G.ディルマン 著/奥田 潤、奥田陸子 訳
アポティケールと呼ばれた薬剤師の先輩たちが、薬の調製に関して医師と争ってみずからの自治権を確立して以来、薬学は、技術的・職業的側面においてどのように変遷してきたのか。本書は薬学の歴史にとどまらず、その教育や薬の生産・調剤・販売にいたるまで、薬学の全分野を網羅して解説する。
(ウミノオセン)
ジェラール・ベラン、ジャン=マリー・ペレス 著/高田治彦 訳
湾岸戦争での原油流出や、日本海への核廃棄物投棄のニュースは記憶に新しい。「公害」が「環境問題」という口当たりのよい言葉にすり替えられ、海の汚染はその深刻さが忘れられた感さえする。本書では汚染の発生源、汚染物質の影響、汚染の防止対策など、海洋汚染の問題全般をわかりやすく解説し、警告する。
(ノウハココロデアル)
ジャン・ドラクール 著/須賀哲夫、中村祐子、中島欣哉 訳
アフォーダンス理論など現代認知科学と行動学に依拠しつつ、本書は、こころが人間(そして動物)にどのように体現されているかを踏まえたうえで、こころと脳の関係を精密に提示する。脳とコンピュータの誤った類推を糺し、神経回路網モデルで脳とこころの謎を解く。脳死問題を考えるための必読書。